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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
機体をコントロールするのにスティックは握りしめるな。生卵をそっと包み込むように。
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地対艦誘導弾

2日に受けた大損害の雪辱に燃える304飛行隊と、306飛行隊は、目視視程外ミサイルの撃ち合いから「白虎」「青龍」隊との格闘戦にもつれ込む。

最近になって飛行教導群から転勤してきたばかりの、306飛行隊に所属する植松一尉は、自分のフライトを率い、AAM5を用いた格闘戦で瞬く間に「白虎」隊の3機を撃墜する。

植松一尉をはじめ、両飛行隊は先制攻撃とあわせて「青龍」「白虎」両隊の16機を撃墜し、3機のF15改を失っていた。


大差がついた理由は、自衛隊側が先制に成功した上に、彼等にのみAWACSと藤本機の支援という、恩恵があったからだ。

中国軍の J11のパイロット達は、決して弱くは無かったが、アドバンテージを取られすぎていた。


204、304両飛行隊は昨日の借りを返し、大いに留飲を下げた。だが306飛行隊共々、護衛機の壁を突破し切ることは出来ず、爆撃隊の攻撃は見送って帰投するしかなかった。

これが、非ステルス機F15の限界かもしれなかった。


藤本2佐のF35Aのフライトは戦闘には直接参加していない。

F15部隊に対するバックアップと管制支援、J20の出現に対応するのが彼等の任務だったからだ。


2025年4月3日 07:30 先島諸島沖


前進した中国の先島爆撃隊は、最後の護衛「玄武」隊と共に、上陸船団の上空に逃げ込んだ。

かれらは艦隊の防空システムと強力なレーダーに守られる形で、先島諸島に進入することが出来た。


その判断自体は賢明で、自衛隊側のF15群は船団上空への追撃をあきらめ、燃料の問題もあって帰投せざるを得なかったのだ。

ただし爆撃隊の大半は弾道、巡航ミサイル攻撃の混乱の中で緊急発進したため、充分な爆装が施されてはいない。


それでも彼等は任務を果たそうと、1~2個大隊に分かれ、与那国、石垣、宮古に進入していく。

その任務は目前に迫った上陸作戦を支援するため、上陸地点候補であるビーチ周辺の障害物に対する爆撃と、可能な限り敵の重火器を見つけ出して破壊することだった。


2025年4月3日 07:45 先島諸島


爆撃隊は昨日の爆撃で沈黙したはずの、対空ミサイルの迎撃を受けた。しかも爆撃隊の編成には電子戦機のJ16Dが、損害と滑走路の被害の影響で参加しておらず、対抗手段は限られている状況だ。


そんな彼等に対して、それぞれ03式20発、11式、81式の2種の地対空誘導弾、併せて10発程度が発射された。

爆撃隊のパイロット達は、罵りの声を上げつつ必死の回避機動を試みたが、一方的な展開になりつつある。


生き残った爆撃機は、とても長時間島の上空に滞空して目標を探し出し、1発ずつ投弾するような余裕は無い。彼等は上陸地点の地雷や水際機雷、障害物の爆破を狙って、爆弾をばら撒いた。

あるいは、爆装、増加タンクを緊急投棄して緊急回避や離脱。

生き残るために、ミッションキルを自ら選択せざるを得なかった。


結局、爆撃隊は約40機中約20機を撃墜され、満足のいく戦果をあげられなかった。

昨日に続き、ウクライナ戦争で証明されたように、スホーイ系統の戦闘爆撃機は、対空ミサイルの迎撃に脆弱だという結果が出た形だ。それは中国の国産機と言って良いJ10でも同様だった。



接近を続ける中国側上陸船団に対して、各島に配置された陸上自衛隊の地対艦ミサイル、12式改部隊は船団が400キロ圏内に迫った段階で、それぞれ2回の斉射を行った。


だが、その結果は自衛隊側の期待を大きく裏切るものだった。

合計で150発もの対艦ミサイルを発射したのにもかかわらず、中国側の10隻もの防空艦が放つ、HHQ-9A、HHQ-16B対空ミサイルにことごとく撃墜されてしまい、何の戦果も挙げることが出来なかったのだ。


さらに船団が200キロまで接近すると、本州から増援された12式と、米軍のNMESISが200発を発射した。

だがしかし、12式改同様ステルス性を持たない12式は、やはり比較的容易に中国の防空ミサイルに迎撃されていく。


一方で、2波合計約50発が発射されたNMESISは、ステルス性を持っていたため、12式に紛れて中国艦隊に接近。艦隊の外園に位置していた、054型フリゲート2隻を撃沈した。


12式、12式改の各中隊による攻撃は、ことごとく迎撃されてしまったものの、目に見えにくい戦果として、中国側に対空ミサイル700発を消費することを強要していた。


これは中国側の防空艦が装備する、中距離以上の対空ミサイルの8割以上に、消耗を強要したことを意味していた。

とはいえ、偵察任務のF35Aが観測した結果は護衛艦2隻のみの撃沈であって、肝心の揚陸艦の損害は確認できなったから、各中隊の隊員達は悔しがった。

2回の斉射で彼らのミサイルは撃ち尽くしたからだ。


各島の戦闘団司令部は、大型ヘリコプターのCH47による追加の対艦ミサイルの空輸を、南西方面統合任務部隊司令部に要請した。

しかし、激しい航空戦が行われている状況下で、それが可能かは不透明だった。


12式改の配備が沖縄本島にまで行われていれば、沖縄からも攻撃が行えたかもしれない。

さらに言えば射程900キロもの、12式の能力向上型が配備されていれば、そもそも中国艦隊はここまで接近できなかったかもしれない。


だが、現実には12式改は与那国、宮古、石垣の中隊に配備されているだけだった。本島には改良前の12式が配備されているのみで、射程外だ。

そして、12式の能力向上型は未だ生産の途上で、配備が間に合ってない。かろうじて、先行量産型が戦場に向けて急行している状況だった。


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