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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
静かすぎた夏-兆候
22/221

すれ違う母娘

2024年9月5日 15:00 東京


真紀子はたまの休みを相変わらず一人で過ごしている。

結局、花は夏休みを通して一度も帰省しなかった。


スマホでニュースアプリを開き、沖縄関連のニュースを見てみる。

花が係わっている環境保護活動がニュースになっていないかと淡い期待を抱いたが、無駄だった。


代わりに沖縄で日本からの分離独立を主張する人が増えている、というニュースが目立っていた。

沖縄県知事は政府の米軍基地負担軽減に対する、政府の長年に渡る不誠実な態度に原因があるとして、その主張に理解を示しているらしい。さらに政府はそんな知事に対して「極めて遺憾」としている。

これに対して知事はさらに反発を強め、沖縄県内の避難シェルター建設への協力を拒否するとの声明を出したらしい。


国際ニュースを見てみる。

中国では毎年大規模な洪水が頻発するようになったことを受けて、大規模な災害救助訓練を行うらしかった。軍隊も万単位で動かすらしい。


要は、真紀子の知りたいニュースは何も無かったのだ。


多少迷ったが意を決して、花に近況を聞こうと電話をかける。

しかし、半ば予想していたが、忙しいのか鬱陶しそうな態度を取られた挙句、早々に電話を切られてしまった。

電話に出てくれて、花の声が聞こえただけでも満足することにする。


花は母親からの電話を切ると、ブツブツと独り言を言っていた。

その様子を見たSONの1年生が話しかける。

「八木さんどうしたの?迷惑電話?」

「小田君?うーん。それに近いかな?お母さん。子離れしてくれなくて。」

「お母さんだって寂しいんだよ。電話くらいいいじゃん。」

「小田君優しっ!私なんか、最近お母さんと話すとすぐイライラしちゃうんだ。」


そばで花と小田の会話を聞いていた澤崎が口を挟む。

「それは、お母さんはここ半年で成長した八木さんを見ていないからだよ。

八木さんは成長して自信を深めているけど、お母さんの認識は東京に居た頃の八木さんのままで、そこにギャップがあるはずだよ。そのへんに問題があるんじゃないかなあ。

SONの活動って、親御さんに理解され難い時もあるけど、そもそも皆18歳になった時点で「大人」だしね。」

「なるほどー。さすが澤崎さん!」

「いつまでも実家で暮らすわけじゃないでしょ?少しずつ距離は取っていった方がいいって。

あ、そういえば小田君、船舶の免許取るって?」

「そうなんです。」

「頑張って!青池がリスペクトするって言ってたよ!免許取って、アイツを船に乗せたら喜ぶんじゃない?」

「そうですかねー。えへへっ。」


同時刻 石垣沖


石垣島の沖合で中国と日本の「漁船」が横付けしていた。

2隻とも船上に漁具を積んでいるが、漁は一切していない。

中国側から日本側に荷物を受け渡している。


日本側の「漁船」には李が立っており、作業を指揮していた。

「急いでくれよ。海保や日本軍の哨戒機に見つかったら、せっかくのシノギがオシャカになるぜ。」

中国側は海上民兵の偽装漁船、日本側は反社会組織の密輸船だった。


双方は手際良く発泡スチロールに入った荷物を日本側に移し終え、中国の偽装漁船は本国へ向かって帰って行った。

石垣島に帰る船上で李は煙草を吹かしながら、反社の男と会話をしていた。

「カシラ。相変わらず手際が良くて助かるよ。口も固い。金は後で事務所に届けさせる。お約束だが、積み荷のことは聞くなよ?」

「そりゃあ分かってるけどよ。最近頻繁すぎやしねえか?そろそろ海保に目を付けられてると思うぜ。」

「ああ、アンタらにブツを運ばせるのはこれで最後だ。

当分船を出すことは無いし、次からは船を出す時は、手なづけた学生のガキ共にやらせる。

アンタらには別の仕事を頼むから、シノギの心配はしなくていい。

ちなみに祖国を裏切ってるかもしれんが、そのへん大丈夫か?」

「食ってくためには仕方ねえよ。俺らを締め付けすぎるお上も悪い。国の自業自得だ。」

「いい答えだ。親分さんによろしくな。」


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