クローバーの幸せ
男の子は膝をついて必死にクローバーを探していた。
幸せになるという四つ葉のクローバーを。
先ほど男の子はそれを手にしていた。
女の子からプレゼントされて。
でも友達の手前恥ずかしく、すぐに捨ててしまった。
女の子は泣いて、どこかへ行ってしまった。
男の子は後悔した。
自分はなんてひどいことをしたのだと。
だから男の子は探していた。
捨ててしまった幸せの象徴を。
だが簡単には見つからない。
男の子の目にはしだいに涙が溜まってゆく。
諦めかけたその時、偶然“それ”は見つかった。
男の子は“それ”をむしり取り、女の子を探した。
女の子は砂場でしゃがみ込んで、まだ肩を震わせていた。
男の子は近づく。
やがて女の子の目の前に立った。
「これ」
男の子はぶっきらぼうに、“それ”を女の子へ突き出す。
女の子は顔を上げる。その目は真っ赤だった。
「……ふたばちゃんにぴったりだと思って」
“それ”は、葉が二枚しかないクローバーだった。
でも受け取った女の子の顔は幸せそうである。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ほかにもいくつか短編を書いているので、興味がある方はぜひのぞいてみてください。