表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
決戦
161/221

ダークホース

2025年4月3日 12:15 九州南部


鹿屋基地を離陸したのは、第11飛行隊のP1哨戒機10機だった。

彼等は新型対艦ミサイルASM4を8発ずつ、合計80発搭載している。

ASM4は海上自衛隊の艦対艦ミサイル、SSM2から発展した、開発段階では「哨戒機用新空対艦誘導弾」と呼称されていた新型ミサイルだ。射程は400キロでステルス性能も無く、亜音速ではあったが、文字通り哨戒機であるP1での運用が可能だった。


同じく鹿屋基地に所属する第12飛行隊は、本来の九州近海の哨戒任務を続行していた。

しかし、第11飛行隊は大幅に対空能力の落ちた中国の第2船団を狙って、積極的な対艦攻撃に転じたのだ。

護衛は新田原を離陸した301飛行隊のF35A12機。彼等は沖縄沖の航空戦から帰投したばかりだったが、文句は無かった。


2025年4月3日 13:47 沖縄沖


第2船団の上空に護衛機は存在しなかった。

藩少佐の救援要請に応じて、まだ攻撃されていなかった南京の東に位置する、肥東海軍航空隊基地に緊急着陸していたJ11B1個旅団が、燃料補給が間に合った機体を緊急発進させてはいた。

だが、彼等は例によって、斉州島上空の安全地帯から進出したF35Aに阻止されてしまったのだ。20機中15機を撃墜されて、撤退に追い込まれてしまっている。


F2やF35と異なり、P1は対空ミサイルに対する防御手段がレーダー警戒装置しか無く、回避機動も中国側の高機動を誇る空対空ミサイルの前では、出来ないに等しい。

しかし、戦場を見渡すE3やE767からは、敵戦闘機の脅威は無いと伝えられていた。


第11飛行隊は沖縄諸島に隠れるように南下した後で、沖縄本島上空を跨ぎ超えると、第1船団の防空圏内に入る直前の第2船団に攻撃を開始する。


第11飛行隊は第2船団に触接を継続していた、303飛行隊のF35Aからのデータリンクを頼りに、80発のASM4を最大射程で発射。

第2船団には、未だに戦闘能力を保っていた防空艦は、2隻の052D級しか残されていない。しかもHHQ-9Aの残弾は2隻併せても、60発でしか無かった。


攻撃を認識した第2船団の防空指揮官は、全弾迎撃をあきらめると、通常は飛来した対艦ミサイル1発に対して2発が発射される対空ミサイルを、1発に減らして迎撃を開始する。

それでも迎撃能力は飽和してしまい、ASM4は実に14発が命中した。


第11飛行隊の攻撃によって、迎撃能力が残っていた052D級の1隻が撃沈された。さらに迎撃システムが沈黙しても、勇敢に船団の盾になろうと随伴を続行していた護衛艦は、4隻が撃沈されてしまった。


そして、彼等が守ろうとしていた、フェリー、戦車揚陸艦もとうとう3隻が撃沈されたのだ。

さらに深刻だったのは、これで発射可能なHQQ-9Aが1発も残っていないということだった。

これでは無傷の052D級が1隻残っていても、意味は殆ど無い。


これは早朝のF2の攻撃で、第2船団が艦対空ミサイルを消耗し、迎撃能力を大幅に削り落とされたことが響いていた。

だが彼等の悪夢はこれで終わらなかった。

奄美、沖縄本島周辺海域から先島へ移動中だった、海自潜水艦群が攻撃を開始したからだ。


魚雷での攻撃にはとても間に合わず、海自潜水艦隊が選択したのは、水中発射型の対艦ミサイルUGM-84Lによる攻撃だった。

距離200キロで放たれたそれは、1隻あたり4~8発、6隻でわずか30発でしかない。


だが、既にHHQ-9Aを撃ち尽くした第2船団の護衛艦には、満足な迎撃手段がもう残っていない。

それでも半数の15発を迎撃するか、失中させることに成功する。

だが、残り半数の15発はどうにもならず、さらに3隻の護衛艦と輸送船5隻が撃沈破されるに至った。

最後に残っていた052D級も、最後まで盾の役割を果たして撃沈されている。


054A級1隻とフェリー2隻、戦車揚陸艦1隻まで激減し、壊滅的な被害を受けた第2船団は、第1船団の防空圏内に入ることには成功した。

だが、その意図は増援を送り込むというより、自らが助かろうとすることで精いっぱい、という有様だった。


本来は、三つの島にそれぞれ重装備と補給物資を届ける目論見だったが、輸送船が出航当初の25パーセントまで激減してしまっていた。

そのため長征作戦統合司令部は最も戦況が優位に見えた宮古島に、第2船団の全てを送るように命令を出した。


上陸作戦成功を確信しつつあった矢先での暗転だった。

12式やF2による「本命」の対艦ミサイル攻撃を切り抜けた後で、哨戒機や潜水艦による、数的には少数の対艦ミサイル攻撃での大損害。いわば伏兵にしてやられた、と言って良い状況だった。


同時に長征作戦統合司令部は、第1船団の揚陸艦隊には上陸部隊への支援を打ち切り、増援を送り込むために上海への帰投命令を出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 中国内で反戦デモが起きてないのかな 反政府活動とか
2023/05/19 21:34 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ