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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
緊急展開-自衛隊に託される希望
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独立宣言

2025年4月1日 17:35 那覇市内


前田典夫は沖縄の大学に所属する社会学名誉教授で75歳。

SONや、「いんでぺんでんと・おきなわ」といった、親中派団体のブレーンということになっていた。

彼等の大半は無自覚な中国の協力者だったが、前田は違った。

米国占領下の沖縄に生まれた彼は、米国と日本を憎み抜いていた。復讐のために中国を利用しているつもりで、お互いを利用する関係だ。

そして久米等とは違い、澤崎同様に李達の正体と真意を知っている数少ない人間だった。


一応名誉教授ではあるが、彼が過去には発表してきた論文には、荒唐無稽な沖縄独立論が含まれていた。久米のような人間にとってはバイブルになっていたが。


今彼は、久米と共に先ほど行った演説の録画を点検していた。


その内容は

・自分達は琉球人民共和国の設立を宣言する

・我々はあくまで平和を欲しているだけである。

・にもかかわらず、日本政府と米国は長年にわたって沖縄と琉球民族を抑圧し、差別し、戦争に利用し、また巻き込もうとしてきた。

・先日の朝鮮人学生殺害事件の真相解明と、北朝鮮に対する誠実な対応をすべきところを、あろうことか日米は真逆の対応を行い、軍事行動を開始しようとしている。

・これに対して我々は平和的な抗議行動をおこなってきた。

・だが日本の官憲は抗議を行った若者二人を虐殺した。

・それに加えて中国人留学生や労働者を不当に拘束している。

・もはや日本の統治下にあっては、沖縄の平和を守ることは出来ない。

・したがって沖縄は独立しなければならない。このままでは、永久に日米両政府による圧政と軍国主義への回帰に巻き込まれて、沖縄戦の悲劇が再現されるだろう。

・沖縄が独立した以上、日本国の官憲、政府機関、自衛隊、米軍は直ちに国外へ退去しなければならない。

・しかしながら、日米両国はすぐさま我々を弾圧、いや侵略しようとするだろう。我々はこれを防ぐために、中華人民共和国と国交を樹立し、同国の人民解放軍の進駐を求めるものである。

・最後に犠牲になった、小田氏、青池氏に哀悼の意を表すものである。


「良いでしょう。久米さん。これをネットにアップし、マスコミ各社に送って下さい。

日本の官憲がどう動くか分かりません。中国軍が助けに来るまで、お互いしばらく身を隠しましょう。若者達にも気をつけさせて下さい。」

「いよいよ独立宣言ですね!全てはここから始まるのです!」

久米はヒロイン気取りだった。


彼等の独立宣言とやらを、日本の国内法と国際法がどのように扱うかは、実際のところ中国にとってはどうでも良い。

本物の日本人が、中国に軍事行動を求めたという事実がとりあえずあれば、それで十分だった。

ちょうど台湾でも類似した工作が行われている所だ。


台湾と沖縄の親中派が、中国軍の進駐を要請したことを根拠に、攻撃を開始するのだ。

中国としては一応手順を踏んでいるつもりだった。

あとは動画の検証や、独立宣言や中国軍進駐要請の正当性を、日本側が議論する暇も無しに、一気に台湾と先島諸島、ついでに尖閣諸島の占領を既成事実化するだけのことだった。



2025年4月1日 18:05 沖縄 本部町


うるま市から場所を変えた李達は、再び電子的な潜伏を行った上で、予備のスマホと捨てアカウントを使って動画配信サイトをチェックしていた。

前田が指示通りに独立宣言の動画を配信している。

同時に、情報支援部隊隷下のサイバー戦部隊とロボットが再生回数と検索数を急拡大し、急上昇ランキングのトップに押し上げつつあった。


李はホっとため息をついた。これで彼の最重要の任務は完了したのだ。

長きに渡る沖縄での潜伏生活が報われたと思う。

張少将はここまでやれば、無理せず投降して構わないと指示していた。

中国で拘束する日本人との交換で、優先的に帰国できることになっている。その間は何も喋らなければ良いだけだ。

だが、張少将の後任、任少将は前任者の残したレガシーを使って、得点を稼ぐ気満々だった。


李にはまだ、日本人協力者のターゲッティング支援という任務が残されていたのだ。


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