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知り合い

 私達は、近くのアレオ・ショッピングモールにやってきました。


「うひょう。流石は、休日のショッピングモール。込んでますね~」

「そうだな……」

「ここに居る人達は、このダボダボの服の下に、私が下着を付けていない事など知らないんですよね~。興奮しますね~」

「……ノエル……そういう事は、口走らないでもらえるかい? 一緒にいる俺が変人だったり、変態だったり、変質者だと思われるだろう」

「大丈夫ですよ」

「……なぜそう言い切れる?」

「幸穣君は、1人で歩いていても、それら変態のオーラが出ていますから、問題はありません」


 がすぅぅ!


「あぅ、こっ、幸穣君、ここではダメですって、DVだと思われちゃいますよ。お巡りさん呼ばれちゃいますよ」

「……っち、確かにそうか。警察を呼ばれると確かに困る」

「でしょう、でしょう。だから、ここは1つ穏便に……ね。あ・な・た・チュッ!」

「誰がぁぁあ、あ・な・た・だ?」


 あっ、幸穣君の顔が引きつりました。怒っちゃいましたかねぇ。

 

「……はぁ、ノエル、さっさと服を買って帰るぞ」


 幸穣君がイライラしています。

 流石に二十歳の幸穣君でも、そろそろ限界なのですかね?

 ……まっ、でもからかうのを止める気なんて、サラサラありませんけどね。フフフ。


「で、服ってどれ買うんだ?」

「服ですか? 幸穣君がぐっと来るやつですかね」

「……いゃ、俺がぐっと来るやつじゃなくて、お前がグッドラックする服にしてくれ!」

「……なに上手いこと言っんですか。私を部屋から、追い出したいのですか? それに……大体、グッドラックする服って、どんな服ですか。旅行気分になる服ですか?」

「……そうだな。……白装束に、三角のハチマキしている服かな」

「……なに勝手に、殺してるんですか。……それにハチマキって、運動会じゃ無いんですから……死んだ後ハチマキ何て使いませんよ」

「……ん? 違ったか? じゃぁ……三角巾?」

「いゃいゃ、今度はどこの調理実習ですか。死んだ後、料理しませんから」

「……じゃぁ何て言うんだ?」

「あぁ、あの服ですか。あれは天冠(てんかん)って言うんですよ。なんでも死後の正装らしいですよ。所説ありますが……」

「ふ~ん、……で、それ買うんだろう?」

「買いません! さっきから、私を殺したいんですか?」

「いゃ、殺したくはないよ」

「ですよねぇぇ~~。よかったぁ~~」


 あぁ、やっぱり幸穣君は、わたしと添い遂げようと思っているのですね!

 私のアソコは、ジュンジュンしまくりですよ。


「でも、死んでくれても良いとは思っているけどな」

「いゃいゃ、そこは、もう少し気を使って下さいよ」


 幸穣君は、中々にいけずだ……。


「……はぁ……まぁ、いいです。でも、幸穣君がどんな事を言おうとも、取り敢えず(しばら)く住まわせて貰いますからね」

「ヘイヘイ、約束しちゃったからな。その辺は諦めている」

「『諦めて』って言わないでくれます? 悲しくなるじゃないですか」


 そんな取り留めの無い話をしながらも、私達は洋服屋を目指すのだった。



 ……さて、無駄話をしていると、ドンドン時間が無くなってしまいますからね。時間は有限ですから、急がないと。

 私は、気持ちを切り替えて、服屋に入る。

 そして、服を選び始める。


「あっ、この服かわいい! この春に持ってこいじゃない! あっ、これ安い!」


 私は、次々と買い物かごに服を入れます。

 しかし、ふと横を見ると、一緒に歩いている幸穣君の眉間にしわが寄っているじゃないですか。


 ……あら、何か考え事かしら?


「幸穣君、どうかしましたか?」

「……あぁ、いゃ、大したことじゃないと言うか、俺には理解できない事なんだけど」

「はぃ、なんでしょう。」

「いゃ、さっきからノエルが選ぶ服は、どれもサイズがバラバラだなぁと。SサイズがあればLサイズもある。どう見ても、着れないサイズの服をカゴに入れたろう。どうするのかなって思ってさ」

「……あぁ、その事ですか? 私サイズ変更の魔法が使えるんですよ。だから後で一気に直そうと思っているんですよ」

「ふ~ん、そんな便利な魔法があるんだ……ん? ってことは?」

「どうかしましたか?」


 幸穣君がマジマジと私の服装を見る。


「なぁ、今お前って、俺の服着ているじゃん」

「そうですね。私の服は全部洗濯機に入れてしまいましたからね」

「いゃ、そうじゃなくて、今って、俺の服着ているからダボダボじゃん」

「……はい。ダボダボです」

「今の話からすると、俺の服でもピッタリにサイズ変更が出来るって事だよな」

「そうですね。出来ますね」

「……じゃぁ、何でしないんだ?」

「……あぁ、その事ですか? ……そりゃダボダボって着ていれば、彼氏の服着ているのが第三者にも明確に分かるじゃないですか。そ・れ・にぃ~こんな服を着ているって事は、『昨晩はお楽しみでしたね』って通りすがりの人に、思われるからに、決まっているじゃない!」

「……おぃ」

「なんでしょう」


 あぁ、幸穣君が、私をゴミムシを見る様な目付きで見ている。

 ゾクゾクするぅぅぅ。


「俺は昨晩、なにも楽しんでいないし、そう思われるのも迷惑なのだが?」

「……じゃぁ、今晩楽しめばいいんですよ!」


 がすぅぅぅ!


「うぅ……いだぃ。さっきチョップはしないって約束したのに……」

「本気じゃないから大丈夫だ」

「いてて。……まぁ、冗談はさておき、本当はサイズ変更の魔法には、元に戻すって機能が無いのですよ」

「……つまり?」

「つまり、服を小さくして私のサイズにした後、元に戻す機能が無いので、今度は大きくする魔法を使わなくてはなりません。そうすると、微妙にサイズが変わっちゃうじゃないですか。今まで着ていた服の微妙なずれって気になるかなぁと思って、敢えてサイズ変更はしなかったんです」

「……なるほど。お前も、気が遣えたんだな」

「失礼な!」


 私の気遣いと分かってくれて、幸穣君も少しだけ心を開いてくれた気がします。

 フフフ、このまま心の距離がグッっと縮まれば、体の距離も縮まるはず。


 心の距離と、体の距離は比例する!


 あっ、ちょっとカッコイイ名言が出来ちゃいましたよ。

 

 グヘ、グヘ、グヘ。


「……おぃ、ノエル。お前なに気持ち悪い顔しているんだ?」


 っと、いけない。つい心の顔が、表の顔とリンクしてしまった。

「……あのぉ……」

 この妄想癖は直さないといけないわよね。

「あのぉ……スミマセン……」

 ……ん? っと、言っているそばから考え事をしてしまった。


「あぁ、スミマセン。ここですよね。直ぐに、どきます」

 

 私が妄想をしている間に、どうやら、通路を侵害していたらしい。

 いつからなのかは分かりませんが、私達の目の前には、25歳位のイケイケの女性が立っていた。

 

「ごめんなさいねお嬢さん。ちょっと、そこの服を見たく……て……って。……えっ! 貴女(あなた)、小さじの魔女!?」


 誰だ? 私の通り名を叫ぶやつは……って。


「……おゃ、よく見れば、川の横の魔女じゃない。お久しぶり」


 すると、幸穣君が話に入って来る。


「……ノエル、知り合いかい? それに、川の横の魔女って……?」


 幸穣君の顔にクエスチョンマークが見える。


「……あぁ、そうですよね。幸穣君には説明しないと分かりませんよね。じつは、私達魔女は一人前になると、何とかの魔女って通り名が付くのですよ。……で、私は小さじの魔女、この子は川の横の魔女って通り名なんですよ」

「ふーん。それにしても、川の横の魔女ですか……、なんか『荒れ地の魔女』みたいな感じで恰好いいですね」

「なに、そんな事言って。私ヤキますよ。大体、英語にすれば、リバーサイド・ウィッチですよ」

「…………リバーサイド・ウィッチ……なんか急に、一昔前のホテルの様な名前になったな……。あー、ってことはあれか? 海の横に住んでいれば、シーサイド・ウィッチ。湖の横に住んでいれば、レイクサイド・ウィッチってことか?」

「そうそう。そういう名前の魔女も居ますよ」

「なんて、安直なネーミング……」


 幸穣君が呆れてしまいました。

 

「そうだ、ノエル」

「はい、なんでしょう」

「小さじの魔女も英語で呼んだりするのか? つまり、ノエルも英語にすると……スプーンおばさん?」


 ドフゥゥゥ!


「ぐはぁぁああ。の、ノエル、痛ぃぃぃ」

 

 私のボディーパンチが、幸穣君の腹にヒットする。


「さて、何か言ったかしら? そもそも、なぜちゃんと英語に変換できないの? 『スプーンおばさん』ってなによ。そんな懐かしのアニメみたいに呼ばないでもらえます? 大体私はおばさんなんかじゃない!」


 すると、すかさず横から、川の横の魔女が口を挟んできた。


「そうよね~、貴女は、おばさんじゃなくて、おばぁぼぇぇぇえええ!」


 ゴフゥゥゥゥ!!


 私のパンチが、今度は、川の横の魔女のボディーにヒットした。


「リバサイの魔女、何か言ったかしら?」


 私は、リバサイの魔女にガンを付けて脅しす。


「……いゃ、別に。私は敏子(としこ)が元気ならそれでぇぇええ!!」


 ズゴォォォォオオオオン!!!!


「ふぅ。害虫は駆除したわ」

「いゃまて、ノエル……お前の脳天チョップで、川の横の魔女が地面に顔面から突き刺さっているけど、死んでんじゃ無いか?」

「……大丈夫よ。魔女は、それしきでは死なない。それに、壊れた床も、後で自分で修復するでしょう」

「……そんなものなのか?」

「そんなものよ!」


 幸穣君の顔が、トホホとなる。


「……まぁ、いいや。……ところで、ノエル」

「ん? なに?」

「敏子ってだれ?」

「……ん~、そんな事言ってたかしらね?」

「言ってたろう」

「聞こえなかったわ」

「……聞き間違えか?」

「そうじゃない?」

「そうかなぁ…………」

「それよりも、幸穣君。さっさとレジに行って帰りましょう!」

「あっ、あぁ……」


 私は、幸穣君が何かを考えていると知りつつも、さっさとレジで会計を済ませて、帰路に就いた。


 いゃぁ、沢山買い物をしました。

 これで、暫く幸穣君の部屋に住めそうです。

 では、早速…………って、あれ?

 …………あっ、そうだった……。


「幸穣君!」

「なんだ?」

「1つ重要な事を忘れました」

「なんだ?」

「リバサイの魔女のせいで……下着を買い忘れました」

「…………おぃ、ノエル……何をしに行ったんだ?」

「また明日買い物に行きましょう。ねっ!」

「何が、『ねっ!』だ、ひとりで行け! 俺はもう行かないぞ」

「そんな事言わずにぃ~~。付き合ってくださいよ~~~。買い物と、ついでに、私ともぉ~~~」

「『私とも~』は無いだろう。なに勝手にオプション付けてんだよ。俺には彼女が居るんだ! お前とは付き合わん!」

 

 こうして今日も、夜はふけるのだった。

下らない話は大好きなので、以外にも書けてしまっている。草

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