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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
上陸
151/221

戦力転移

米軍は、中国政府の脅しを無視して、中国本土に対する弾道弾・巡航ミサイル攻撃を継続していた。

空軍基地だけでなく、民間空港にまで攻撃の範囲を広げている。

このため、胡中将と彼の空軍司令部は混乱し、その度合いを増していた。


中国政府は、報道官や外務省、国連での抗議。それに民間人犠牲者のフェイクニュースで、米軍による本土への攻撃を止めさせようとしていた。

だが、今のところ効果は期待できそうになかった。


国際世論は、大部分が台湾と日米を支持しているし、中国側のフェイクニュースはロシアのやり方に比べれば、遥かに巧妙にもかかわらず、OSINTで早々と見破られるからで、通用するのは陰謀諭者くらいだ。

中国が金をばら撒いたアフリカや、アメリカ憎しで凝り固まっている人間の多い中東では、中国寄りの意見が幅を利かせていたが、「だからどうした」と言わんばかりにアメリカは「エイプリル・フール」と名付けた作戦を続行している。


どちらにせよ、東部戦区で使用可能な滑走路が極端に減り、作戦可能な戦闘機の数が把握すら困難な状況に変わりはなかった。

機体そのものは、米軍による本土への攻撃では、あまり被害は出ていない。

だが、滑走路の応急修理が終わるまで離陸できないのでは、地上撃破されたのと同じだった。


中国の防空体制は、弾道弾どころか巡航ミサイルさえ、満足に迎撃することが出来なかった。

日米台の航空基地は縦深が無いのが弱点だったが、防空アセットを集中させることが出来る。

それに対して中国側は、広大な大陸に縦深のある航空基地群を準備している。


これは確かに優位に働いているが、同時にこれらを守るための、レーダーや対空ミサイルといったアセットの数も、膨大となってしまうのだ。

ウクライナ・ロシア戦争で投入された、AMD160Bスタンドオフデコイジャマーの航続距離を伸ばした新型、AMD160Cも米軍は投入していたから、なおさら巡航ミサイルの迎撃が難しい。


沖縄方面の航空兵力は、J20を除いても第4世代機450機と、航空自衛隊を上回る戦力を投入していた。

それが、わずか2日でJ16を中心に200機に達する損失を出し、戦力は半減していたのだ。


胡は増援を求めているが、フィリピン方面や南沙諸島で、米軍と接触する南部戦区にも余裕が無い。


予備兵力扱いのはずの、中部戦区は中央軍事委員会が自分達の身を守るために、1機の戦闘機も送ろうとしなかった。

未だに300機以上を握る北部戦区も併せるなら、400機以上の第4世代機を保持しているにもかかわらずだ。

J20については言うまでもなく、滑走路が復旧したところで、中部戦区に取り上げられる。

それどころが、中央軍事委員会は北京や他の大都市の防空を強化するために、長征作戦からSU35装備の第6旅団を引き抜いてしまう程だった。


結局、中央軍事委員会が認めた増援は、北部、西部戦区からのJ7やJ8装備の旅団だけだ。

無力ではないが航続距離も不足している上に、日米の装備する戦闘機とでは旧式で戦闘力が大きく落ちる。


しかもそれらの部隊は、そもそも長征作戦にあたって、東部戦区に第4世代以上の戦闘機を集中させるために、引き換えに他戦区と入れ替えを行ったはずの旅団だったのだ。

さらに集結までに24時間はかかる上に、内陸の被害をまだ受けていない基地から、短時日で移動させるためには虎の子の空中給油機の生き残りを投入する必要があった。

胡中将には結局のところ、滑走路の応急修理を急がせる方が現実的に思われた。


このままでは、手中にしかけていた、沖縄の航空優勢を失ってしまう。

だが、沖縄本島への爆撃はもはや論外だった。

かろうじて、先島諸島への上陸援護と、船団の直掩を行うのが精いっぱいだろう。

それですら日米が増援部隊の海上輸送や、上陸部隊への爆撃を企んだとしても、阻止できるかが際どいところだった。


取り逃がした「アメリカ」グループは未だに戦闘に関与していない。

いつ出現してもおかしくないのに、未だに隠れているのが不気味だった。


F35は戦前に言われていた、運動性の低さや搭載兵装量の少なさなどまるで問題にせず、従来の戦闘機には無い強みを活かして中国軍の脅威となっている。

救いがあるとすれば、戦場から航空基地が離れており、日米が大量の空中給油機を投入して、ようやく戦場における滞空時間を確保している状態で、常に先島諸島上空に居るわけではないことだった。

(だが、こちらの戦力が低下したこのタイミングで、F35Bを搭載した「アメリカ」と「かが」が先島近海に出現したら?)


懸念は尽きない。だが結局のところ、胡には投入可能な戦力をかき集めて、先島上空に叩きつける以外の選択肢は無いのだった。

上陸作戦が目前に迫っている以上、再編成に時間をかけるわけにもいかない。全てはスピード勝負だった。


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