第2波
2025年4月2日 05:40 先島諸島沖
宮古島には弾道ミサイル攻撃の直後に、約100発の巡航ミサイルが飛来した。
03式改2個中隊のうち、313高射中隊が花の無自覚な破壊工作の結果、壊滅している。
このため残る346高射中隊、及び93式と87式等の部隊では、これを防ぎきることが出来なかった。
巡航ミサイルは例によって、北斗による誘導が得られなかった。
そのため、その命中精度は上海の期待よりも低かったが、陸上自衛隊の対空ミサイルの即応弾を吐き出させることには成功していた。
沖縄本島とは異なり、下地島空港と宮古島空港にはミサイルは飛来しなかったため、宮古島戦闘団は中国側が、この2空港の奪取を目論んでいると推定した。
先島諸島には、それぞれ100発ずつの巡航ミサイル攻撃に続いて、戦爆連合の第2波が侵入しつつあった。
その戦力は、J20が20機、J11、J16、が50機ずつ、J10戦闘爆撃機が100機だった。
J10は、J11に比べて一回り小型の戦闘爆撃機だ。米軍のF16に相当する。
これで上海方面の対沖縄用の戦闘機群は、迎撃任務と上陸船団の直掩のJ11が50機残るだけだった。
彼等にとって計算外だったのは、第1波の攻撃を支援していた、KJ500Hと空中給油機が全滅してしまったことだった。
このため、彼等を支援するために緊急発進したバックアップのKJ500Hの護衛は、空中給油機の護衛に失敗したJ20装備の旅団も加わり、より厳重な護衛が付けられていた。
合計250機近い大戦力ではあったが、3つの島を同時に攻撃するために分散する。
例えば、宮古島にはJ20が3個中隊12機、J11が2個大隊16機、J16が同じく2個大隊16機、J10が4個大隊32機、といった構成だ。
分散したといっても、爆撃任務に就くJ10、J16の対地攻撃力は十分に強力だった。
ちなみに、このうちJ10部隊は航続距離の問題で台州の基地から出撃している。
彼らの主力は上海から出撃すると、直ぐに海上には出ずに台州に向かい、J10部隊と合流してから先島諸島へと向かった。
台湾の制空戦闘と防空制圧はまだ激しく続いていたので、できるだけ台湾に近づかないよう、迂回コースをとって接近する。
第2波のパイロット達は第1波の攻撃で、敵艦隊と沖縄の敵航空戦力は壊滅したと聞かされていた。
その一方で、第1波攻撃隊同様、北斗が使用不可能な状態にあることは聞かされていなかった。
結果、彼等の対地攻撃兵器の大部分は、衛星誘導方式のものがそのまま搭載されていたのだ。
宮古島に向かう、J16編隊のうち、旧海軍航空隊所属機と空軍所属機は1個大隊8機ずつだった。
J16の空軍所属の1機は、白上尉が操縦していた。
洋上に出たとたんに彼は空の様子がこれまでの任務とは、まるで異なっていることに気づかされた。
まず、日本のレーダーサイトからのレーダー波が消え去っている。
作戦通りにレーダーサイトが破壊されたのだ。それだけではない。たまに洋上航法訓練や警備飛行で探知することがあった、E2DやE767、E3といったAEW機(空中早期警戒機)のレーダーも反応が無い。
日米台のスクランブルが出てくる気配も無い。
わずかに未知の電波が受信されるだけだ。もうこれだけで、この海域の空は中国のものになりつつあることを確信させるものだった。
我々は勝っている!