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その弐拾参

「御陰で、こんな風に自由極まりなくある程度好き勝手に動ける訳ですから、僕としては文句の付けようがありませんけどね。雷刃小父さんやアル小父さんから聞いた話に拠れば、偶に、父上も互助組合に顔出しているようですがね。僕は見たことありませんが」

 そう言うと、イアカーンは不思議そうな表情を浮かべた。

「ん? 猊下が一番顔出しているんですよね?」

 慶一郎もそこに疑問を覚え、声に出して確認をする。

「ええ」

「それなのに、猊下と顔を合わせたことがない?」

 迷い無く肯定したイアカーンに慶一郎は首を傾げる。「ウルシム様も、猊下と同じ様な事をなさっているなら、ばったり出くわすものなんじゃないですかね?」

「まあ、父上は腐っても知識神でしてね。この世のありとあらゆる事を知っているんですよ。僕が何時何処で何をしているかも、ね」

 どうやっても父親の裏をかけない事に対し、イアカーンは素直に敬意を表した。

「自分の息子にぐらい会っても問題ないでしょうに」

 馬鹿馬鹿しいとばかりに、慶一郎は首を横に振った

「勘が良い相手だと流石に二人揃えば流石に正体がばれますからね。一応、隠密活動なんですよ、僕も父上も」

 苦笑しながら、イアカーンは慶一郎に喚起させるように言う。「君は勘が良いから僕の正体に気が付いていますがね、普通は分からないですから。自分から正体(さら)け出していませんからねえ。誰もが気が付かない間にそっと手を貸して、誰かが気が付く前にそそくさとその場を去っているんですよ。これは僕の持論なんですがね、人の歴史は人が紡ぐべきなんです。何かの奇跡やら、手助けに期待しているようでは、何も生み出せなくなりますからね。人類側に立つ神や魔王と云った超越者はおいそれと手を出すべきではない。だからといって、本当に手助けが必要な時に手を貸さないと云う訳ではない。実際、今回みたいな人類に敵対する人類だけではどうにもならない敵と対する時、こっそりと手を貸すことは必要だと思いますしね。それを毎回期待されるという状態だけは避けたいんですよ」

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