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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
緊急展開-自衛隊に託される希望
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緊急展開2日目

2025年3月28日 06:15 伊丹空港


翌朝、KC46A空中給油機4機が、桂駐屯地の補給処から運び込まれた大量の戦闘糧食と医薬品を、伊丹空港で積み込んで、那覇で降ろした。

いったん荷下された戦闘糧食は、那覇空港からオスプレイ、CH47、さらに小牧から飛来したC130で末端輸送に切り替えられ、先島諸島と奄美に送られていった。



2025年3月28日 06:30 美保基地・入間基地


昨日は1機あたり最低3便以上と酷使されたC2装備の402、403両飛行隊は機材、人員とも疲労困憊だった。

それでも美保と入間に帰投すると、夜を徹した整備・点検作業に入り、翌朝には稼働10機を保った。

もう少し飛ばすことも出来たが、先を考えてのローテーションが組まれたのだ。


二日目の一便は、千歳空港に移動していた、岩見沢の398施設中隊の奄美への空輸だった。

奄美に到着した彼等は、奄美空港周辺の森林と、大島分屯基地周辺で陣地構築を開始した。

2便からは、第1ヘリ団と分担し、展開予定の即応機動連隊の先遣中隊を先島諸島へ空輸している。

これで与那国、奄美、石垣、宮古にはそれぞれ2~3個普通科中隊が展開した形となった。


かれらは警備活動を継続しつつ、可能な限りのマンパワーを投入し、施設と共に陣地構築を行う。

ウクライナの戦訓を知っている彼等は、今行っている陣地構築作業の出来具合が、自分達の命運を決めると理解していたから、寝る間を惜しんで作業を行った。


同時刻 鹿児島港


一方、主力部隊の移動も始まっている。北熊本の第42即応機動連隊は先遣中隊を見送ると、主力は鹿児島港に移動した。

そこで方面隊直轄の支援隊、通信隊、それに西部方面対舟艇対戦車隊と第8高射特科大隊、368施設中隊、第5地対艦ミサイル連隊第1中隊、さらには第12普通科連隊と第43普通科連隊から抽出された、重迫撃砲2個中隊と合流。

その後、PFI船の「ナッチャンworld」「はくおう」それに海上自衛隊が差し出した「かが」に分乗。30ノットの高速で、与那国に向かって海上輸送の途についた。

(さらに「かが」の同形艦「いずも」も今回の輸送作戦に投入したいところだったが、空母化改修の真最中で不可能だったのだ。)


高速道路を使用しての陸上自衛隊各部隊の移動には、8時間の遅延が生じていた。

浜名湖橋爆破事件を受けて、検問の強化と、自衛隊に随伴する警察の手配、移動途上の橋梁やトンネルに対する不審物の点検に時間がかかってしまっていたのだ。

テロ攻撃を受けて、公安は遠慮なく中国の工作員に対する摘発を開始した。

これに対して、中国側は中華系住民の不当な弾圧だとして、日本に対する攻撃の正当化に使うつもりでいた。


最近まで「いずも」型クラスの大型船は、与那国の久部良港には接岸できなかった。

だが、3年前に中国の脅威が強く認識されて以来、防衛予算で港湾整備が行われていたから、1隻ずつの接岸であれば問題は無くなっていた。

久部良港そのものについては、全島避難終了後にもがみ型護衛艦1隻が派遣され、機雷を敷設する予定になっている。



同時刻 佐世保


同様に、佐世保まで高速道路を使って自力で移動した、善通寺の第15即応機動連隊は支援部隊と物資と共に、「はくおう2」「はくおう3」に乗り込んで石垣島に向かっていた。


海上自衛隊の輸送能力を補う施策としてのPFI船だったが、「はくおう2」「はくおう3」「はくおう4」「はくおう5」は3年前に策定された計画から、さらに前倒しで手当てされた船だった。

いずれも乗組員は予備自衛官で「はくおう」に相当する速力30ノット、排水量1万5千トン。車両200台を輸送できる高速フェリーだった。

ネーミングは適当になってしまっていたが。


同時刻 函館


名寄の第3即応機動連隊は、支援部隊と北部方面対舟艇対戦車隊、第2戦車連隊第4中隊、第5地対艦ミサイル連隊第2中隊と共に函館から「はくおう4」「はくおう5」で宮古島に向けて輸送されていった。



2025年3月28日 13:00 鹿児島港


呉からやってきた海上自衛隊の第1輸送隊「くにさき」「しもきた」は、「ナッチャン」達と入れ替わりで鹿児島港に入港。

西部方面高射特科連隊の87式自走高射砲5個小隊20両、西部方面戦車大隊の10式戦車1個中隊12両を積み込むと、可能な限りの速度、22ノットで先島諸島に向かっていた。


彼らは奄美に一度寄港して、1個小隊の87式を揚陸した後、鹿児島から3日かけて沖縄本島、宮古、石垣、与那国に順次寄港し、それぞれ1個小隊ずつ87式を揚陸した。石垣には10式も揚陸している。

なお、第一輸送隊の残る一隻「おおすみ」はドックに入っており、投入できなかった。


これら4つの海上輸送隊の航路は、海上自衛隊のP1、P3Cが警戒にあたり、各輸送隊には2隻の護衛艦がついている。

また、情勢の急変を受けて、アフリカのジブチに居る護衛艦とP3C部隊には、急遽本国への帰還命令が出ていた。

だが、いかんせん距離がありすぎた。P3Cの帰国が間に合えば良いほうだろう。


中国が最初にどこをどの程度の強度で狙うのか未だに不明な上に、北のミサイル攻撃への警戒と、輸送船団護衛、それに「アメリカ」ESGへの救援で、海上自衛隊は分散を強いられている状況だった。

やはり、戦力を集中しての海上打撃によって、中国の上陸を阻止するのは厳しいかもしれなかった。


少なくとも海上輸送を完了し、「アメリカ」遠征打撃群と合流して、まとまった水上打撃部隊を編成すること無しに、中途半端な戦力を東シナ海に展開させることは、わざわざ中国軍に有利な状態で奇襲してくれと言っているようなもので、自殺行為であると考えられている。

おまけに米軍の空母打撃群は、ニミッツのグループがグアムに向かっている最中で、日本近海には一つも居ない状況だった。


一見消極的にも思える海上自衛隊の動きの例外は、潜水艦隊ともがみ型だった。

潜水艦隊は、東シナ海で中国軍を待ち伏せするため、入念に検討されてきたポイントに慎重に進出すると、そこで着底して息を潜めていた。

彼等には、絶対に中国側に探知されないという自信があった。


もがみ型各艦は、輸送終了後、離島の港を機雷で封鎖すべく待機している。

さらに2隻のもがみ型が海保の巡視船数隻と共に、決死の覚悟で尖閣諸島周辺海域における警戒監視を続けていた。

彼等の撤収のタイミングは、最も難しい判断になるだろう。

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