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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
静かすぎた夏-兆候
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四ツ橋線岸里駅拉致事件

2025年3月25日 07:55 大阪


大阪市内の朝鮮学校に通う金は、この朝とても気分が良かった。


夜中に祖国北朝鮮が新型の弾道ミサイル発射。佐渡島付近に着弾していたからだ。

ここ数年、北朝鮮の弾道ミサイル発射は年に数十回の頻度で、最早日本人の大半はかつて程の関心を(威嚇されているにもかかわらず)持たなかったが、彼にとってはビッグニュースだ。


このような時、彼は極一部の朝鮮学校生徒間で代々受け継がれた儀式、「制服の襟に北朝鮮国旗のバッジをつけて登校し、大阪メトロに乗る日本人共にみせつけて挑発する」を行っていた。

電車の中で文句を言いたげでな視線を送るくせに、結局何もしてこない日本人の臆病な態度がたまらなかった。

もし、手を出されようものならボイスレコーダーを使って、被害者としての立場を思いきり主張できるように準備もしていた。


この朝もそれを行っている。金は北朝鮮が挑発行為を行う度に、バッジを付けて地下鉄に乗り込んできたが、手を出してくる輩はおらず、物足りないくらいだ。


だが、この日は違った。


「このクソガキ!少しは空気読まんかい!」

岸里駅到着寸前、周囲の男達が急に脅してきた。

(ついに来た!やれるものならやってみろ!)

金はスマホのボイスレコーダーのスイッチを入れる。

だが、男達の行動は彼の予想を超えていた。

「降りて話そうや。」

(!?)

電車が岸里駅に到着。扉が開く。

次の瞬間、金は首根っこをつかまれ、ホームに連れ出された。

スーツ姿の男数人が金に罵声を浴びせつつ、両足両手を掴んで移動を始めた。傍目には金を担架に載せて、移動しているようにさえ見えた。

車内の乗客は、あまりに急な事態に何が起こったのか分からず、呆気にとられている。


金は数発は殴られる覚悟はしていたが、想像していたのとは違う事態になりつつあることに気がついた。

だが、その時には駅員が制止する間もなく、男達は改札を強引に突破した。

金はそのまま駅前に止まっていた、ハイエースに押し込まれてしまう。

暴行を受けるのは望むところだったので、助けを求めることはしないつもりでいたことが仇となって、気付いた時には拉致されていた。事態の展開が急すぎたのだ。

ハイエースは直ちに北へ向かって発車。電車が岸里に到着してから、90秒程度の早業だった。

ハイエースに押し込まれた金は、まだ同胞に殺されることになると思っていない。


彼は知る由も無かった。

朝鮮労働党のバッジを付けた朝鮮学校生徒が、日本人に虐殺されるという偽旗作戦。それが20年も前から、いつでも実行できるよう準備されていたのだ。


運転席の男がタバコをふかしながら話かけてきた。

「おはよう。同志金。悪く思わないで欲しいんだが、偉大なる主席様と祖国のため、君には尊い犠牲になってもらう。祖国を心から愛する君には光栄だろう?」


金は目を剥いた。訳が分からなかった。犠牲って何の話だ?



翌朝、淀川の河川敷でランニング中の男性が、遺体となった金を発見した。

遺体には複数の殴られた跡があり、「天誅」と書かれた紙が遺体の上に置かれていた。


夕刻。

北朝鮮の総書記は、画面の中で怒りを露わにしている。

「日本の残虐な帝国主義者が、非道にも若き同胞を虐殺した事実は疑い無い事実であり(省略)

日本政府は、速やかに犯人を我が国に引き渡すと共に、謝罪と賠償を(省略)

我が国は1週間待つ。1週間後までに納得のできる回答が無い場合、わが同胞を守るため、わが民族の英知を結集した無慈悲な一撃が、日本、米国の帝国主義者の軍事力の源泉を火の海に(省略)」


北朝鮮による、突然の攻撃予告だった。


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