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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
空を駆ける
82/221

アンフェア

米軍のF22は嘉手納に、2個飛行隊が前方配備されていた。

彼等は、弾道ミサイル攻撃直前の離陸に成功すると、第90戦闘飛行隊は日米のAWACSの護衛に加わった。

残りの1個飛行隊、第525戦闘飛行隊はAWACSの管制に従い、中国軍攻撃隊への迎撃を試みたのだ。


付大佐が見込んだ通り、沖縄上空から退避行動をとった米軍の沖縄のE3は、自身のレーダーでは中国の戦爆連合を、捉えることはできなくなりつつあった。

だが、その代わりに海上のイージス艦、地上のパトリオット部隊のレーダー情報から、データリンクの中継機能を駆使することで、中国空軍の動きはほぼ掴んでいたのだ。

海上のアセットは、対潜警戒グループが沖縄を挟んで、BMDグループの反対側にいた。

この配置が功を奏し、E3は自らのレーダーで目標を捉えることは出来ずとも、他のアセットとのリンクがギリギリ維持できていた。


E3の指揮官達は、冷静に戦況を判断している。

J20により、確かに沖縄上空は制圧されつつあった。

だが、だからといって、それに対して第525戦闘飛行隊のF22を正面から反撃させるようなことはしなかったのだ。


E3に乗り込んだ、元ベテラン戦闘機パイロットの要激管制指揮官は、第525戦闘飛行隊をマッハ1.6の超音速巡航で、大きく九州側に迂回させた。

そして、レーダーを使用させないままで、中国の戦爆連合の背後に回りこませたのだ。

さらに、なおもレーダー未使用かつ、超音速巡航で一挙に距離を詰めさせる。

距離が50キロを割ったところで、F22のレーダーを使用させると、護衛のJ20、11には目もくれず、隊形から攻撃機部隊と判断したJ16編隊を狙って、AIM120Dによる一斉射撃を命じた。


この時の双方の距離は15キロ以下。実戦慣れしていない中国軍機が、PL15、12の長射程を過信し、あまりに遠くからミサイルを発射して振り切られがちなのに対し、米軍は過去20年近くAIM120を実戦で使用してきた。

そして目標に回避された経験も豊富に持っていたから、射程100キロ以上のアクティブレーダーミサイルでも、背後からの追撃で使用する場合は、思いきり距離を詰めてから発射しなければ、簡単に命中するものではないことを経験的に良く知っていたのだった。


何より、当のE3で空中指揮を執る指揮官の大佐からして、中尉の時に参加したユーゴスラビアへの軍事介入において、似たような状況で撃ったAIM120を外してしまい、ユーゴスラビアのミグ29を逃がした経験を持っていた。


攻撃隊のJ16は、レーダー警戒警報が鳴り響くと、ほぼ同時にAIM120Dの攻撃を受けた。

状況を把握して対抗手段を選択する暇も無く、命中が始まる。

反射的に回避機動を取ることの出来た、カンの良いパイロットも多数存在したが、12機のF22は、約70発AIM120Dを発射し、さらに数機は肉薄して、赤外線式ミサイルのAIM9Xでの攻撃にも成功した。

この結果、爆装で巡航中だったJ16を、一挙に42機も撃墜してしまっていた。


護衛のJ20、11の編隊は何が起きたのかを理解したが、F22をレーダーで探知することが出来なかった。さらにF22はアフターバーナーを使用して、通り魔のように離脱しつつある。

120機もいる護衛戦闘機には、まったく手を出していない。

怒り狂った中国軍の護衛戦闘機隊は、赤外線捜索追尾システム=IRSTを駆使して、F22の追尾を試みたが、うまくいかなかった。

F22の追尾は、柳の大隊も全速で試みたが失敗した。

絵に書いたような一撃離脱をされてしまったものの、攻撃隊はまだ半数以上が残存している。爆装を緊急投棄した機体は、あまり居なかったのだ。



今こそ、友軍である日本軍機が、自分達に追い回されているにもかかわらず、最大の脅威であるF22が援護に姿を現さなかった理由を、柳は理解した。

(米帝め!日本軍機を囮にしやがった!なんて奴らだ、勝つためには友軍も見殺しにするのか!卑怯な帝国主義者めが!)

実際には米軍はそこまで非情に考えていたわけでなく、戦闘機と戦う無駄を避けて、ピンポイントで攻撃機を狙ったに過ぎなかったが、すくなくとも柳はそのように受け取った。


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