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その四

「そりゃあ、千年近く生きればいろんな裏技を覚えるよ。それで、何が望みだい?」

 それまでの冷たい雰囲気とは一変し、(にこ)やかな表情で慶一郎に問う。「君の云う通り、僕は僕の正体を理を以て明かした者に対しては、願いを叶えることにしている。と、云っても、父上程力は無いから、やれることには限界があるがね。例えば、兵四郎に与えた鎧程度ならば、すぐにでも用意出来る」

「……あれって、国宝級だと思うんですがねえ」

 流石の慶一郎も絶句する。

 平崎兵四郎の翠緑縅大鎧は南大公家から贈られた伝説の一領である。

 その能力はありとあらゆる種族の攻撃の緩和、及び攻撃威力の増加、魔術魔導への特殊結界、吐息(ブレス)を始めとした特殊攻撃への抵抗能力、イアカーンが考えられるだけの魔力付与と父親と母親の加護を与えた限りなく神器に近い一品である。

「あれだけの力を与えれば鎧だって魂を宿す。その所為で使い手を選ぶが、兵四郎程の兵法者になら鎧の方が力を貸すだろう。御主であっても同じものを与えても問題なかろうよ」

 イアカーンは自信を持って断言した。

「いやあ、俺としては、今回の答え合わせ程度で良かったんですがねえ。そこまで大したものはいりませんって」

 慶一郎は慌てて断る。

「まあ、いずれは御主にも与えよう。六大魔王を倒した褒美は必要だからね」

 抹茶を啜り、イアカーンは笑う。「さて、それで何が聞きたいんだい?」

「あー、あの魔王って何者だったんですかね? “相棒”の目を通じて最期は見たんですが読唇出来ないところがあったんでよく分からなかったんですよ」

 慶一郎は話題を完全に変えるべく、慌てて本題を言った。

「ふむ、竜の力を使っていたなら、小父さんと僕の結界を貫いても不思議は無いか。そこまで見たなら、知る権利はあるねえ」

 イアカーンは茶菓子をぱくつきながら、虚空を見る。「さてはて、何から話したものかなあ。君は、リングラスハイムの一件には関わっていたっけ?」

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