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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
機体をコントロールするのにスティックは握りしめるな。生卵をそっと包み込むように。
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海上民兵

沖縄に対する作戦は、海上民兵によるものも今の所、上手く行っていない。

海上民兵は、作戦開始前に多数の漁船と貨物船を沖縄周辺に送り込んでいた。

本物の民間船舶も存在したが、実態は偽装した電子戦艦、ドローン母艦、偵察艦、特殊部隊や民兵の母船が大半だった。


中国軍は海上民兵を、尖閣諸島や日米の警戒が手薄な離島に多数上陸させることで、本命の与那国、宮古、石垣への上陸作戦を支援するとともに、少しで多くの離島を、既成事実として占領してしまうことを目論んでいた。

民間船舶と見分けのつかない海上民兵への攻撃には、日米も慎重になるはずだ。(民兵の一部は、占領した離島の土地や財産、捕獲した日本の漁船を中国政府から与えられる約束になっていた。)


だが、日米側は海上民兵が南西諸島海域に進出すると、多数の哨戒機と情報収集機を派遣し、海上民兵と中国本土の通信を傍受して、殆どの船舶の正体を特定していた。


さらに、1日の夜になると米軍は海兵沿岸連隊の分遣隊をいくつも編成して、オスプレイ、CH53、ホバークラフトといった輸送手段を使用し、密かに海上民兵の上陸が予想される離島に展開させていたのだ。


さらに海上自衛隊は対艦ミサイルを装備した、P1、P3哨戒機を派遣。BMDグループの「ひゅうが」は、「ヘルファイヤ」ミサイルを搭載した、SH60Kヘリコプターを発進させていた。


弾道ミサイル攻撃が始まると同時に、海上民兵は行動を開始した。

だが、彼等は途端に離島に展開した海兵隊のNMESIS対艦ミサイルや、海上自衛隊哨戒機群の空対艦ミサイルによる待ち伏せ攻撃を受けた。

大型のドローン母艦や電子戦装置装備の貨物船には、陸上から12式地対艦ミサイルまで撃ち込まれる。

海上民兵の防空能力は、携帯式地対空ミサイルを装備していれば良いほうだった。

だから予想を上回る日米の断固とした海上民兵への対応には、ほとんどなす術が無く偽装船は次々と被弾した。


中国側は、特に日本は民間船舶と見分けのつかない海上民兵への攻撃を決断できず、なし崩しに多くの離島を占領できるものと目論んでいた。

しかし実際には、米軍の正確な情報提供により、日本政府は中国の攻撃開始を確認してからという条件付きで、海上民兵に対する先制攻撃を決断していたのだった。


航空戦を支援するための、レーダーや電子戦システムを搭載した偽装船を撃沈されたことは、中国側の航空作戦初日における損害が増加したことの一因だ。


上陸作戦を支援するために、観測、軽攻撃、徘徊型等、多数のドローンを搭載していた偽装ドローン母艦は、ウクライナの戦訓を踏まえて、先島諸島への航空支援を補完するものとして、大きな期待を寄せられていた。

しかし、投入された6隻は真っ先に12式で狙われ、爆沈した。

いずれも搭載した徘徊型弾薬と、大型ドローンの搭載弾薬に誘爆したのだ。


すぐに航空戦が始まり、海自の哨戒機は退避し、SH60Kは母艦「ひゅうが」を撃沈されて、那覇に不時着することになる。

だが、大半の船舶を撃沈破された海上民兵は占領ではなく、生存のために離島に上陸せざるを得なかった。

そして、運が良ければ待ち受けていた海兵隊に投降した。そうでない場合、装備のほとんどを失い、水も食料も欠乏した状態で、漂着した島での耐乏生活が待っている。


海上に漂流する生存者の救助も日本側は試みたが、その後すぐに中国側の熾烈な空襲が始まったため、その終息が確認された午前11時頃までは、救助活動は行えなかった。


一方、尖閣諸島では、海上保安庁の尖閣専従部隊が決死の覚悟で任務を果たしていた。

彼等は自分達が最も危険な立場にいることを痛感しており、ギリギリのタイミングで尖閣周辺から退避しようとした。

だが、そんな彼等に半ば顔なじみとなっていた、中国海警と海上民兵は弾道弾攻撃と同時に牙を剥き、射撃を開始してきたのだ。


普段は彼等の後方に控えている中国海軍のフリゲートが、戦力を集結させるために寧波に居たことが救いだった。

いきなり対艦ミサイルを撃ち込まれることだけは無かったからだ。

だが、民兵の対戦車ミサイル、海警船の速射砲や大口径機関砲でも、海保の巡視船には十分すぎる程の脅威だった。


彼等を救ったのは、きわどいタイミングで飛来した海上自衛隊の対艦ミサイルだった。

後方に待機していた護衛艦「もがみ」「みくま」、それにP1哨戒機が放ったものだ。


撃沈こそされなかったが、巡視船「はてるま」は被弾により機関が停止。死傷者も多数発生していた。


「もがみ」「みくま」は搭載しているUSV(無人航走体)に隊員を載せて、救助に向かわせた。

2隻が搭載していたUSVは、本来無人で機雷処理に使用するものだ。だが、有人での運用も可能かつ、ウォータージェット推進で高速でもあったため、急遽「はてるま」の生存者救助に投入された。


「はてるま」型の乗員は30名程だったから、2隻のUSVで、なんとか生存者も遺体も収容することが出来た。

尖閣周辺の海保、海自部隊は「はてるま」の救助を終えると、全速で避退に移る。


尖閣には海上民兵が上陸し、一応占領を宣言はしたものの、彼等もまた母艦を撃沈されて武装も物資も殆ど失っており、実態は漂着に近かった。

無線機も失っており、占領の宣言もサバイバルキットの緊急用無線機によるものだった。


だが、まがりなりにも中国は日本固有の領土を、開戦後数時間で奪取することに成功していたのだ。

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