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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
機体をコントロールするのにスティックは握りしめるな。生卵をそっと包み込むように。
131/221

F15J Pre-MSIP

中国側は戦闘爆撃隊だけでなく、ドローン爆撃隊も送り込んでいた。

彼等は12式とNMESISによる上陸船団への攻撃を予想しており、これを防ぐために岱山基地と船団から対レーダータイプを含む、徘徊型自爆ドローンや、中国本土から飛行できるほどの大型ドローン多数を発進させて、対艦ミサイル部隊を駆り出そうとしていた。


だが、それらの大半は03式以下の対空ミサイルや87式自走高射機関砲、そしてレーザーで撃墜される。

あるいはNEWSによる妨害電波で海上に墜落してしまい、日米の対艦ミサイルのレーダーだけでも破壊するという、最低限の目標も達成出来なかった。


自衛隊の防空組織だけでも厄介なのに、海兵隊のMADIS、MRICといった防空システムまでが加わっていた。

海上民兵のドローン母艦は既に撃沈されていたこともあり、中国側のドローンによる爆撃は、期待された戦果を挙げることは出来なかったのだ。


2025年4月3日 07:50 先島諸島沖


F35A装備の301飛行隊主力は、中国の爆撃隊が離脱するのを確認すると、先島諸島海域に進入した。

彼等の任務は船団攻撃である以上、航空戦に巻き込まれる可能性を考慮し、戦闘が終わるのを待っていたのだ。

彼等は中国側に探知されることなく、上陸船団から160キロ程離れた位置から、24発の対艦ミサイルJSMを発射することに成功した。これまでの交戦距離からすると至近距離と言える。


艦隊上空にはJ20と交代してCAPを実施していたJ11の2個大隊が居たが、301飛行隊の直掩についていた302飛行隊のF35Aに一方的に攻撃され、16機中11機を撃墜されて離脱した。


護衛機が撃墜されたことで警戒していたものの、ステルスミサイルであるJSMを中国側が探知したのは、距離50キロまで迫ってからだった。

護衛艦群は残り150発を切っていた対空ミサイルをさらに60発発射したものの、全てを迎撃しきれず2隻の052A型が被弾した。

ダメージコントロールの思想に徹底さを欠く中国艦艇は被弾に弱く、発生した火災を消し止められず、最終的に2隻ともに沈没することになる。


2025年4月3日 同時刻 九州沖


築城を発進した201飛行隊のパイロット達は、緊張していた。

本人達は決して認めないが、かれらのF15では中国のJ20どころか、J11やJ10に対してさえ分が悪いことを知っていたからだ。


レーダーの探知距離こそひけを取らないが、データリンクも無く、セントラルコンピューターも骨董品といって良く、レーダー情報がパイロットに伝わるのに多少時間を要し、戦況認識能力に劣る。

さらにレーダー誘導方式のミサイルはAAM4Bが搭載できず、セミアクティブ誘導方式の旧式化したAIM7Fしか搭載できない。

彼等の愛機は下手をすると護衛対象である、重い対艦ミサイルと大型の増槽を搭載しているF2よりも対空戦闘能力が劣るかもしれなかった。

F2は2発の対艦ミサイルASM3Aに加え、自衛用にAAM4BとAAM5を2発ずつ搭載していたからだ。

同じF15Jでも改、それにJSIと比較すると、まったく別の機体と言える程能力が落ちる。


201飛行隊の装備するF15Jは、Pre-MSIPと呼ばれるバージョンで、外見こそF15改、JSIと大きな差異は無い。

しかし、内部については後者には、F15Jの後期型として生産された段階で「デジタル・データバス」と呼ばれる配線が施してある。

この「デジタル・データバス」のおかげで、後期生産型は新世代の装備に対応することができ、F15JからF15改、JSIへと大きく能力を向上させる改造を施すことが可能だった。

「デジタル・データバス」を実装しておらず、AAM4といった新たな装備に対応できないF15は、急速に陳腐化してしまっているのが現実なのだ。


ならば、初期に生産されたF15J Pre-MSIPに対しても、「デジタル・データバス」を追加すれば延命はできるだろう。

だが、そのためには機体をほぼ作り直しと言える程の工数、すなわち費用が必要とされた。冷戦後の予算規模の航空自衛隊においては、現実的な話ではなかったのだ。


このため着陸時の事故で大破したPre-MSIP機が、修理の際に「デジタル・データバス」を追加された例外はあったが、このような場合を除いて、201飛行隊の装備機を含めた、初期生産のF15J Pre-MSIPについては、ほぼ能力向上されることなく据え置かれていた。


既存の装備を改修することにかける費用よりも、新規にF35を取得することを優先する、防衛省によくある判断だった。


「デジタル・データバス」に拠らない、電子戦型や偵察機型への改造案や、日本独自のデータリンクを実装させる計画もあったが、いずれも試作で終わって、実現してはいない。


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