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原野にも人々が住めるようになったのは

日本で言う都市計画が不要になったから、でもあるし


そうでなくても、通勤しなくて済めば

人々は、田舎に住みたいのだ。




そういう事で、人々は争う理由を失ったから

世の中も穏やかになったし


弥生時代以前のように、家督も必要なくなる。




何より、老後もエネルギー源が安定しているので

子供を育てる理由もない。



子供の側も、親を養う必要もないから


子供も愛したい人々は、家族を持ったし

出産は辛いものだけれども、医学が

進歩したので

早産させ、保育器で育てる事で

苦痛を減らした。


日本でも、明治以前はそうだったように

親類や、村や

国で、子供を育てるようになったから



子供達は、幼い頃から

広い視野を持った人間になる。



昭和の時代まではそうだったりするが


みんなの為に、と

考える子供達になった。


そうした子供達は、自然に

愛すべき人々になる。



争いを知らない子供達、になるのだ。









およそ20年で、そんな

日本になると、神様は観測した。









そんな事にいつかなるとは


今の、ななにはわからない(笑)。





神様は、そのもっと先を見たくなって(笑)


更に、時間を進めた。



ふつうの人間なら、光、つまり

観測対象から跳ね返ってきた光を

見るから



光より早い速度は計れない。



当たり前だけれども、遠いところで

動いているものを見るのも光、である。




よーい、どん!で走り出したロケットが


ゴールにつくまでを計っても



一部始終を観測するのは、光より

早くはできない。



神様には、それができたりするし



ちょっと前、ニュートリノ粒子にそれが

できたりすると話題にもなった。





そういう手法で観測すれば、未来も

見れたりする。






その、神様の見た未来。







人々の暮らしは、それほど変わっていなかったけれども



家族と言う形態が、利害絡みでなくなったのは

いかにも豊かな暮らしであるが


日本古来の村、と言うのは

もともとそうしたものだった。



所有にこだわる必然もなくなったので

人々の関心は、楽しむ事に向かった。




音楽や映画や、時間の掛かるものも

ゆったり楽しめるから


そうしたものが栄えた。





それは、ほんの少しの近未来だが



まあ、ななたちはもう、おばあちゃんになってるだろう(笑)けど。




時代と言うのはそんなものだ。









神様はつぶやく「まあ、今のななちゃんも

そんなに悪いとも思えないがの(笑)」




それは加藤の好みである。





加藤が、正義感なのは仕方ないだろうし

そうでない、ふつうの人の

なな、とは生き方が違うのも仕方ない事だろう。




ひとそれぞれ、なのだ。

神様はななを不憫に思ったから


自分の国、つまりめぐの国に連れていって

すこし、加藤から距離を置こうと思った。



恋愛って、どうしようもないところもある。



好みとか、生き方とか。




生まれ育った環境に合わせて生きるから

ひとそれぞれ。





面白い事に、ふつうの動物の多くは

雌が選択し、雄は選ばれる。



それが、霊長類あたりになると

猿くらいからだろうか、雄は好みを主張する。


勿論、主導権は雌にあるのだけれども

雄一頭に雌複数、そんな状況でも

雄は好みで雌を選ぶと観察されている。




人間も、ごく一部そんな人もいるようで

加藤などは、そうらしい。




加藤自身も不思議に思っている。




「別に、どうでもいいのだけれども」



取り立てて時間掛けて、女の子の機嫌を取るなんて面倒なだけだ(笑)と




そう思っているだけで、ななが格別嫌な訳でもないけど、好きでもない(笑)。





ななに出会う前にも、いろいろな女の子が

加藤の周囲にはいて


そんな記憶の中の彼女たちは、好ましかったような



そんな気もする、と

加藤は思っていたりするし




音楽の中のイメージ、例えば



「そよ風の誘惑」を歌っている

Oliviaの声は、とても愛しいと思ったり。






抽象的なものだから、現実の人間が

敵うはずもない。





わりと、特殊な人間の加藤に出逢ったのは

ななにとって不幸なのかもしれないけれど



容易く終わらない恋の思いに浸れるので

それは、幸せなのかもしれなかったり。



加藤にも、恋について

思い当たる事がある。



それは10年ほども前の事だったろうか。


一時的に仕事が途切れ、加藤は

研究所から離れてアルバイトをしていた。



そこで、バイト仲間だった少女は17歳、

何か理由があったのか、高校ではなく

専門学校に行っている、小柄な子だった。




ひどく幼いようで、大人のような

奇妙な子だったけれど



そのアンバランスなところ、それと

甘えてくるところが、どことなく


守ってあげたくなるような感じだった。




恋、と言うより支えてあげているうちに



なんとなく信頼しあう仲になり



寄り添うようになった。




恋はそういうものかもしれない。



そう、加藤は思ったのは



その子となら、苦労しても一緒でいたいと

思うような気持ちになったりもしたからだった。




ひたむきに恋する子で、愛が得られないと

思い込むと、瞼が腫れるほど泣きはらすようで

真っすぐで、痛々しくて。



クリスマスには、手作りのマフラーを編んだりする、そんな彼女は




ふと、気づくと




今、ななと同じ年齢になっているはずだった。





今の彼女は、ななのように

それなりに大人になっているのだろうか、と

思うと




その、17歳の頃に出会えて良かったと

思ったりする加藤だった。





その思い出があるから、今も

加藤は穏やかに幸せでいられるのだと

思ったりもする。

それは、加藤だけの事なのかもしれないけれど

頼られて、護るために力を尽くすから


生き甲斐を感じる、そういう男である。



なので、懸命に生きるひとを

応援したかった。




その少女は、いつも加藤と一緒にいたいと言い

卒業が近づいても、バイトを続けて


就職をしない、と言ったりした。



「ずっと、ここにいたいな、加藤さんも

そうしてよ」



それで十分幸せを加藤も感じていた。



寒い冬のある明け方、ひとの居ないバイト先で


「なんか熱っぽい」と、額い手をあてて

近寄って来た彼女の額に、加藤は

掌を当ててみる。



それほど熱く無かったが

その温度を、加藤は胸で感じる事になった。



いきなりの事に、戸惑っていたが

幼いと思っていたその子は、意外に

女らしさを、弾力とその雰囲気で伝える。



甘い香りと吐息は、官能に訴え



それは、音楽の中の恋のイメージとは

異なるものだった。




真っすぐなそのひとを、愛しいと

加藤は思う。


それは、加藤にとって幻想かもしれない。

少女にとってもそうだったろう。


でも、幻想がない人生など

味気ないものだし



ただ、そばにいるだけで

幸せなら、あったほうがいい幻想だ。




それがないから、今のななたちは

荒んでいるのだし。




と、加藤は思う。



たぶん、ななと同じ歳のはずの

彼女は、いま、どうしてるのだろうと思うけれど



幻想のまま、置いておいたほうが


お互い幸せなのかもしれないとも思う。






少女故のひたむきさ、とか

純粋さは



やはり、大人になって

損得を気にするようになると

失せてしまうだろうから。



それで、加藤はその



長い歴史のある経済、貨幣、そういうものを

エネルギー源を無償化する事で壊した。



意図はともかく、そうなった。




そうすれば、皆が豊かになるし

平和になる。





最も、共和国のめぐたちは

ずっと前からそういう国なのだけど。





日本で損得にふつうの人が喘ぐのは


相場で貨幣価値が変わるからだし


ほとんどの人が、労働に見合った賃金を得られず

資本家が過大利益を得ているから、である。




なので、その資本に代わる価値を

加藤は作り出した、と言う訳だ。


でも、物や金が溢れている日本と言う言葉は

全体での事で


少女と、加藤の付近は

お金も物もそんなにない。



それで、時給850円のバイトをしている。


物も、そんなに買えないし



加藤に至っては、昼間、郵便局でバイトしていたし



少女は、昼間は学校に通っていて

学費の為、親に迷惑を掛けない為に

バイトをしている、そういう少女だった。




お金も物もないし、時間もないけれど

お互いの存在がある事が、心を温めていた。




「いつか、お休みの日が合えばいいね」




「そうだね」



などと、ふたりはそんな何気ない言葉を

交わすだけでも幸せだった。




誰もいないときは、少しだけそばに寄ったり



そんな事も、ふたりの楽しみだった。




ずっと、そのままで居られればいいと

ふたりは思っていた。




少女の願いはふくらんで




どこかで、ふたりきりになりたい。




そういう、愛らしい気持ちを持っていたり。



でも、ふたりには時間がなくて



バイト先で一緒にいるときくらいが、会う時間だった。





バイトを終えて、帰宅する時

駐車場で、サヨナラをして

帰るのだけれど



その時、少女は

夢が終わってしまうような、そんな表情になるのだった。


アルバローザのステッカーを貼った、ベージュのスクーター、星が描かれたヘルメットで



煙を吐いた2ストロークエンジンを吹かして

走るのだ。




「いつか、お休みが合うといいね」




そんな事を少女は言う。





お互い、正業があるので

時間を作るのは難しい。




そのくらい、物もお金もないふたりだった。





もし、その頃に

戻れれば、と

加藤も思う。




エネルギー経済と、評論された

加藤の発明が


あの頃出来ていたら、ふたりは今でも

幸せだったろうか、と



加藤は思うのだった。

でも、物や金が溢れている日本と言う言葉は

全体での事で


少女と、加藤の付近は

お金も物もそんなにない。



それで、時給850円のバイトをしている。


物も、そんなに買えないし



加藤に至っては、昼間、郵便局でバイトしていたし



少女は、昼間は学校に通っていて

学費の為、親に迷惑を掛けない為に

バイトをしている、そういう少女だった。




お金も物もないし、時間もないけれど

お互いの存在がある事が、心を温めていた。




「いつか、お休みの日が合えばいいね」




「そうだね」



などと、ふたりはそんな何気ない言葉を

交わすだけでも幸せだった。




誰もいないときは、少しだけそばに寄ったり



そんな事も、ふたりの楽しみだった。




ずっと、そのままで居られればいいと

ふたりは思っていた。




少女の願いはふくらんで




どこかで、ふたりきりになりたい。




そういう、愛らしい気持ちを持っていたり。



でも、ふたりには時間がなくて



バイト先で一緒にいるときくらいが、会う時間だった。





バイトを終えて、帰宅する時

駐車場で、サヨナラをして

帰るのだけれど



その時、少女は

夢が終わってしまうような、そんな表情になるのだった。


アルバローザのステッカーを貼った、ベージュのスクーター、星が描かれたヘルメットで



煙を吐いた2ストロークエンジンを吹かして

走るのだ。




「いつか、お休みが合うといいね」




そんな事を少女は言う。





お互い、正業があるので

時間を作るのは難しい。




そのくらい、物もお金もないふたりだった。





もし、その頃に

戻れれば、と

加藤も思う。




エネルギー経済と、評論された

加藤の発明が


あの頃出来ていたら、ふたりは今でも

幸せだったろうか、と



加藤は思うのだった。


でも、物や金が溢れている日本と言う言葉は

全体での事で


少女と、加藤の付近は

お金も物もそんなにない。



それで、時給850円のバイトをしている。


物も、そんなに買えないし



加藤に至っては、昼間、郵便局でバイトしていたし



少女は、昼間は学校に通っていて

学費の為、親に迷惑を掛けない為に

バイトをしている、そういう少女だった。




お金も物もないし、時間もないけれど

お互いの存在がある事が、心を温めていた。




「いつか、お休みの日が合えばいいね」




「そうだね」



などと、ふたりはそんな何気ない言葉を

交わすだけでも幸せだった。




誰もいないときは、少しだけそばに寄ったり



そんな事も、ふたりの楽しみだった。




ずっと、そのままで居られればいいと

ふたりは思っていた。




少女の願いはふくらんで




どこかで、ふたりきりになりたい。




そういう、愛らしい気持ちを持っていたり。



でも、ふたりには時間がなくて



バイト先で一緒にいるときくらいが、会う時間だった。





バイトを終えて、帰宅する時

駐車場で、サヨナラをして

帰るのだけれど



その時、少女は

夢が終わってしまうような、そんな表情になるのだった。


アルバローザのステッカーを貼った、ベージュのスクーター、星が描かれたヘルメットで



煙を吐いた2ストロークエンジンを吹かして

走るのだ。




「いつか、お休みが合うといいね」




そんな事を少女は言う。





お互い、正業があるので

時間を作るのは難しい。




そのくらい、物もお金もないふたりだった。





もし、その頃に

戻れれば、と

加藤も思う。




エネルギー経済と、評論された

加藤の発明が


あの頃出来ていたら、ふたりは今でも

幸せだったろうか、と



加藤は思うのだった。


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