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たらこのエッセイ集

「嫌い」の気持ちも大切なのです

 こんにちは。

 あるいは、こんばんは。


 熱くても雨の日だと気持ちが落ち込むたらこです。


 いやぁ、リアルで大変なことがありました。

 水産加工食品(にんげん)関係って難しいですね。

 お仕事関係だと特に。


 とまぁ、後悔したところで何にもならないので、次につなげることが大事。

 明日から気持ちを切り替えていくのです。






 はぁ……やってらんねぇ。






 おっと、思わず中の人が本音を吐いてしまったのです。

 いけない、いけない。

 ちゃんと皮を被らないとだめですね笑


 とまぁ、こんな感じでグダグダな始まり方なんですが、最後までたらこのお話にお付き合いいただければ幸いです。






 皆さんには嫌いな食べ物がありますか?

 たらこはなんでも食べられちゃうタイプの水産加工食品なのですけど、きっと中には嫌いで食べられないものが沢山ある人もいると思うのですよ。


 たらこは昔、嫌いな食べ物が沢山ありました。

 ニンジン、ナス、ピーマン、しゅんぎく、ワカメ、がんもどき。


 小さい頃は食べられないものが多くて大変でした。


 ニンジンは皮が臭くて苦手でした。

 たらこのお母さんはニンジンの皮をついたまま料理していたので、臭くて苦手だったんです。


 それは母方の祖母も同じで、おでんにニンジンを皮つきのまま入れていたのですが、どうしても好きになれなくて、嫌だなぁって思ってました。


 ナスはよく分かんないけど、飲み込むときに気持ち悪くなって、途中でダメになって吐き出したこともあります。


 ピーマンは言わずもがな。

 苦くて苦手でした。


 春菊はあの独特な風味が。

 ワカメはヌルヌルしてて、味噌汁は大丈夫なんですけど、酢のものだとどうしても苦手で。

 がんもどきはお豆腐なのにお豆腐じゃない感じがして(もはや意味不明


 とにかく苦手な食べ物が多くて大変だったのです。


 あの頃はまだまだ食べ物を残すことに厳しくて。

 たらこのお母さんも、保育園の先生も、苦手な食べ物を残すことを許してくれませんでした。


 たらこが通っていた保育園はお残し厳禁。

 給食を残さず食べるまではお昼寝させてくれませんでした。


 他の園児たちがお昼寝をしてぐっすり眠っている時。

 たらこは一人お外に出されて、給食を食べ終えるまで一人で頑張っていました。


 特に脱脂粉乳が苦手で、独特な風味が受け入れられず、とても飲めませんでした。

 でも先生たちは少しでもいいから飲めって言うし、他の園児たちも飲めないことをダメだダメだって言います。


 脱脂粉乳を飲めないことがそんなに悪いことなのかって、今では疑問に思いますけど。

 皆から責められて、飲めない自分が情けなくて。


 今でも辛くて悲しい思い出なのです。


 そんなたらこですが、今では嫌いだった食べ物が全部好きになりました。


 たらこのお母さんは厳しい人で、ご飯を残すと外へ放り出すような人でした。

 だからたまーにご飯の時間がとっても嫌になってたんですけど……お母さんは作ることの楽しさを教えてくれる人でもありました。


 たらこにカレーの作り方を教えてくれて、楽しい、楽しい思い出を作ってくれたのです。


 お料理の楽しさを覚えたたらこは、幼いころからコツコツと料理を続けて腕を上げてきました。

 すると驚いたことに、嫌いだった食べ物が大好きになっていたのです。


 ニンジンはサラダにしてよし、煮物にしてよし、炒めてよし、なんならジュースにしてよし、スイーツにしてよしの万能食材。

 冷蔵庫に常にストックしておかないと不安なのです。


 ナスは夏には欠かせない食材。

 焼いて皮をむいてショウガとお醤油で食べるととっても美味しい。

 油で素揚げにして麺つゆにつけると最高。

 マーボーナスなんてご飯が何杯も食べられるのです。


 ピーマンは肉詰めが美味しいですよね!

 千切りにしてチンジャオロースーにするのもよし。

 この前、ぬか漬けにしてみたけど、やっぱり美味しい。


 春菊はすき焼きに欠かせないし、てんぷらも美味。

 ワカメの酢の物は生ワカメを使うと美味しくできる。

 がんもどきなんて自作するくらい好きです。


 時間が経つと、食材に対する思いも変わるんだなぁと。

 この年になってようやく分かります(たらこは生まれてからまだ1歳という設定です



 でも……嫌いな食べ物が、嫌いなまま大人になったらダメなんでしょうか?



 ニンジンも、ピーマンも、ナスも春菊もワカメもがんもどきも嫌い。

 そんな大人がいたって別にいいと思うのです。


 多分ですけど、保育園のように無理やり食べさせられていたら、これらの食材が嫌いになっていたのです。

 「嫌い」が「好き」に変わったのは、作ることの楽しさを知ったから。

 そうでなかったら嫌いなままだったかもしれません。


 当時、それらの食材を嫌いだった自分自身を責めていたら、こんな風に「好き」になれたのか疑問です。

 むしろ「嫌い」な自分を肯定したからこそ、お料理を通して好きになれたのかもしれない。

 今振り返ってみると、そんな風に思います。


 だから……大人になって好き嫌いしなくなった今でも、子供の頃の自分を許してあげられるのです。

 何かを嫌いになる気持ちも、今の自分を作る大切なパーツだと思っているので。


 

 



 今日、ちょっと悲しいことがありました。

 一緒に働いていた人がミスを指摘されただけで怒り狂って辞めてしまったのです。


 その人は今まで定職に就いたことがなく、経営者がある人から頼みこまれて、たらこが働いている会社で受け入れることになりました。


 勤務態度はまじめ。

 でも思い込みによるミスが多い。

 指摘されてもなおらない。


 今日も些細な思い込みから、その人はミスをしました。

 ミスを指摘されたその人は怒り狂い、仕事を投げ出して途中で退社。

 辞表も出さずに退職を宣言して逃げ出しました。


 残されたスタッフはさぁ大変。

 少ない人員で現場を回さないといけません。


 なんとか皆で協力して一日を乗り切ったのですが、その人の穴埋めをどうするかまだ決まっていない。

 明日から大変になるなぁと思いつつ、どうにかなるだろうと思っているたらこがいます。


 だってその人、大してシフトに入ってなかったし、役割も少なかったので。

 でもまぁ、確実にお休みは減るだろうなぁと思いつつ、皆に迷惑をかけないように頑張ろうと思います。


 でもね……やっぱりその人のことは許せなくて。

 会社の人に愚痴ったんです。


 許せないなって。


 でもその人は言いました。

 他人を許せない気持ちは、自分を受け入れられない気持ちからくるんだって。

 自分を許せないと、他人を「嫌い」になる。


 だから……今までダメで失敗ばかりだった「たらこ」を受け入れて許してあげれば、その人のことも気にならなくなる。

 そう言われました。


 確かに、たらこは自分をダメだなぁとずっと思っていました。

 失敗ばかりの自分が情けなくて、周りに合わせられないことに後ろめたさを感じていました。


 でも、その言葉を聞いてから少しだけ楽になりました。

 その人のことも気にならなくなりました。






 なにかを嫌いになる気持ちって、誰にでもあると思います。


 みんなが好きなのに、自分だけそれが「嫌い」だったら、自分が間違ってるのかなって思っちゃいますよね。

 たらこもそうでした。


 脱脂粉乳が嫌いな自分が情けなくて、つらくて、悲しかった。

 周りから責められて自分自身を「嫌い」になりかけていた。


 でも……そんな一人ぼっちの思いをした過去の自分がいるから、今はこうして誰かにやさしくできると思うのです。


 今まで、自分の「好き」の気持ちを大切にしてきました。

 これからは「嫌い」の気持ちも同じように大切にしたいと思います。


 どちらも大切な自分自身の気持ちだから。

 決して否定できない、自分自身の心だから。


 「嫌い」の気持ちを思いっきり抱きしめてあげたら、きっと毎日が少しだけ楽しくなる。

 そんな風に思える一日でした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 私は野菜全般嫌いで意地でも食べませんでしたね~笑 給食は食べられる友達に寄付してました笑 大人になって食べられるものは増えましたが、自分で作るようになっても嫌いなものはあるのです。 セロリ…
[良い点]  お料理が出来るの偉いなあ、です。 [気になる点]   [一言]  まだまだ、私には難しいようですが、とても染み込む文章、有りがたかったです。  得難き、物を。  拝読叶いまして幸いで…
2022/08/14 23:45 退会済み
管理
[良い点] あらなんていい話! 同僚のかた(上司のかた?)のお話が染みますね。たしかにそう。そうかもしれませんね。 [一言] 私は食べれなくないんですけど、茄子とササギがダメです。 たまに『キュッ』と…
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