表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
緊急展開-自衛隊に託される希望
41/221

緊急展開初日

2025年3月27日 09:15 防衛省 


統幕長が状況を確認していた。

「ロシアと北はどうしてる?」

「ロシア空軍、海軍共に、ウラジオと我が国近海を行ったり来たりです。陸軍と海軍歩兵は小規模ですが、揚陸艦に乗り込む動きがあります。威嚇のつもりでしょう。」

「ロシアは本気では無いだろう。」

「ええ、確かに。北はミサイル車両を本格的に動かしています。衛星から確認できるだけで、相当の動きがあります。」

「陸自の移動は?」

「間もなく本格化します。」



2025年3月27日 09:35 那覇基地


沖縄に陸上自衛隊の第一ヘリコプター団、各方面航空隊の大型輸送ヘリコプターCH47、オスプレイが急行した。

彼等は那覇空港に大挙して着陸すると給油を受けた。

同時に、隣接する那覇駐屯地からやってきた、新編成されて間もない第52普通科連隊所属の3個中隊を収容。1個中隊ずつを与那国、石垣、宮古の各駐屯地に空輸した。


派遣された中隊は各警備隊司令の指揮下に入ると、警備隊の普通科中隊と実質2個中隊で、島への中国特殊部隊の侵入警戒を行うとともに、後続する部隊が入る展開予定地域、そこでの陣地構築準備作業を開始する。

各駐屯地には、あらかじめ予備として多めの車両が配備してあったから、空輸された部隊が足に困ることはなかった。


2025年3月27日 12:10 与那国島


与那国空港にC2輸送機15機、C130輸送機8機が次々着陸した。

彼らが空輸したのは、飯塚市の第5施設群に所属する、401施設中隊と、304坑道中隊だった。

彼等は、あらかじめ与那国駐屯地に運び込んであった資材を受け取りつつ、空輸した坑道掘削装置、掩体掘削機、グレーダといった装備を使用して、久部良岳と、浦部岳周辺に掩体構築作業を開始した。


夕刻には各務原の402施設中隊が、宮古島空港に降り立ち、宮古島熱帯植物公園に陣地構築を始めた。小郡の391施設中隊は、下地島空港に空輸されて周辺の森林に投入される。

地雷や水際機雷の敷設は、住民の避難が始まったばかりの現状では、危険でまだ行うことができない。


2025年3月27日 18:50 石垣島


上富良野の395施設中隊と、岩見沢から302坑道中隊が石垣空港に到着。底原ダム周辺で陣地構築を開始した。

302中隊は元々去年に廃止予定だったが、ウクライナの戦訓から陣地構築の重要性が再認識された結果、器材を更新した上で存続している部隊だ。


一部のC2は那覇に着陸すると、KC46A、KC767空中給油機用のハイリフトローダーを卸した。

オーストラリアに移動した部隊を除き、空自の戦闘機部隊のほぼ全てがCAPを開始している状況で、空中給油機を輸送任務に使う余裕は無かったが、念のために輸送機として使う場合に備えたのだ。

KC46A、KC767は荷下ろしに専用機材のハイリフトローダーを必要としたから、美保と浜松からあらかじめ空輸する必要があった。

(その後結局、4機のKC46を一時的に本来の任務から外して、一便だけ輸送に使うことになる。)


一方その頃、南沙諸島で「航行の自由」作戦を実施していた、「アメリカ」ESGは、いよいよ危機的状況に陥っていた。

強襲揚陸艦「アメリカ」と、アーレイバーク級駆逐艦2隻で編成されていた彼等は、あやうく中国の罠に嵌められるところだったことに気づいていた。


何しろ、海南島には、かつての南海艦隊の海軍航空隊所属部隊に加え、沖縄方面に投入する予定だった、J20戦闘機が50機と、J10戦闘機が約100機、SU35戦闘機も20機もが転用されて、海南島に集結しつつあった。さらには大陸奥地からH6爆撃機も加わる。

これに加え、航空戦力だけでなく、海軍の潜水艦、地上からの対艦ミサイルも罠に加わろうとしていたのだ。


中国軍は、「アメリカ」ESGを、これらの兵力での先制攻撃によって絡めとり、せん滅することで、アメリカの威信に大打撃を加えるつもりでいた。

だが、北朝鮮の国家主席の不可解な攻撃予告で、日米台は中国の奇襲意図に確信を持った。


「アメリカ」ESGは米本土から衛星通信でもたらされた新たな命令により、航行の自由作戦を中止して、パラワン水道を抜けてフィリピン領海へと逃げ込んでしまったのだ。


中国側は悔しがったが、統合司令部の命令は追撃せずに、そのまま南沙諸島でのプレゼンスを続行せよというものだった。

中央軍事委員会は未だに奇襲が成立すると考えており、露骨に「アメリカ」を追尾することで、日米台の警戒を呼びたくないと考えていた。

「アメリカ」は、スリガオ海峡を抜けると、そのまま佐世保に向かうでも、アメリカ本土に戻るでもなくフィリピンの領海付近に留まって、海上自衛隊と第7艦隊に救援を求めた。

万一、合流前に中国から先制される場合、フィリピン領海に逃げ込もうというわけだった。


これを受けて、「アメリカ」救援のため、海上自衛隊はイージス艦を含む1個護衛隊を、米軍はタイコンデロガ級とアーレイバーク級を1隻ずつ派遣することになっている。

北朝鮮からの弾道弾攻撃が予告される中、BMD艦を割くことになるのには、慎重な意見もあったが、わずか3隻のESGが台湾付近を航行中に袋叩きにされるよりは良いと判断された。

日米の救援艦隊が「アメリカ」ESGと合流するのは、4日後になりそうだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ