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瀬戸陽子・高校生編

#03:半歩の距離感

作者: 瀬戸 陽子

高校生編の短編連作です。


#03:半歩の距離感

2014年初夏 昼休み


キーンコーンカーンコーン…


お弁当を食べたら、いつも通り図書室に行こう。

そう思ったとき、後ろのほうから声が届いた。


「瀬戸さんも、たまには一緒に食べようよ」

同じ部活の同級生。

誘われたのは初めてだった気がする。


「あ…うん。」


近くの机を寄せて、椅子に腰を下ろす。


「昨日の『Typhoon』が出てるドラマ見た?あれヤバいよね」

「分かる!主題歌の『Nobody knows』も良いよね!」


クラスで話題のドラマだ。見たことがない。

ご飯を口に運びながら、会話に耳を傾ける。


「瀬戸さんは、5人の誰のファンなの?」

突然声をかけられた。


「えっと…鏡戸くん…とか…?」

何となく知っている名前を出しただけだった。


ほんの一瞬だけ、音が止まった。

「それ、西グルーブのボーカルだよ!」

「陽子ちゃん、ウケる!」


笑い声が混ざる。悪意はない。

むしろ楽しそうだ。

私はどう返せばいいのか分からず、小さく笑ったつもりだったが、声は出なかった。


「陽子って、こういうの聴かないんだっけ?」

首を振る。嫌いなわけじゃない。

ただ、ジャズのリズムのほうが落ち着く。


皆は誰が歌が上手いとか、あのシーンが良かったとか、話題は途切れず続いていた。

陽子はそこにいて聞いているだけで、十分だと思っていた。


けれど、その“十分”が自分だけのものかもしれないと思った瞬間、胸の奥がごく短く沈んだ。


スピーカーから音楽が鳴り出す。


「それじゃ、また放課後ね」

立ち上がるとき、誰とも目が合わなかった。


『…誘ってくれて、ありがとう。』

数人が振り返り、少し口角を上げて軽く手を振った。


私も誰にも見えないところで小さく手を振った。

次話:#04:文化祭の前夜

明日20時に更新します。

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