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井出は本当に、すぐ僕の家に来た。
彼を僕の部屋に案内し、
テキトーに座ってもらい、
僕はコーヒーを二人分作り、
彼と、それを部屋で、
座って飲む。
なにか、
井出が早めに会いたい、というから、
彼は今夜、急な何か予定が入ったのだろう…とか思いながらもストレートに、そこを聞いてみると、
彼は、
「おまえと直に話すのが待ちきれなくて。」みたいなことを言うから、
僕は、
「なにか、あったの?」と彼に聞いた。
彼は少しの沈黙後に、
「…川中、御前は己の暮らしをどう思う?」
と、聞いてきたから、
僕は、
「僕より幸せな男を僕は知らない!」
と言った。
井出は笑う。
僕も笑う。
二人で笑った。