ある一つの爆弾発言
ライド島 海洋国北海方面最大の海洋基地である。視認されれば問答無用で撃沈され、大陸北部有数の軍事国家エゲルが三個艦隊 戦列艦18隻フリゲート艦29隻 コルベット艦51隻という空前絶後の大艦隊を派遣して壮絶に殲滅されたのはわずか6年前のことだったりする。そこに単船でしかも非武装船が行くなんて自殺行為だ。
「無茶な。どこだかわかってるの?」
「もちろん」
軽く私の質問が些細なことのように答える。
「何考えてんの?私たちしかできないってそんなわけないじゃない!!問答無用で沈められるのが落ちよ!!」
「まあ、博打なのは、そうなのですが・・割と勝率は高い気がします」
「気がするって!!こっちは商人!命までははれないに決まってるじゃん!」
「貴女にはリリアーヌ様がついてますからね。まあ、5分5分ですかね」
「・・・・誰を運べばよろしいので?」
船長がぼそりと答えた。え?なんて言った?
「叔父さん!!」
「船長だ」
「そんなことはどうでもいい!何考えてるの!命あってのものだねだよ!断るべきよ!!」
「レイ・・私は亜人というのは皆、海賊のように冷血な生き物だと思っていた。多くの人間がそうだろう。しかし、リリアーヌ様をみていろんな御仁がいるのだと知った。今はいがみ合っているがジェイド殿たちはそんな亜人たちと交渉を持とうとしておられる。もしかしたら亜人とも仲良くできるようになるかもしれん。もしそうなったら人間、亜人双方の利益となるはずだ。いや、利益にならなくても亜人とのいさかいが少しでもすくなくなるのならやる価値は十分ある。そうは思わんか?」
「そうかもしれないけど・・・危険は高いわ!家族には誰も死んでほしくない!そう思っちゃいけないっていうの?」
「そんなことは言わんよ。行くのは最小限の人数で、だ。もちろん、お前はおいてゆく」
「叔父さん!!」
「船長、何度も言わせるな!分かっている。この依頼を受けるのも、お前を置いていくのも私のエゴだ。しかし、いずれ最初に誰かがやらねばならならないことだ。それが私であってもいいだろう」
「おじ、船長、すいません。船長が決めたことを・・・」
「いや、お前が心配するのは当然だ。私の方こそ、すまなかった。押し付けるようなことを言って・・」
その時、私と叔父の二人は無言で抱き合った。ともにもしかしたら・・・・と思いながら。
「運んでいただくのはヴィーナ王国ジェイド王太子です」
しんみりした空気をクラッシュさせたのはその場で放置されていたジェイドさんその人だった。
ん?ジェイド、ジェイド王太子?
「まさか」
「つまりこの私です」
・・・・・言葉が頭に入らない・・・え、と・・・・マジですか!!!!
「ええええええええ!!!」
私は大声を上げ、叔父さんも驚きを通り越して完全に固まっていた。
「ええ、言っていませんでしたか、こう見えて王太子やっているジェイドです。道中よろしくお願いします」
心臓がマジやばい。王子様。リアル王子様が目の前に。白馬の王子様とはいかないがこんなフレンドリーな・・・いやまて!
「王子!!うそでしょ?」
そう、うその可能性があるのだ。っていうかうそだと言って!
「いえ、正真正銘のヴィーナ王国王位継承権1位のジェイド王子です☆」
無駄にキラッ!とかしやがって!!
・・・・・・・はっ、マズイ
今までの出来事が走馬灯のようによみがえる。土下座させたり鼻血流させたり、その他もろもろ。
リアルに血の引く音が聞こえました。
「ごめんなさい!!知らなかったとはいえ数々のご無礼お許しください!!」
頭を90度以上下げる。ちらっと様子を見るとジェイドは少し悲しそうに
「大丈夫ですよ。気にしていませんから・・」
「そう。良かった!じゃあ、今後ともよろしくね」
ジェイドはこんどはポカンとした顔で、
「相変らず。切り替え早いですね」
そういうとうれしそうに微笑した。
「野郎ども!!!出港準備!!」
「「「おおお!!」」」
爆弾発言から一夜明け、最後の準備を整えていた。
「食料、水の確認すみました。船底に水漏れ確認できません」
「船体異常なし!!」
「出港!!」
船長がそうさけぶと
「「「おお!!」」」
人数がいつもよりだいぶ少ない船員たちの声が響いた。人数が少ないせいで全員かなり忙しくしている。
そのせいか食料庫の樽が一つコトリと音を立てたことには誰も気づかなかった。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。大分進んできました。空き時間に書いているんでおかしいところも多いと思います。
ご意見をお願いします。
3/4誤字修正




