凍死しそうです
注)本作品は不定期連載となっていますので、チャンネル登録をお願いします。
R15作品(良い子は、大きくなったら読んでね。きっと意味がわからないよ)
登場人物 と 説明
童顔、身長から全てが、幼児体系の18歳 栗林ノルン 職業:魔女
が 普通の大学三年生 20歳 住谷幸穣の家にひょんな事から転がり込んで織りなすドタバタ系コメディー(下ネタを含む)。
気楽な気持ちで読んでもらえればと思います。
鋼鉄の舞姫の執筆に行き詰まったら、気分転換に書いています。
フフフ、ついに私は高校を卒業しました。
『今日から私は!!』
晴れて魔女です!
……そう……どっかの有名作品の様に、粋がっていた時期もありました。
……いぇ、つい数時間前の話ですけどね……。
うぅぅ……お腹が空きました。3月の夜空は寒いです。
木枯らしはピープー吹くし、オリオン座って、見ているだけで心まで冷える……。
……お父さん、……お母さん、夜空ノムコウに、お二人はいますか?
私、間もなくそちらに行けそうです。
公園のベンチでガタガタ震えながら、肩を擦った。
私が、公園で夜空を眺めていると、遠方から眩い光が、段々と近づいて来る。
あぁ、ついにお迎えが来たのね……。
天使様……私を天界へお導き下さい……。
光が最接近し、私の目の前でとまる。
……うっ、まぶしい。
天使様、ちょっと近づきすぎ……。パーソナルスペースを守ってください。
しかし、天使様。……もとい、光の主は、私の考えなど無視して、お構い無しに声を掛けて来る。
「お嬢ちゃん、随分と遅い時間だけど、お歳はいくつ?」
……天使様、随分と、野太い声ですね……。
そんな事を考えつつも、私は、質問に答える。
「……じゅっ、十八です」
「うん、嘘を言ってはいけないよ。お嬢ちゃんは、中学校を卒業したのかな?」
「いぇ、本当に十八なんですよお巡りさん。補導しないでください」
私の人生、今までに何度補導されそうになった事か……。
中学生に見られてしまう自分が情けない。
それにしても、こんな丑みつ時に声を掛けてくれるのは、お巡りさんか、ちょっと変なおじさんくらいのものです。はぁ……。
「ところで、君は、なにか身分を証明する物を、持っているかな?」
「マイナンバーでよければ」
私は財布の中から、ピンクのカードを取り出して、お巡りさんに見せる。
「おぉ、本当に十八だ。……で、栗林ノエルさんは、ここで何をしているのですか?」
「……なにって言われましても、行く当てがなくて……。ほら、さっきそこで、アパート火災があったじゃないですか。それで、その時に、私の部屋が、燃えちゃったんですよ」
「……そうか。大変だな。ご家族はいないの?」
「えぇ。父も母も既に他界しておりまして……っていう体で生きています」
「……はい?」
お巡りさんが、大きく首を傾げる。
「いぇ、ですから、両親は既に他界しているのです」
「っていう、体なんでしょう」
「はい」
「……で、実際は何処に住んでいるの?」
「福島です」
「……あっ、そう」
お巡りさんが、かなり呆れた顔を作り出す。
「……じゃぁ、変なおじさんとかに気を付けてね」
「あっ、あのう……お巡りさん。私、警察署とかに、泊めてももらう事とか出来ませんか?」
「あのね……警察署はホテルじゃ無いんだよ。まぁ……酒飲んで暴れていたりすれば、素敵なお部屋が用意できるけど……」
「素敵なお部屋ですか。……それって、どんな場所ですか?」
「どんなって……君が知っている物で例えるなら、檻が一番近い形かな。それに、朝まで出ることは出来ない」
「うわぁ、漫画家さんとかが、よく編集者にやられるやつですね」
「……いゃ、カンズメとは違う。君の経歴に汚点が残る様な場所だ」
「……ハハハ。そうですか。ありがとうございます。……私、なんか、もうちょっと星空を見ていたい気分なので、もう少しここに居ますね」
「……そうか。じゃっ、元気でね」
お巡りさんは、私にそう告げると、公園から出て行ってしまった。
ひゅぅぅぅぅ~~。
木枯らしが吹き抜ける。
……さて、本当に寒いなぁ。
私、明日の朝、ここで凍死しているかもしれない。
家も無い、お金もない、仕事も無い、食べるものも無い。
もしかして、私の人生、詰んだかもしれないわね……。
……いゃ、待ちなさいノエル。諦めるのはまだ早い!
貴女は何?
そう、魔法使いでしょ。
魔法で何とかすればいいのよ。
寒いのだから、まずは火よ!
火を起こせばいいのよ。
そして、私は呪文を唱え始める。
「にゃむにゃむにゃむにゃむ~~~いでよ、ファイヤーボール!」
私が呪文を唱えると、直径三メートルはあるファイヤーボールが現れた!
やった、暖かい!
これで、このまま火球を維持すれば、私は凍えなくてすむわ!
よし、これで私の勝ちよ。
「おーっほっほほほ!」
ウゥゥゥーーーーー!
遠くからサイレンの音が近づいて来る!
「…………はい、身分証お返ししますね。ダメですよ、こんな場所で火の玉作り出しちゃ。十八歳なら危険なの分かるでしょ。火事になる可能性があるんですからね!」
「……すみません。ぶっ放さなければ良いかと思ったのですが……」
「良い訳ないでしょ。今の日本で、ファイヤーボールなんてぶっ放して下さい。町もSNSも、たちまち大炎上ですよ。」
「……はぃ。以後気を付けます」
消防士の手により、この街はファイヤーボールからの危機を、回避する事が出来た。
ぴゅぅぅぅぅぅ~~。
くぅぅ。また寒いよぉ……。
死ぬ、死ぬ。
これでは、振出しに戻っただけだ。
デッカイ火の玉は消防士さんに止められてしまったしなぁ……。
……ん?
……そうだ! 小さな火ならいいんじゃない?
私は再び呪文を唱える。
「むにゃむにゃな~。いでよ、幻想マッチ!」
すると、私の手元に小さなマッチ箱が現れた。
「ふふふ、このマッチを擦ると……」
シュッ!
私はマッチを一本擦った。
すると、目の前には暖かいストーブが現れる。
おぉ~暖かい。
しかし、マッチが消えると共に、ストーブは消えてしまった。
よぉし、次は温かいご飯だ!
シュッ!
私は再びマッチを擦る。
すると、暖かい『しょっつる鍋』と『ちゃんこ鍋』、『キムチ鍋』と『牛もつ鍋』が現れた。
……なぜ、鍋しか現れない……。
そんな事を考えていると、マッチの火が消えた。
……あっ……まだ一口も食べていないのに……。
ガクッ。
私は、首を折って悲しんだ。
……そういえば、この魔法って何かに似ている気がするのよね。
なんだっけ?
私は両こめかみに指を当てて考える。
う~ん。なんだっけかなぁ~?
……あっ! そうだ! マッチ売りの少女だ。
マッチ売りの少女も、寒くって、色々と暖かいモノを出現させるのよね。
マッチ売りの少女も中々賢いじゃない!
ところで、あのお話って……最後は?
……ん? ……あれ?
私は首を傾げる。
……確か……死んじゃうんじゃなかったっけ?
あぁぁあああああ! ダメじゃん、ダメじゃん! 私、凍死フラグ立ててるじゃん!
この魔法はダメよ。
キャンセル、返品、クーリングオフよ!
私は、慌ててマッチの箱を消した。
……ふぅ。これで、私は助かった……。
ぴゅぅぅぅぅ~~~~。
またしても、木枯らしが、私の体を通り過ぎていく。
ダメ、なにも解決していない。やはりこのままじゃ、私死んじゃうわ。
私が頭を抱えて悩んでいると、今度はいよいよ変なおじさんが、声を掛けて来た。
「ぐへへ……、お嬢ちゃん、どうしたんだい、こんな時間に公園で一人なんて」
「別にいいでしょう。一人が好きなんです。あっちに行ってください」
私は、冷たくあしらった。
しかし、おじさんは、それくらいでは引き下がってはくれません。
「ちょっと、様子を見ていたんだけど、お嬢ちゃん寒いんだろう? だったら良い物があるぜ!」
そう言うと、おじさんは、ワンカップを出して来た。
「これを、キューって飲めば体もポカポカさ。さっ、どうぞ、どうぞ」
おじさんは、横綱と書かれたグラスをチャプチャプさせながら、私に手渡す。
「あのぉ……、私まだ十八歳なので、お酒飲めないんですけど」
「何言ってんだい。今の時代、十八歳は成人だろう」
「あっ! そうか。成人か!」
「そう、成人なんだよ。なのでキューっていっちゃいな」
「はいっ! キューっていっちゃいます!」
私は、ワンカップを開けるべく、蓋に指を掛けて力を込める……が……。
ゴンッ!
私の脳天にチョップが炸裂した。
「いったぁ~~~。誰ですか? 何ですか? 私の詰まった脳みそを潰す人は」
私は、振り返って、無法者の顔を睨め付ける!
すると、なんとそこには、同じバイト先の幸穣君が立っていました。
「おぃ、何が詰まった脳みそだ。お前の頭は、カニ味噌以下だろう」
「うぅぅ……、失礼な! 大体、カニ味噌は、脳みそではなくて、消化器官です!」
「……意外と細かい事を知っているやつだな……。まっ、それは良いとして、お酒は二十歳になってからだ。お前はまだ飲めん!」
「……えっ、成人なのに飲めないんですか?」
「飲めない!」
「うぅぅ、じゃぁ、私に凍死しろって事ですか? 私は、寒くて死んでしまいます!」
「……なぁ、……酒が飲めないのと、凍死と、どう話がつながるんだ?」
私は、おじさんにワンカップを返すと、幸穣君に、事の経緯を話しました。
「……なるほど……家が燃えたのな。……取り合えず、こんな所で死なれても寝覚めが悪いから、今日は部屋に泊めてやるよ」
「本当ですか? ……あぁ~~。でも変な事とかしないでくださいよ」
「はぁ……あのなぁ~。俺は、小学生に手を出す趣味は無い。ロリコンじゃないんだ」
「なっ! 小学生とは、失礼な。 私は、十八です!」
「……十八ね……オフショルの服着て、ランドセル背負わせれば、バッチリ小学生で通ると思うんだけどな」
「……くっ! ……まぁ、先日バスの運転手さんに料金いくらかって訊いたら、しっかり小学生料金を請求されましたから、あまり強く否定はしませんが……」
「まっ……そうだろうな……」
幸穣君は、腕を組んで頷いた。
「さて、それはいいとしてノエル。結局部屋に来るのか? 来ないのか?」
「行きます! このままここに居ると、別の意味で逝ってしまいますから!」
「そうか、じゃぁ、付いて来い!」
そんな訳で、私は住谷幸穣君に付いて行くのだった。
本当は、ほのぼの系を書こうと思ったんですよ。
ほら、最初の方少し、そういうのが窺えません?
でも、段々と、コメディータッチが増えてしまって……。
いゃ、ほのぼのに戻して見せます。
頑張れ私!




