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その壱拾五

「それは……」

 確かに、イアカーンの言う通り、世情が安定していなければどれだけ東大公家が努力をしても何らかの介入を受けやすい状況が続く。

 ならば相応しい人物に対して統一の手助けをすれば良いのだが、黒き女帝と呼ばれたフランソワズ・ド・ドゥロワ以降、それに似つかわしい人物が生まれてなかった。

「自分たちにそれだけの力があれば、それはやりたくなるでしょうね。その上で、世界を守れば問題ないのですから。まあ、前提条件が狂わなければ、ですけど」

 人を食った笑みを浮かべ、皮肉そうにイアカーンは言った。

「前提条件?」

 イアカーンの態度に、思わず慶一郎は身構えた。

「東大公家は魔王に対する備え為に西中原への野心を見せなかった。これが一般的に云われている話です」

 にこにこと笑みを浮かべながら、相反する底冷えのする口調でイアカーンはこの世の根本が崩れる一言を言ってのける。「六大魔王に喧嘩を売られ続けていて、西中原への野心など考える余裕すら無いとしたら?」

「……」

 今度こそ、本気で慶一郎は絶句した。

 無いと言い切れないのだ。

 彼が知り得る限り、初代雷文公は自分の考えを子孫に押し付ける人物ではないし、竜武公も又己の我意を無理矢理押し通す人物でも無い。

 郷に入っては郷に従え。

 扶桑人が好むこの言葉の本意を考えれば、その土地に融け込むことこそが正しい行為で有り、無理矢理血を残し、文化をそのままにする事はその言葉に反しているのでは無かろうか。

 慶一郎もその自問自答を幾度となくしてきた。

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