「せっかく異世界転生したのに、全人類が異能封じ持ちだった件」
XXXX年春。
爆発事故に巻き込まれて、俺は死んだ……はずだった。
俺の名前はカイト、異世界転生をした、異世界人だ。
転生特典として「創造魔法(Kreatywna magia)」を使えるようになったのだが、
転生先のこの国は、魔王はすでに討伐されて、平和な世界になっていた。
まぁ、自由気ままなスローライフも悪くないだろうと思っていたのだが……。
何やらうまく魔法が使えない……なぜだ?
【序章】
?「カイトさーん、起きてくださーい」
目を開けると、白髪白眼の少女が眼前にいた。
カイト「あー、もしかして、神様ってやつ?」
そういうと、「察しがよくて大変良いですね!最近の転生候補者は楽でいいですね!ではこれを!」と笑顔で本を渡してきた。
神「これはいわゆる転生特典のリストってやつです。なんでも好きなのを選んでいいですよ!」
カイト「なるほど……創作魔法、もしくは創造魔法みたいなものはあるか?」
考えるふりをしたが、異世界転生にあこがれていた俺は、転生特典を既に考えていた。
神「いいですね!いいですね!やっぱり転生者はそうでなくちゃ!ほいっと♪」
少女がカイトに指を向けると、淡い光が体を包みこむ。
神「これで好きな魔法がつかえますよ!試してみてください!」
少女の微笑みに後押しされ、腕を前に出し指先から火球……いや、花火がでるイメージを込める。
カイト「Fajerwerki ! !」
刹那、指先から光の球が発射され、なぜか上空高く飛び上がり大きな花火が咲いた。
カイト「あれ?」
神「あー、花火のイメージが強すぎたみたいですね。カイトさんのイメージで魔法創造されます、正確にイメージしないとこうなっちゃいます。っと、チュートリアルはここまでのようです。受け入れ先の子が早くしろってうるさいので……」
説明の途中で、少女が耳をおさえ、苦笑いしながら足元を指さす。
カイト「何も聞こえないけど……?」
神「まだ、あちらとつないでませんからねー。まぁあちらは魔王はすでに討伐されていて平和みたいなので、楽しく自由気ままな異世界生活を送ってください。ということでー……。」
少女が話している間に視界がぼやけ、白い光に包まれていく。
(あぁ、転生するんだな。平和なのはありがたい。俺TUEEEもいいけど、スローライフも好きなんだよな)
そんなことを考えながら俺の意識は消えていった。
ここは2020年、日本。
すべての人類が異能封じを取得し、遺伝子レベルで魔法を克服した世界。
そう、あの魔王との戦いから約35億年後の世界である。