海賊?いえいえ、職員です
男たちはやっと目を覚ましたのは担架で港の倉庫に運びこまれた直後だった。
「はっ!ここはどこ?私は誰?」
そんな伝統芸に付き合う必要を感じなかった私たちはそれを完ぺきにスルーして
「なんで後をつけたの?場合によってはまた殴ります」
二人の男たちは震えあがりいきなり土下座した。
「す、すいません!私たちは港湾ギルドの職員です」
「ギルドの職員がなんでこそこそする必要がないでしょう。もう少しましなウソをつきなさい!!」
さすがに温厚な私だって怒ります。
「ホントなんです。事情を説明しますからそんなに睨まないでください」
涙目になった男たちはヒイイと情けない声を上げて再び土下座した。
「実は・・・・・」
そう語り出したギルド職員、身振りを交え、分かりやすいだけでなく、笑いあり、涙ありの名解説となったが・・・
長いので要約します。
最近、帝国の対外政策は滞り始め、その対策として統制的な経済政策を取り出した。その一環として艦船を徴用しだした。しかし、増大する経費に景気は低迷。そこでギルドは海賊行為を行うことで利益を出そうと考えたらしい。
「本当に海賊行為をするわけじゃないですよ。あくまでお芝居で、海賊に積み荷を奪われたことにするんです」
「しかし、帝国も黙っていないでしょう。いつまでも続くわけがない」
船長の言うとおりだと思います。
「ええ、ですからほとぼりを覚ますために逃げ出そうと思うんですが、ギルドとの関係が疑われることがわずかにでも残すわけにはいかないのです」
「なぜ私たちなんです?」
船長が渋い顔で尋ねる。
「ヴェール帝国と敵対勢力と繋がっている、つまりあなた方はヴィーナ王国と懇意の商船だ。それに海賊が協力しているとなれば…」
「なるほど・・・しかし、私たちがヴィーナ王国とつながりがあることをどこで?」
「港の情報網は早いんですよ」
ギルドの男は不敵な笑みを浮かべた。
「しかし、我々にメリットはない。危険な橋は渡れませんな」
船長、頼もしい♪
「まあまあまあ。そう慌てなさんな。物資の集積にも協力しますし、あなた方がわざわざこちらへいらしたってことは、何らかの依頼をヴィーナ王国から受けているんでしょ?最大限の便宜を図りますよ」
「・・・・我々がヴィーナ王国と接点があることは帝国も知っているのでしょ?我々に協力することで結局、ギルドが目をつけられてしまうのではないでしょうか?」
するとギルド職員は大笑いした。
「帝国の上層部は知らないんですよ。ラファール号がヴィーナ王国と関係があるなんて、ね。それにこの港の帝国軍はギルドと海賊の関係も承知していますよ。要は言い訳がたてばいいんですよ」
・・・・・なんというかこの国、大丈夫か?そう考えながら船長を見ると
「我々がヴィーナ王国から受けたのは傭兵100名です。そちらで調達できますか?」
「複数の候補を用意しましょう。信頼のおけて腕が立って・・口の堅い、ね」
船長がくくくくっと声を殺して笑いだすとギルド職員、私、船員たちも笑い出す。そして
固い握手を交わした。
さすが大組織。100名の傭兵募集に対して2000名を超える応募があったようだ。そのなかでさらに信頼がおけると判断された300名がリストに残った。慣れない書類の海におぼれながら次々と雇う傭兵を決めて行く。その中には『紅の戦乙女』という十数名の小さな傭兵集団があった。その出会いがのちに、私たちに大きな影響をあたえることを私はまだ知らなかった。
祝!!連載一か月!!皆さんのおかげでここまでやって来れました。ありがとうございます。




