スパゲッティ
登場人物
ルチアノ:ボケ。イタリア人
ほのか:(多分)つっこみ。日本人
ルチアノ「ほのか、ぼくが今食べているものはなんだかわかりますかー?」
ほのか「え?スパゲッティでしょ、それくらい知ってるよ」
ルチアノ「ノ、ノーン。これはスパゲッティではありません。よく見てください、くるくるくるっと、ほらね、一本なんです」
ほのか「はあ」
ルチアノ「だからスパゲッティではなくて、スパゲットです!」
ほのか「・・・あん?」
ルチアノ「スパゲッティは複数形です。一本だったらスパゲットっていうんですヨ」
ほのか「あー、そう。別にそんなこと気にしながら食べないけどね」
ルチアノ「気にしてくださーい。イタリア語、知りたいでショ?」
ほのか「全然。だってここは日本だし、ルチアノは日本語を勉強しに日本にきてるんじゃなかったっけ?」
ルチアノ「そうですけどー・・・イタリア語と絡めて食べたほうがモチベーションがあがるというか」
ほのか「どんなパスタソースでモチベーションあげる気だ。そうはいっても、日本語は複数形になっても言い方変わらないよ?」
ルチアノ「そこです!日本語で複数形作ってみましょう!」
ほのか「はい?」
ルチアノ「つまりですね、イタリア語みたいに、単語の最後がオの母音で終わるものを、イの母音にするんです」
ほのか「イで終わるのは形容詞だよ」
ルチアノ「オ、ノー!そうでした!い形容詞、い形容詞!」
ほのか「落ち着いて。わかった。じゃあ、オの母音で終わる麺類を考えてみるから・・・えっと、うどん」
ルチアノ「う、ドン!うん、男らしい!」
ほのか「いや、男らしくてもオで終わらなかった・・・じゃあ、素麺」
ルチアノ「ソー、メーン!サムライっぽいですね!」
ほのか「侍は男だけど、はっ、侍はもしかして複数形?」
ルチアノ「おおー!ほのか、天才ですね!サムライは複数形ですよ」
ほのか「じゃあ、ひとりだったら?」
ルチアノ「サムラ、オ」
ほのか「いやいやいやいや、そんなやつはおらん。なんか益荒男っぽくなってるけど?」
ルチアノ「ますらおってなんですか?」
ほのか「そこからか。益荒男ってのは、そうだなあ、男らしいっていうか、立派な男っていうことだよ」
ルチアノ「わおっ、それはすごいですね。僕はますらお気に入りました。今度ますらおを彫ってきます」
ほのか「彫らんでいい」
ルチアノ「ますらおたくさん彫ったら、ますらイ」
ほのか「侍とごっちゃになってきたぞ?違う単語を探そう。あ、そば、お蕎麦は?」
ルチアノ「・・・」
ほのか「なに、なんで急に大人しくなっちゃうの」
ルチアノ「そばは・・・女性です」
ほのか「えっ!?日本語は男性形、女性形の区別ないよ?しかも、イタリアは外来語は男性形になるんじゃないの?」
ルチアノ「よく知ってますネ。でもそばは女性形です。アの母音で終わっていますし、コシが細くて柔らかいですから」
ほのか「そのエロい手つき、やめなさい。てか、そうなんだ。じゃあ、女性形の複数形にすれば良いじゃん」
ルチアノ「ソヴぇ、ですか?」
ほのか「なぜ“ヴェ”。べ、じゃないんだ・・・あ、じゃあ、フォーは?」
ルチアノ「フォー!それいいですね!」
ほのか「もちなおしたね。で、それを複数形にすると!?」
ルチアノ・ほのか「「フィ―――!!」」
ほのか「無駄に盛り上がったけど、フォーは一本でもフォーじゃん。しかも、ベトナム麺だし」
ルチアノ「大丈夫です。今のは複数形でした」
ほのか「というと?」
ルチアノ「一人だったらフォー!ほのかと二人だったらフィー!」
ほのか「そういう複数形かい!」
ルチアノ「さあごいっしょに!」
ルチアノ・ほのか「「フィ―――!!」」