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「反町と最近、会っていて直に話していると会話が噛み合わないときがあってな…。
アイツの言うことで俺には理解不能なことがある。
つい先週末のこと…
俺と反町、二人でファミレスにおいて話をしていた。
するとアイツが言うに、
この世界は『貝山 遥』の作り上げた世界なんだって。
俺が、それを掘り下げて反町に聞くと
俺達が、こうして現実に存在しているのは、
すべて彼女の創造の中における出来事だと言う…。」
「『貝山 遥』、『貝山 遥』…、
という名前、僕は中学の同級生しか知らないけど…。」
「その『貝山 遥』で合ってるよ。反町から詳しく聞いている…反町が今まで生きてきた経験、己で調べたり、ネットくぐったり様々な占いの結果より導き出された【真理】らしい…。」
そう井出に言われて僕は絶句した。
僕には何か、もう、わけが分からない…。
そんな僕に、畳み掛けるように井出が言う。
「あまりに遠回しに述べて申し訳なかったが、
おまえは最近そうであるように、引き続き反町とは距離を置け!と言いに来たんよ♪
反町から何か、おまえに連絡が来たときは、アイツ、おまえを介して『貝山 遥』に接触しようとする意図があることを伝えたかった…。まず、それに違いない…!」
僕には井出の声は聞こえていたが下を向いたまま、黙ってしまった…。