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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
空を駆ける
76/221

応酬

2025年4月2日 05:07 中国 泉州


中国の誇る第5世代戦闘機、J20を装備した戦闘機旅団を全て制空任務に投入していた空軍は、本土の防空任務をSU27、35、J10、11といった、第4世代戦闘機を装備した旅団に任せていた。

中でも、SU35はJ20を除いた中国軍の戦闘機では、最新鋭と言えた。


現役の戦闘機パイロットだった頃は、SU27も飛ばしていた胡中将は、SU27の発展型であるSU35が大好きで、中国が保有する24機全てを装備する第6旅団を南部戦区から引っ張ってきて目をかけ、台湾海峡沿岸部における防空任務の主軸としていた。


だが、張は戦闘機に詳しくは無かったものの、胡のような拘りは一切無い。

張が知る限り、リバースエンジニアリング目的で長いラブコールの末に、ようやくロシアが輸出を認めたSU35だったが、その性能は中国の期待外れで導入は24機に留まっている。

機動性は世界最高の性能だったが、レーダーと、インターフェース、総合的な戦況認識能力が西側の戦闘機には及ばなかったのだ。

正直、張にはSU27をコピーし、中国製レーダーとソフトを搭載したJ11Bの方が、高性能なのではないかと思える。


実際、第6旅団の戦闘空中哨戒機=CAP8機は、超低空飛行で中国本土に突入してきた台湾のF16V戦闘機を探知することに失敗していた。

もっとも、これは海軍の防空艦と沿岸部の地上レーダーも同じではある。

西側のレーダーと比べると、中国のレーダーは低空を捜索した場合、クラッターと呼ばれるノイズが出やすく、台湾軍機はその隙を突いたのだった。


沿岸部の手前100キロ圏内で上昇に移った第26戦闘機作戦隊は、32発のSLAM-ER巡航ミサイルを発射。泉州港に停泊していた輸送船2隻と揚陸艦1隻に、命中弾を与えて炎上・擱座させた。

乗り込んでいた陸軍部隊は装備を捨てて、命からがら脱出する。

SLAM-ERのうち12発は、さらに物資、燃料、弾薬類を集積していた倉庫8カ所を吹き飛ばして、爆発と大火災を発生させていた。この戦果は米軍の偵察衛星による情報収集の賜物だった。


地対空ミサイル部隊も、海軍の防空艦も、低空から上昇したF16Vを捕捉した。

だが、空中には台湾から帰投してきた友軍機が多数滞空している状況で、まず間違いなく誤射してしまうため、対空ミサイルで攻撃出来なかったのだ。

これは偶然ではなく、台湾空軍はこのタイミングを狙って攻撃を行ったのだった。

追撃でF16Vを3機撃墜したものの、第1次空襲の計画を主導した胡の落ち度と言って良い事態だった。


さらに泉州港にはATACMSの第2波、9発が着弾して損害を拡大する。

台湾側は台北付近への上陸を企てる中国上陸部隊の最大終結地点を、泉州港と判断しており、果敢に反撃を加えてきたのだ。


台湾の最強戦闘機であり、米国製F16戦闘機の最新モデルである、F16Vの面目躍如だった。



2025年4月2日 04:24 沖縄沖


一方、沖縄への巡航ミサイル、航空攻撃も本格化しつつある。


弾道弾攻撃の第1波と同時に、上海を出航した中国艦隊と、内陸の常州、南京六合馬、安慶、臨潼、咸陽武功の各基地を発進したH6K、M爆撃機、約200機から1000発ものCJ10巡航ミサイル、CJ12対艦巡航ミサイルが発射される。

さらに海上より16隻もの055級、052D級駆逐艦から、中国版カリブル巡行ミサイルYJ18が200発斉射される。


中国沿岸からの巡航ミサイルの発射は、韓国国内に配備されていた米軍の早期警戒管制機=AWACSが遠慮なく探知した。

データリンクにより、それは自衛隊の南西航空団の指揮所や、日本の領域で滞空していた日米のAWACSが直ちに認識する。

1000発を超える巡航ミサイルが沖縄の空港や、レーダーサイト、そして沖縄沖で弾道ミサイルにあ迎撃たっていた、日米BMD任務グループに向かって放たれている。

さらに、巡航ミサイルを追いかけるように、数百機の中国軍機が沖縄上空へ接近しつつあった。


BMD任務グループには、実に300発ものCJ10、CJ12が発射された。

5隻のイージス艦は、長射程のSM6および、SM2艦対空ミサイル400発の一斉射撃をもって迎撃する。

イージス艦の護衛艦は、さらに撃ち漏らしに対して、中射程のESSM艦対空ミサイルを発射。

この結果、300発もの対艦巡航ミサイルを全弾撃墜してしまっていた。


超音速のCJ12の迎撃では、ヒヤリとする場面もあったが、迎撃戦自体は極めて短時間で終わった。(双方が炸裂させたミサイルの金額は、日本円換算で5000億円以上の金額に達していた。)

だが、艦隊の米軍将兵、海自隊員にとっては永遠に思える時間だ。

これまでの訓練では、滅多に発射する機会の無かった対空ミサイルの実弾を、SM3に続いて大量に発射するのは、彼等にとっては妙な夢を見ているように思われた。


米軍将兵の中には、過去に巡航ミサイルの大量発射を経験した者がいたものの、そんな彼等でも対空ミサイルの一斉射撃はやはり初めての経験で、そもそもこれほど大量のミサイルを撃ち合う経験自体が「人類史上初」だったのだ。


日米のイージス艦隊に損害は発生しなかったが、中国側としてはそれでも構わなかった。

対空ミサイルの殆どを、短時間で撃ち尽くした沖縄沖のBMD任務グループは、展開していた海域から離脱するしか無くなったからだ。

5隻のイージス艦は、護衛についていた「ひゅうが」以下4隻と共に、佐世保に向かって退避を始めた。

これ以上攻撃を加えられたら、損害を避けられないだろう。


だが、中国は切り札のDF21D対艦弾道ミサイルを搭載した、H6N爆撃機12機をまだ残していたのだ。


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