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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
決戦
178/221

汚れ役

もはや沖縄周辺の海上優勢、制空権は事実上日米の手中にあり、状況の改善を受けて海上自衛隊は、先島諸島への増援と補給を計画した。

だが、それを行うには先島諸島周辺海域に潜伏しているはずの、中国の潜水艦を掃討する必要があったのだ。


潜水艦のやっかいな所で、未だに何隻の敵潜水艦が潜伏しているか掴めていない。


一方で、中国側も生き残っている自軍の潜水艦の動向を把握しきれていない。

日米の対潜掃討を躱すために、着底した上で、完全無線封止を行っているからだ。

彼等は、なんとか「アメリカ」「かが」だけでも潜水艦で攻撃しようとしていたが、その試みは上手くいっていない。


日米は佐世保で弾薬と燃料の補給を終えた、MDグループの残存艦を中心に、日本海から移動してきた「あしがら」、太平洋から移動してきた米軍のイージス艦を加えて、対潜・水上打撃グループを編成すると、沖縄の制海権を完全なものにすべく行動を開始した。

PFI船、第一輸送隊の「おおすみ」型も、増援部隊と補給物資の積み込みを行い、「いせ」以下の護衛を伴って、沖縄に向かおうとしている。

「ニミッツ」CSGも台湾に接近しつつあった。


2025年4月4日 2:32 尖閣諸島


尖閣諸島周辺から移動して、与那国上陸船団が滞留させていた、最後の上陸部隊を受け取った海上民兵部隊は、深夜に与那国島に接近を試みた。


だが、与那国島まで100キロまで接近したところで、彼等は「アメリカ」のF35BのLJDAM、「かが」のSH60Kが搭載する、ヘルファイアミサイルによる攻撃で阻止されてしまった。


空軍からも海軍からも支援を与えられていない海上民兵は、撃沈された漁船の救助を行うと、作戦を中止。一部の部隊を尖閣周辺海域に残し、中国沿岸部に撤退していった。

こうして、先島に対する中国軍増援の希望は完全に消滅したのだ。


そして夜明けと共に、彼等が懸念している通りに戦闘は再び活発になり、日米の圧迫はより強烈になるはずだった。


2025年4月4日 4:10 上海


胡中将は作戦開始以来、僅かな休息を摂るだけで、不眠不休で航空作戦の全般指揮を行っていたが、3日に急速に戦況が悪化したことで極度の挫折感と疲労を覚えていた。


張は沖縄方面の戦況が一挙に悪化した現状でも、非情なまでに作戦の継続を命じていた。

だが、胡を始めとした統合司令部の人間には、その方針には疑義がある。

これ以上、孤立した先島諸島の上陸部隊に戦闘を継続させたところで、日米の戦力を大して拘束できるとは思えなかった。


救助も増援も、弾薬の補給も不可能に近いなら、現地の部隊に降伏を命ずるべきだと、統合後方部を構成する各軍司令部は頭では理解している。

だが、ここでも面子の問題が邪魔をした。各軍はお互いに、自らが最初に「降伏」を口にするのを嫌がった。

他の軍が最初に提案したのなら、それに乗る気でいたのだ。


各軍の面子を保つための、無意味な腹の探りあいの中で時間が浪費され、その間にも先島諸島の部隊は、小銃弾にも医薬品にすらも事欠く状況に陥っている。


ようやく沖縄方面の航空作戦の中止と、現地部隊の降伏を張に進言することを各軍司令部に持ち掛けたのは、胡だった。

普段の彼なら、各軍司令部がお互い自縄自縛に陥っているこの状況でも、断固として空軍の面子を優先しただろう。

だが、心理的に挫折した彼はこの状況に嫌気が差してきており、陸軍と海軍に話を切り出し、話をとりまとめ、陸海軍の代表を伴って張に意見具申を行ったのだ。


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