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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
静かすぎた夏-兆候
19/221

一人きりのお盆 

2024年8月17日 14:00 東京


夏休みになっても花は実家に帰省しなかった。

真紀子は寂しかったが、サークル活動を頑張っているとのことだから、花のしたいようにさせている。

あれほど言ったのに、花は真紀子に相談せずにサークルとNPO活動を始めてしまった。

今年の盆は真紀子一人で両親の墓参りを済ませている。去年までは花もついて来たのに。



その頃、花は「サークル活動」としてSONのメンバーと共に沖縄本島、宮古島、与那国、石垣島、それに奄美大島を巡っていた。

環境保護活動と称して清掃活動を適当に行った後は、ドローンまで使って自衛隊や米軍の活動を撮影しては、SNSにアップする活動を繰り返す。


花の投稿内容は写真に加え、活動を紹介し、自衛隊や米軍を批判するものだった。それに対しては高評価と肯定的な書き込みが相次ぎ、彼女の承認欲求を大いに満たした。

だが、それらのSNS上の反応は中国軍情報支援部隊のサイバー戦要員や、ボットが機械的に行ったものに過ぎない。


花のSNSアカウントの盛り上がりをサークルの人間は褒め、お互いに競い合った。

彼女はこうして活動にのめり込んでいく。


ちなみに大学前期の成績は熱心に取り組んだ中国語のみがA評価で、他の教科は落第ギリギリだった。

真紀子には「大学の勉強もテストも難しい」と言い訳をしていたが、花は久米の「日本もアメリカもユーロも落ち目。これからは中国の時代。

だから、中国語だけ勉強しておけば良い。日本の大学の勉強なんて無駄。日本の企業に就職するのも無駄。

中国の企業に就職するか、ウチにそのまま就職した方が将来性は遥かにある」

などという言葉を本気で信じてしまっていたのだ。


サークル関係者以外の人間が聞いたら、極端な考え方に反論しただろう。

だが、花の交友関係は既に偏りすぎており、まっとうな考えに触れるチャンスがそもそもなく、もしそのような意見に触れたとしても活動にのめりこみつつあった彼女は、耳を貸さなかったかもしれなかった。


真紀子は娘の変化に気付いていない。

貴重な連休を墓参りに使い、東京に帰った真紀子は、両親も花も居ない夏に言いようの無い孤独を感じた。


この寂しさには両親を失った時と同じく「日にち薬」が効くのを待つしか無いようだ。


ため息をついた真紀子は、どうせすぐに消すと思いつつ、テレビをつける。

中国国家主席のロシア、北朝鮮歴訪のニュースが流れていた。


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