【ソーセージ mari & mari】 〜#15 【それぞれの誕生日 10歳のあの頃 ごみたまり編】
【それぞれの誕生日 10歳のあの頃 ごみたまり編】
夜が長くなりはじめた秋は、部屋でワインをちびりちびりやりながら
おしゃべりが楽しい季節。
ごみたまりとみずたまりはいつしか小さい頃の誕生日の思い出を
披露しあっていた。
まずはごみたまりから。
「あたし、ちっちゃな頃からとにかく新たしいことにチャレンジしてたワ」
「へえ、例えばどんなこと?」
ひとくち赤ワインを口に含んでみずたは興味ありげに身を起こした。
「10歳の誕生日は自転車を借りて、一台に何人乗れるのか、
限界までチャレンジしたわ」
ごみたはいい気分で続けた。
「11人までいけたわ。すごくいい気分!
でも、でも道に停めてあったジャガーに突っ込んじゃってボッコリ。
持ち主がやってきて、『両親に話がある』って言うから、
『あたし、親いないわ』って言ったら、しばらくその人と一緒に暮らす
ハメになったわ。
それ以来チャレンジはあたし1人でやることにしたの♡」
嬉しそうに同意を求めるごみたの目線をみずたは避けるように顔を背けた。
「へええ、あ、あたしは誘わないでね、チェレンジは」