表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
南の島に降り注ぐモノ
67/221

殺意

2025年4月2日 04:15 沖縄県 


最終的に日米の迎撃ミサイルを掻い潜った弾道弾は、28発だった。

限定的な弾道弾防御機能を与えられた陸上自衛隊の、03式改地対空誘導弾の迎撃は間に合わなかった。

PAC3やTHAADの迎撃結果を確認した後で迎撃した形となり、発射機会を逸したのだ。


28発のうち12発は、基地を外れて市街や海上に着弾した。

基地の空きスペースや、海上にはレーダーリフレクターが設置されており、地上からは妨害電波も放射される。さらに嘉手納上空には、米軍のRQ4を改造した無人電子戦機が滞空して、妨害電波を放射していた。

これらは、ある程度効果を発揮して、前述の通り12発の弾道弾を本来の目標から外すことに成功したのだった。

さらに市街には、弾道弾だけでなく、両軍のミサイルの破片、作動不良の迎撃ミサイルが降り注いだ。


最終的に日米の基地には、那覇に9発、嘉手納に7発が着弾した。

那覇基地の着弾が多いのは、本土からの増援と米軍のPAC3のうち、1個大隊が増援で派遣されていたとは言え、迎撃ミサイルの絶対数が不足していたからだった。


那覇への9発は、5発が第一、第二滑走路を結ぶ誘導路と、2本の滑走路に大穴を開けた。

海側の第2滑走路への命中弾は、滑走路南側端を狙った2発のみだったから、風の向きによっては緊急着陸に使えそうではあった。

エプロン地区に着弾した4発は、1発が大型格納庫に着弾。CAPに酷使されて整備中だったF15改を2機破壊した。

アラート待機用シェルター1基にも直撃が出て、これを完全に破壊したものの、これは空だった。

さらに1発が、退避が間に合わなかった、陸自のCH47ヘリ数機を吹き飛ばす。

最後の1発は、北側の民間エリアに着弾。駐機していたB777旅客機を、直撃して破壊した。


那覇空港は北の攻撃予告の期日、12時間前に閉鎖されていたから、B777は無人だったのが幸いだった。

飛散した破片は、さらに近くに駐機していたB767旅客機2機の燃料タンクに穴を空けて、2機とも炎上させた。空港職員の安全確保を優先した結果、燃料を抜きとる時間が無かったため、3機共に派手に燃え上がった。

空港職員は弾道弾攻撃が終わったのか定かでないため、敷地の外から様子を確認するのみで、消火活動を行うことも出来ずに、機体が燃えるに任せている。

この様子はいち早くマスコミのカメラマンが捉えた。弾道弾に引き千切られて、燃える民間旅客機の画像は衝撃的な速報として、中国国家主席の演説の映像とセットで、日本と世界を駆け巡った。

「信じられません!!!日本が!沖縄の那覇空港が攻撃されています。旅客機が大きな火災を起こしています!皆さん、近くの頑丈な建物に避難して下さい。私も避難します・・!」


那覇空港から離れた住宅地にも、数カ所の着弾があった。

アミーゴ2の4人のパイロットが目撃したのは、これらの結果生じた火災だった。

この光景を目撃した彼等は、自分の心に信じられない程の殺意が、中国軍に対して沸き上がるのを感じた。

「「「「殺す」」」」


嘉手納に着弾した7発は、1発が数基のパトリオットのランチャーを破壊し、滑走路2本に2カ所ずつの大穴を開けた。残り2発は、広大な嘉手納基地の敷地に散発的に命中。あまり被害をもたらさなかった。


早速、日米の基地部隊が素早く滑走路の補修に取り掛かろうとしたが、那覇、嘉手納には新たな脅威が迫っていた。

中国軍の空中発射型極超音速ミサイルと、巡航ミサイルが、空中と海上から発射されたからだ。


2025年4月2日 04:22 那覇市上空


上空から見て、基地と市街に火災が発生しているのを確認したアミーゴ2は、発生個所の概略を報告すると、AWACSから新たな指示を受けた。


中国大陸から、航空機と巡航ミサイルらしき反応が急速に接近中。


増設された戦況表示ディスプレイにデータリンクを通じて、AWACSが探知した目標が表示されている。

アミーゴ2は、警報を受けて緊急発進したアミーゴ3と空中集合すると、久米島に向かう。

二つのフライトのマスリーダーは橋本だった。

巡航ミサイルの群が、久米島のレーダーサイトを狙っており、彼等2個フライトに迎撃が下令される。

彼等は、アフターバーナーを点火すると、燃える那覇を後にした。

8機を率いる橋本はプレス・トウ・トークボタンを押下すると、無線で型通りの言葉を述べた。

「いよいよ本番だ。落ち着いて訓練通りにやれ。」


戦闘機パイロットは、空中ではどんな場合でも淡々と話すように訓練される。

ロボットアニメの主人公のように、何か起きる度にコクピットで叫んでいては、パイロットにとって何よりも重要な、冷静さを失うばかりだからだ。

この時の彼の声も「昼飯でも食いにいくか」程度の熱量だった。

だが、内心は沸き上がる衝動を必死に抑えていたのだ。橋本は意識的に深い呼吸を繰り返す。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ