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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
1年前 まだ日常と言えた頃
17/221

F15JSI 

2024年4月17日 11:05 那覇


F15は航空自衛隊の主力戦闘機と言えた。1機が100億円もする。

配備から40年が経過し、ステルス戦闘機のF35Aが配備されてからは最新鋭とは言えなくなっているが、全国に約200機が配備されて未だに数の上では主力だ。

(他に航空自衛隊には強力な対艦攻撃能力を持つ、F2戦闘機がある)

さらにF15のうち約半数が改良を施され、F15「改」となっている。


そのF15改を装備する、航空自衛隊第9航空団第204飛行隊に所属する橋本三等空佐は、2週間ぶりに那覇基地に帰ってきた。

彼は204飛行隊のF15J改戦闘機4機を率いて石川県の小松基地に展開し、長期間の訓練を行ってきたのだ。


訓練内容は、小松基地に配置されている飛行教導群との空中戦闘だった。

彼等のF15改は、ミッションコンピューターを更新し、レーダーをAN/APG-82(V1)に載せ替え、最新鋭の空対空ミサイルAIM120-Dと、同じく最新鋭の電子戦装置EPAWSSを装備した最新バージョンで、俗にF15JSIと呼ばれる機体だった。

同じF15改でも、従来の機体とは別物と言える。

強化された空対空戦闘能力だけでなく、巡航ミサイルJASSM-ERの運用能力まで持っている。

昨年度末に改修を終えたばかりだ。(もっともJASSM‐ERの納入は、まだ先の話だった。)

AIM120-Dは米国製の傑作空対空ミサイルである、AIM120「アムラーム」の最新バージョンだった。

中国軍の空対空ミサイルの飛躍的な射程延長に対抗する形で、C型では100キロだった射程を180キロまで伸ばしている。


訓練相手である飛行教導群は、日本各地に配備されている戦闘機部隊の技量向上のため、空中戦技術を各部隊に指導する部隊だった。

そのため航空自衛隊の戦闘機パイロットの中でも最精鋭が集められている。

教導群は最精鋭のパイロットが技術を各部隊に伝授するだけでなく、訓練時に仮想敵国の戦闘機を模擬することも任務だった。

だから普段から仮想敵である中国、ロシア、北朝鮮といった国々の空軍の装備・戦法の研究を行っている。

去年からは中国でも、ステルス戦闘機J20の配備数が200機を超えるまでになったことを受け、2機だけではあるものの、F35Aを装備して対ステルス戦闘の研究も行っていた。


最近は「見えないもの」を指す言葉として、一般化した感もある「ステルス」という用語だが、軍事的には相手のレーダー探知を避ける技術を指す。

つまり「ステルス戦闘機」とは、形状や素材を特殊なものにして、レーダーで極めて捉えづらくした機体のことだ。

現代の空中戦では圧倒的なアドバンテージがある。しかし技術的ハードルが高く、今のところ実戦配備されたステルス戦闘機は、アメリカ製のF22、F35、そして中国のJ20と限られている。

ただ、F35は日本を始め、アメリカのパートナー国に広く提供されていた。


J11やSU27といった中国軍の従来型戦闘機を教導群のF15が模擬し、J20役をF35が行うことで、新型レーダーやEPAWSSとAIM120-Dが、どの程度効果を発揮するのか実戦形式のテストを行ったというわけだった。

那覇で同様の訓練をした場合、中国側が情報収集機を遠慮なく飛ばしてくるだろうから、沖縄から離れた小松で訓練は行われた。このために橋本達は出張したのだ。

結果は従来型のF15相手だと、目論見通りにEPAWSSとAIM120-Dの長射程を生かして、パイロットの操縦技術では優越する教導群のF15にも互角以上に渡り合えたが、F35には苦戦した。


EPAWSSでF35のレーダーを躱しても、こちらからもステルス機のF35を探知することが難しく、その間にF35は赤外線・光学センサーで204飛行隊機を探知して死角から攻撃してきたのだ。

上手くお互い同時に視認する形に持ち込めた場合もあったが、結局技量と戦況認識能力に優れる教導群には太刀打ちできなかった。


課題をたっぷりと教導群に指摘された橋本三佐は、那覇基地に帰ったあとの報告書作成、その作業量を想像して気が重い。

重要な仕事なのは理解しているが、自分達が何故負けたのかを詳細に書くのは気持ちの良い作業では無い。しかし、それが今回4機編隊長=フライト・リーダーを任された彼の、最も重要な仕事でもあった。

今回の訓練内容はいち早く空自内で共有されるべきものだったからだ。



ホームベースに帰ってきた橋本三佐は那覇の滑走路に着陸する前、地上の景色に違和感を感じた。


18歳で航空学生としてパイロットの訓練を開始して以来、日常生活にもパイロットとしての習性が染みついている。いつもの景色から微かな変化を捉えようとすることも、その一環だった。

違和感の正体が何なのか気にはなったが、今はフライトを安全確実に着陸させることの方が優先だ。


翌日、那覇を離陸した彼は、違和感の正体を確認することが出来た。

那覇基地の東隣の陸上自衛隊那覇駐屯地の空きスペースに、物資やトラックが集積されていた。

さらに隣の米軍那覇軍港のスペースも同じように物資が集積されている。


(台湾有事に備えて弾薬庫の整備が進んでいるし、沖縄にも補給処が設置されることになったが、それと関係があるのだろうか?弾薬庫の整備を待っていられないとか?)


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