そば食いねぇのアルゴリズム… シブがき隊がいなくなった国
✦そば食いねぇのアルゴリズム
― シブがき隊がいなくなった国 ―
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◆江戸の笑い◆
むかしむかし、江戸の町で、
そばといえば皿に盛るのが当たり前じゃった。
ところがある日、一軒の店が竹ザルに盛って出したところ――
これが大当たり。
冷たくてのど越しがよく、見た目も粋。
「ザルそばってぇのは風流だねぇ」と評判になり、
江戸中がザルそばに夢中になった。
やがて人はザルを見るだけで腹が鳴るようになり、
見るたびに値が上がる。
まるで相場のように、上へ上へ。
これを人は“ザル相場”と呼んだ。
そんな噂を聞きつけて、一人の大名が言うた。
「その“ザル”というもの、我が屋敷にも献上せい!」
ところが家来が耳の遠い男で、
「猿を献上せい」と聞き違えた。
翌日、屋敷に届いたのは立派なニホンザル。
大名は首をかしげて言った。
「これが流行りの器か?」
家来は真顔で答える。
「いえ、動きます…」
大名はしばらく考えて笑った。
「なるほど、“景気が動く”とはこのことか!」
こうして江戸ではこう囁かれるようになった。
『ザルを見れば腹が鳴り、猿を見れば銭が動く』
――これが、のちに語られる
ザルのアルゴリズムの始まりであった。
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◆令和の風刺◆
時は流れて令和の世。
AI研究所に勤める一匹の猿、名をサル吉という。
百年前、宮崎で芋を洗っていた猿の末裔だ。
サル吉は人間のスマホを覗き込み、ふと気づいた。
「人間って、見るだけで株を上げてんじゃねぇか!
ご先祖の芋洗いより楽だな。」
アプリ《ZARU100》の中には、秘密の仕掛けがあった。
人が“おいしそう”と思う画像を見るほど、
株と金が上がる。
――それが現代版のザル相場。
サル吉はひらめいた。
「ザルを見ると上がる。なら、逆をやりゃいい。」
彼は群れを集めてこう叫んだ。
「全員、“公明党 離脱”で検索開始だ!」
スマホを握る猿たち。
バナナ片手にスクロール、スクロール…
すると、株価がスルスルと下がり始めた。
「ギャッハッハ! ザル相場、今度はこっちのもんだ!」
サル吉は下がったところで買い込み…
人間が上がるニュースを見たら売る…
それを繰り返して大金持ちになった。
竹のザルに小判を入れて、チャリンチャリン。
サル吉は笑った。
『人は俺らを“猿真似”言うけどよ、
こっちから見りゃ、人間の方が“人真似”だぜ。』
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◆あとがき◆
“シブがき隊”がいなくなった国で、
みんなが「そば食いねぇ」と言われるままにスマホを覗き込み、
流行の味を追いかけている。
でもな、
そばは誰かに食わされるもんじゃねぇ。
自分の手で打って、自分の汗で味わうもんだ。
お金を追うより、まず心を整えよう!
株価より、自分の体温を上げよう!
そして、自分の整った心で世界を温めよう!
スマホの向こうにある本当の“ザル”は、
あなたの心そのものかもしれない。
――他人のアルゴリズムに流されるより、
自分のリズムで生きてみよう。
笑われてもええ。
その一歩が、きっと世界を変える。




