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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
静かすぎた夏-兆候
34/221

10日前

2025年3月20日 12;17 東京


昼休憩中の真紀子は、シフト表を眺めていた。来週那覇に出発する。

月末はサービス提供責任者の業務が忙しくなるから、その直前の3月27日から29日にかけて3連休をとって、花に会いに行こうとしていた。


ワイドショーでも、そろそろ台湾海峡で急に緊張が高まっている件を扱い始めたが、まだ本気で戦争の心配などしていなかった。

政府は官房長官の言葉を借りれば、いつもの通り

「最大限の緊張感を持って、米側と連携しつつ事態の推移を注視する。」

という態度だった。

メディアも野党も、この段階でも政権批判の方を遥かに重視している。


手に入る情報がこの程度なせいで、真紀子は沖縄に向かうことに特に問題を感じていなかった。


出勤途中に、花宛てに手紙を出して、来週訪れることを伝えておいた。

相変わらずスマホでの連絡手段は全て拒否されている。

直接押しかけることで、決定的に関係が壊れるかもしれなかったが、それでも1年振りに花の元気な姿を見れると思うと真紀子はウキウキしていた。

せっかくだから、花の好物をいくつか作って持って行こうとも思う。(なるべく日持ちのするものにしよう。レシピも付けてやろうかな。)受け取ってくれるか、分からないけども。


沖縄へ向かう日を待ちきれないあまり、真紀子は勝部の特定作業を手伝おうとした。だが、やり方を教えて欲しいと頼んだら、止めておけと言われた。

ネットの沖縄独立論界隈は大荒れらしい。デマと陰謀論、フェイクニュースに誹謗中傷で溢れかえって、精神衛生に良くないとのことだ。


沖縄に来週向かうことを勝部に伝えると、彼は少し心配した。

ネットでは台湾だけでなく、沖縄も巻き込んで戦争になるのでは?という噂が急速に広まっているらしい。

「ただの陰謀論だといいんですけど。一応気を付けて、ニュースはマメにチェックして下さい。

出来るなら、娘さんをしばらく東京に連れて帰った方が良いかもです。

せめて、下宿周辺のシェルターと、頑丈な建物の場所の確認だけでもさせておいた方が良いと思います。」

「そうなの?心配しすぎじゃないかしら?」

「まあ、そうですよね。。。」

「でも、頑張るわ。私。裏目にでるかもだけど、直接会って、全力であの子を説得する。」

「・・上手くいくといいですね。いや!きっと大丈夫ですよ!」


真紀子はこの時点で、最悪でも1年ぶりに元気な花の姿を見れると、信じて疑っていない。


その頃、日本国内のOSINT活動家達は、ここ1年での活動の結果、中国の沖縄・台湾への同時侵攻という可能性の予測が、急速に現実味を帯び出したことに戦慄を覚えていた。

かれらは、自分達の分析能力に一瞬だけ満足を覚えた。だが次の瞬間には最悪の予想が当たった場合、何が起きるか想像した。

自分と家庭を守るためには、災害対応の非常物資では足りないかもしれない。

彼等は、ネット上で警鐘を鳴らそうとしたが、混沌としたネットの渦にあっては、泡沫となって広がりを見せなかった。



2025年3月24日 09:20 平壌


北朝鮮の国家主席はイライラしていた。

中国が台湾と沖縄の先島諸島に侵攻を開始するまで、あと10日程度となっている。

なのに、台湾はともかく、米国と日本の動きはいかにも中途半端で歯切れが悪く、遅すぎた。

事情を知っている彼から見れば、中国に「どうぞ攻め込んで下さい」と言っているように見える。

彼は両国の緊張感の無さにあきれかえっていた。

(それとも中国のハイブリッド戦の成果か?)


側近を呼んだ。


「以前に言った通りだ。倭奴の政治家はやはり無能だ。この期に及んで手をこまねいている。」

「はい。主席様の仰っていた通りでございます。おさすがでございますね。」

「ここは一つ、倭奴を手助けしてやろうじゃないか。例の計画の準備は出来ているな?」

「はい。万全です。」

「ならば実行しろ。その前に景気づけに倭奴の目先に1発撃ち込んでやれ。もし、これで連中の対応が早まるなら計画は中止しろ。まあ、この程度じゃ連中の目は覚めんだろうがな。」


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