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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
機体をコントロールするのにスティックは握りしめるな。生卵をそっと包み込むように。
126/221

出撃!航空自衛隊

F22は機動力では世界最高の戦闘機だったが、センサーの能力、情報処理能力、戦況認識能力ではF35に大きく劣る。

それならば、F35のアビオニクスをF22に移植する形で、文字通りF22を最強の戦闘機に作り替えるプランもかつて存在した。


だが、その実現にはあまりにも莫大な費用が必要とされ、他のF22の能力向上計画共々却下されている。

米空軍はF22の能力向上よりも、次期戦闘機開発プログラムであるNGADを優先させるとはっきり決めていた。


よってF35とF22はデータリンクで結ばれていないため、E3の無線経由で、烏山を発進したF22編隊に目標の存在が伝わる。

J20とF35Aはお互いに一定の距離を保ち、逆探知した相手のレーダーが強まって、探知されそうになると、反転する動きを繰り返していた。

中国側にとっては、攻撃できずともこの状態を維持して、在韓米軍機を斉州島上空に封じ込めることができるなら、それで良い。


だが、E3の指揮官は在韓米軍のF22編隊に、超音速巡航でJ20の背後に回りこませた。

F22は12機ずつの2個飛行隊だったが、1個飛行隊は敵の増援に備えて、バックアップに回る。


もう1個の飛行隊は、レーダーを使用しないままJ20の背後に忍びよると、パイロットの目視だけでJ20を視認した。まるで第2次大戦のような、パイロットの職人芸的観察力に依存した戦い方になったが、F22はAIM9Xで攻撃を開始する。


警戒を強めていた93旅団は、攻撃される直前に背後のF22に気付いた。彼等もまた目視での警戒だけで背後の敵に気づいたのだから、大したものだ。

だが、回避機動を開始したものの、F22の機動力は圧倒的で振り切ることは難しかった。

結果、4機が撃墜され、生き残った8機は下方に離脱する。そこへ正面の交戦を確認した、F35Aが斉州島上空から抜け出して接近してきた。


IRSTの探知圏外から、EOTSでJ20を捉え続けていた彼等は、肉眼でも見える位置までJ20に上方から接近すると、レーダーを照射した。

距離が近いことで、かろうじてレーダーにJ20を捉えることに成功した彼等は、AIM120DをJ20一機あたりに4発発射する。

レーダー警報に気づいた93旅団は、さらになる回避手段を取ったが、タイミングをずらしながら次々と飛来するAIM120Dを全て回避することは出来なかった。

結局、さらに6機が撃墜され、生き残った2機は離脱した。


短時間の空中戦で、93旅団を排除したF22、35の編隊は、いったん集合すると空中給油を受けた。

空中給油を全機が終了したころには、中国本土上空で敵のストライクパッケージが形成されつつあった。

彼らはミサイルを撃ち尽くした機体は帰投させると、戦闘続行可能な機体は沖縄近海の空域目指して飛行する。

バックアップのF35飛行隊が群山を離陸し、E3の直掩を引き継いだ。



2025年4月3日 06:30 沖縄および九州


306飛行隊の増援を受け入れた第9航空団は、先島への爆撃に対する迎撃を開始した。

出撃可能なF15JSIおよび改の中から、CAP8機を上げると、残りの稼働機は30機の大編隊を形成して先島諸島へと向かう。

さらに那覇に4機だけ分遣された、301飛行隊のF35Aも加わった。


橋本三佐も無論この中に加わっている。那覇に戻ってきた彼には、新田原に退避しているわずかな時間に、見慣れた景色がパラレルワールドになったように感じられた。

自衛隊の区画は復旧が進んでいる。だが、北側の那覇空港エリアに目をやれば、数機の旅客機が無残に焼け落ちたままだった。

ターミナルビルにも爆弾の直撃があり、大きな被害を出している。


ちなみに、北部方面の防空は203飛行隊のみ、ということになる。

だが、弱体化した極東ロシア空軍の押さえなど、一個飛行隊で充分なのだ。

さらに、本州の防空に至っては、三沢から、百里と小松に分散配備された305飛行隊のみだ。


一方、4機の偵察任務の303飛行隊のF35Aは、先島諸島に向かう上陸船団を発見していた。

目標は2群。第1群は22ノットの高速艦隊だった。4隻ずつの075級、071級揚陸艦と、護衛の10隻の055級、052級ミサイル駆逐艦、6隻の54級フリゲートで編成されていた。


第2群は、徴発された16隻の民間フェリーと戦車揚陸艦だ。重装備と大量の物資を搭載し、18ノットで第1群の300キロ後方を航行していた。護衛は6隻ずつの052D型駆逐艦と、054型フリゲートで編成されている。


航空自衛隊は、先島諸島にせまる2群に対してそれぞれ攻撃隊を編成した。

第1群に対しては301飛行隊のF35A12機が、24発の対艦ミサイルJSMを搭載し、これを302飛行隊の8機のF35Aが直掩する。

新田原を出撃した20機の攻撃隊は、KC767に徳之島上空で空中給油を受けると、西に飛行していった。


長距離の航空作戦のため、作戦の鍵となる空中給油機のKC767とKC46Aは、303飛行隊のF35A12機が護衛している。


第2群に対しては築城を発進したF2A、3個飛行隊45機が、対艦ミサイルASM3Aを90発搭載して攻撃に向かった。

護衛は北海道から移動してきた201飛行隊のF15だ。201飛行隊はアップグレードされていない、ほぼ40年前の仕様のままのF15装備だ。だからミサイル一つとっても、PL15や12を装備する中国軍戦闘機に対しては、かなり分が悪い。

そのため彼等の任務は、護衛機として無理に空中戦を行うことではなく、陽動とされている。

なお、九州の防空はF2各飛行隊が1〜2個エレメントを差し出して、CAPを形成していた。


那覇基地上空は、302飛行隊の残り8機のF35Aが、CAPを行ってカバーしている。


航空自衛隊の各基地では、地上に残る隊員達が隊旗や帽子を千切れんばかりに振って、出撃機を見送っていた。

沖縄方面に、203、305飛行隊を除く、全ての戦闘飛行隊を集結させた航空自衛隊の一大反撃が、今始まる。

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