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「反町は若くして己に投資したんだ。
おそらく俺達が決して味わえないような楽しみも、していたんだろう…。
それらは俺から見て『白』だ。
現時点ではな…。」
「現時点?」
「反町の家に俺は最近、友人として一人で訪ね出入りし、アイツの部屋に水タバコがあった。
水タバコ、おまえ、分かる?」
「…何となく分かるよ。」
「それ自体は違法ではない…だが反町は、市販タバコを色々、己でブレンドして吸ってるようなかんじだな…。そういう知識も素材もアイツには、あったわけだ…。」
僕は、なぜかイライラして井出の話を聞いていた。
いや、イライラしていたのには理由があった。
井出が何を言いたいのか、
さっぱり僕には分からないのだ。
僕は、それを表情や仕草には出さなかったが、
井出は、それを感じ取ったのかもしれない…。
少し早い口調で再び話し出した。