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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
掃討
198/221

魔女と特殊部隊員

2025年4月5日 18:00 宮古島


宮古島に上陸した第8師団主力は、疲れ果てた宮古戦闘団を休ませるために、その任務を次々と肩代わりしていった。

戦闘が止まったとは言え、やるべきことは大量にある。


停戦は本決まりでは無かったから、戦闘の再開に備えて陣地の再構築や、損傷した装備の修理・点検・補給が必要だった。

島のインフラと物流はほぼ完全に停止していたから、民生支援の手も大量に必要だ。

住民だけでなく、投降した1000名以上の中国兵の面倒も見る必要があった。


しかも意外に火傷を負った重傷者が多く、治療が急がれた。

中国軍の装備は、旧ソ連の思想を受け継いだものが多く、西側の装備と比べて一度被弾すると炎上するケースが多かったのだ。

その弱点は、ウクライナ・ロシア戦争でも西側兵器と東側兵器の生存性の違いとして、世界的に認識され、研究熱心な人民解放軍も認識してはいた。

だが、その戦訓を装備の改良として行き渡らせる前に、長征作戦が開始されてしまったのだ。



投降した者だけでなく、海上には撃沈された艦艇や、撃墜された機体から脱出した中国軍将兵が未だ大量に漂流していた。

彼等の捜索救難も、海空自衛隊と海上保安庁が連携して行っている。


人道上の問題もあるが、中国で抑留されている邦人を帰国させる際の交渉材料になるかもしれないから、一人でも多くの中国軍将兵の身柄と遺体を収容しておくことに意味はあるはずだった。


強制的に休養を命じられた宮古戦闘団の隊員達は、交代で泥のように眠り込んで行った。

約10日前の出動以来、長距離移動、陣地構築を突貫で行い、そして激しい戦闘を行ってきたのだ。

肉体以上に神経と精神が痛めつけられている。


そんな中、宮古島に文字通り飛んで来た防衛大臣は時間が許す限り、個々の隊員を労って回った。


石橋と白神はフェイスマスク姿で防衛大臣と対面する機会を得た。

宮古戦闘団司令部から類まれな判断力とリーダーシップを発揮して、中国空挺部隊の奇襲で混乱しかけた周辺部隊をまとめ、反撃の糸口を作っただけでなく、民間人の犠牲を最小限に留めた特殊部隊員が存在すると聞かされた大臣が、会って感謝を伝えることを希望したのだった。

(さらにこの後、防衛大臣は非公式に「レイ」達、米軍特殊部隊員にも面会し、直接感謝を述べた。)


二人は大臣に対し、当時の状況や、初日の弾道弾攻撃に利用され、巻き添えになった女学生を救えなかったことへの悔いを述べた。

防衛大臣は一つ一つ丁寧に合いの手を入れながら、二人の話を聞いていた。アイドル時代からトーク術に定評があったから、このあたりは如才無い。


特に石橋は感慨深いものがあった。

若い頃は、既にアイドルとしてはベテランの領域だった彼女のファンだったのだ。

(空挺レンジャーの自活訓練で、食べるまで自分で面倒を見ていた鶏に、石橋は防衛大臣の名前をつけていた。なお、白神は同じグループの別のメンバー押しだった。)


防衛大臣は「全員を助けることが出来ず、無念な思いもあるでしょう。それでもお二人の活躍で、多くの民間人の命が助かったのです。国民を代表してお礼を申し上げます」と、カメラの前で述べた。


その後で、彼女は片目を閉じて、二人だけに聞こえる声で言った。

「マスクをしていても、目を見れば分かるわ。あなた達、とってもいい男ね!」


妻子のある二人だったが、特に石橋は、若い頃の防衛大臣へのときめきを思い出した。

(こんなことって、あるんだなあ。ファンで良かったぜ。)


そんな石橋の思いは、次に防衛大臣が口にした言葉で吹き飛んだ。

「そうだ。あなた方が看取った八木花さん。お母さまがここに来られていますよ。ご挨拶に伺ってはいかがでしょうか?当時の様子が分からず、悲しんでおられました。」


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