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「よろしい。シスターななは残りなさい。ほかは、下がって。」院長は、穏やかそうな

婦人である。



ここは、修道院。



めぐたちと、ななは

一日体験で、やってきた。




めぐたち高校生は、普段、校則で

決まった身嗜みだったので

問題なかったが



ななは、日本の、ふつうのOLだから。




「シスターなな、耳飾りを外して、それから爪飾りも。足の爪の色も落としなさい。」


院長は穏やかに言うけれど、ななは不満顔。


「どうして外さないといけないのですか」と

静かに理由を聞く。



院長は「それは、あなたの美しさを妨げるものだからです。その飾りものを売ろうとする

人々の意思はわかりますが」




「でも、飾りがあると綺麗でしょ」と、ななは


院長をも恐れない(笑)甘えっ子である。




「飾りそのものは、眺めて楽しむものですね。あなた自身の心が美しければ、どんな飾りものよりも美しいはずです。飾りがある事で

心の美しさを邪魔してしまいます。」




華美に着飾る事が、かえって品位を落とすと院長は言っている。




日本でも、1970年代あたりまで

耳飾りを付けたり、ペディキュアをしたりするのは

品位の低い人々のする事だった。



心のどこかに劣位を自覚する人々が


それを打ち消したくてする行為、と

行動心理学では説明されている。




つまり、育てられる過程で



誰かより劣位だと思いこまされただけで




人間に優劣などない。




それを、院長は静かに示す。








ななは、自覚する

「院長先生、ありがとうございます。

装飾は外して参りますから、下がってよろしいですか?」



院長は、静かに微笑む。



「シスターなな、あなたは賢い方です。」







ななに悪意はないのだが日本の環境が

悪い(笑)。




それと、おそらくは母親の抑圧のせいで


ななに、反発心のようなものが出来てしまっていて



不要に、母親に反抗したがる気持ちが

大人になってから起きてしまっていて



その現れで、耳に穴を開けてまで飾ったり、必要もない爪飾りをつけたり。



一流の企業では許されない振る舞いである。






しかし、院長が信頼する事で



ななは心を開く。




反発する対象じゃない、と


ななの気持ちが融解するのである。





化粧を装甲、と言ったように




ななにとってそれらは、攻撃する大人に

対しての武装なのだ。








意図せず、加藤の発明によって



子供達は、生まれながらにして


エネルギー源を与えられる。。




親も養う必要もないから


苦労もない。




必要なら、国営の共同養育施設で


国が親になって、子供を育てる事もできるが



誰も皆、裕福になったので

そんな必要もなかった。




子供の心に、ななのようなストレスが

生まれる事はなくなった。

「大丈夫かしら?」と、ななに声を

かけたのは

陽気で大柄な、アメリカンの黒人。



黒い修道服を纏っていると、トトロのように

頼れそう。




院長室から出てきて、少し戸惑っている、ななを

慰めるかのような優しさのそのひとは

シスター・クラーレ。




ななは、異国でひとりきり、なんて気持ちだったけど


クラーレのおかげで、元気になれそうだった。




「シスターななの国とこっちは違うから。

あたしの国とも違うから。風習の違いは仕方ないね。


でも、音楽に国境はない、わ」と


クラーレは、歌うのが楽しそう、と言う表情で



広い廊下に響くようなR&Bを歌う。



その声は、ななの気持ちもリラックスさせる。

遠い記憶の中、どこかで聞いたような

メロディーだった。




音楽っていいな、と


ななは思う。



日本では、こんなふうに音楽を聴く事もなかった。





「院長の言うように、飾りなんてない方がいいわ、それ、日本で流行ってるの?」と、クラーレ。



うん、と、ななは頷き「みんなしてるから、なんとなく。そういえば、失業保険貰ってネイルアートに行く人もいたり」と、ななは現実を示した。




廊下をゆっくり歩きながら、クラーレは



首を傾げながら「アメリカじゃ考えられないわね。誰が何しようと

勝手だし。ヨーロッパは、階級社会だったから

元々、そういう華美な装飾って

貧乏人の目立ちたがりのするもの、だったわ。アハハ」と、陽気に笑う。




ななも笑顔になる。




それは日本でも同じで、高級なひとたちは

至って質素な振る舞いをしているものであった。



元々、心の中に

階級の意識などがないから、であって。




劣等感があるから、優位と感じる者を憎むのである。



優劣など本当はないのに、あると思い込んでいる人々、即ち

日本では異邦人の人々である。




まあ、加藤のエネルギー革命で


祖国に戻れば


永遠のエネルギー源を得られるから


次第に帰国する事になるだろうけれど。






文化の混沌は異質だ。







「さあ、ここがあなたのお部屋ね」と


修道院のゲストルームなのだろうか、くすんだ重々しい扉を開くと




みんなが待っている。




お部屋は、意外と広くて綺麗なので


ななは、少し拍子抜け。


「なーんだ。監獄みたいなところだと思ってた」と、笑顔に戻って。



シスター・クラーレは、笑って「監獄はないわね。入った事あるの?」




ないけど、と、ななも陽気なクラーレに和む。


おかえり、と、めぐは灰色の修道服で。



髪も隠しているけれど


なんとなく、若々しい。




「耳飾りなんて、してても分からないのに」とは、いかにもめぐらしい(笑)。




同じ、グレーの服に

白い襟がかわいらしい

れーみぃは



「うん。ネイルアートは見えるけど」。






背高のNaomiは「あたしだって、オートバイで来ちゃって叱られたよ」と

窓の外、木陰に止めてある


銀色のYAMAHAを指さして。




それはまずいわね、と



クラーレも笑う。





同じくらいの背丈のリサは、静かにしていると


上品に見えたりするけど。




「でも、一晩の辛抱ね、明日は朝5時起床かなー。」と、楽しそう。





ひぇぇ。



と、誰からともなく悲鳴(笑)。




和やかに、修道院の夕方は暮れて行く。




そんな、修道院の暮らしも

変わろうとしている。




信仰の深い人達の寄附で運営していた

修道院、それも

お金を払って物を買う、と言う

システムの上で



そうなっていただけで



加藤のエネルギー源開発で



誰でもエネルギー源を持っている事になると

全てが変わる。




シスターたちが、誰でも資産家になるから


そのエネルギー取引で、修道院の暮らしを

支えていける。。





「何か、世の中のために働きましょう」と

思っても、する事はない(笑)。




みんなが豊かな暮らしになってしまっているのだから。




しかし。




それでも、人としての悩みは起こったりする。




健康の不安、生きて行く希望。

死への畏れ。





そういうものが、教会の

果たす役目、になっていく。






ーーーはずだが(笑)。




とりわけ、美しい賛美歌を歌う事などは



お金では買えない経験であったりもするので



教会に来る意味は別に変わらない。





「一日じゃ物足りないでしょ、みなさんっ!ははは」と、クラーレは

白い歯をむきだして笑う。


陽気なアメリカン。


ゴスペルが似合いそうだ、いかにも。




「いえいえ、一晩で結構です」と、れーみぃが


掌を左右に振る。



みんな、一緒に笑った。




和やかな、そんな雰囲気を


なな、は

久しぶりに感じたような気がした。




「なんで、わたしたちの服はグレーなの?」と

めぐが言うと、クラーレは




「それは、まだ若いって事。」と

にこにこして言う。




「ほんじゃ、シスター・クラーレは

若くないから黒いの?」と、れーみぃ。




ほんじゃ、ってなによ、と


リサが言うと



「あれ?」と、口調が砕けたれーみぃ。



目が寄ってる。




わはは、とみんなで笑ってると



「みなさーん、消灯の前にお風呂でも」と

廊下から声。




そんなのあるの?と



めぐ。






「あるよ、ここ温泉地だもの」と

忘れかけていた事をクラーレは言う。



そういえば、めぐの家の裏山にも

温泉があったんだっけと


めぐは、夏休みの事を思い出したりした。





もう、遠い思い出になってしまってるけど

初めて魔法使いルーフィが来たのは、夏。




温泉に行ったんだっけ。







物思いに耽りそうな、めぐを引っ張るように


「温泉温泉」って、れーみぃは

お風呂へめぐを連れて行った。




修道院にお風呂なんて、想像できないけれど

この地方は、温泉が湧くから

ふつうだけど、他の地方から見ると贅沢だったりする。




日本が、いろんなものが溢れてても

贅沢だと思わないような、そんな感じ。





廊下のずーっと奥で、めぐたちの

学校に近いあたりに、温泉は

一日中入れる。




「こんなところに温泉があったなんて」と、リサは気づかなかったらしい。




「学校にもあるじゃない」と、Naomi。




そういえば、プールも温水だし

スポーツの後のシャワーも、お湯がふんだんに

使えた。




合宿所にもお風呂あったし。






「とにかく入ろうよ」って、れーみぃは

グレーの修道服を脱ぐと


とたんに、ふつうのアンダーウェアになって



ここは、修道院かな、と?




フードが脱ぎにくい(笑)。




アジアンふう、だけど


なな、みたいな

日本人とはちょっと違う風貌で


肌も白かったり。





めぐは、日本語っぽい呼びだけど(笑)


マーガレット、と言う名前でめぐなので


日本人の血統でもない。



すらりとした北欧少女、やや小柄だけど


ななよりは大きい。





ななも、おそるおそる修道服を取り


フードだけになると、とたんに。



足元が、お風呂の着替え場の床から

微妙に浮いたりして(笑)。


神様に貰った魔法は、まだ効いてるらしい。



空とぶシスター、なな。




あわてて地面に降りたので、誰にも

気づかれなかった。





「あれ?」と




その様子に気づいたのは、魔法使いのめぐだった。





やっぱり、似てるから。




「早くお風呂はいんないと消灯だよ」と

リサは均整の取れたスタイルで。

テニス好きだから、半袖と脚だけ日焼けしてて


膝は擦り傷けっこういっぱい。


胸もとだけ日焼けで、変にリアル(笑)。




「フードだけかぶってヌードだと、なんか

男の子の好きな雑誌のグラビアみたい」と

れーみぃは、また変な事(笑)




「本当にお嬢様なの?それで」と、Naomiは

あんまり焼けてない。




「こっちのお風呂って水着着るのかと思った。

なんか、恥ずかしいけど」と、ななは


やっぱり日本人。


どことなく水っぽいふんわりスタイルだけど。


そのあたりが日本ふう。




「そういう所もあるけど。外のお風呂とかは」と、めぐ。




家のお風呂と一緒だもの、と、リサ。



なるほど、シスターだから家族なのね、と

ななは納得。



割と広いお風呂場は、学校の教室くらい。



「昔は、なんだったんだろね、ここ」と、リサ。




「お風呂場なんじゃない?」と、Naomi。



郵便局にもあるけど、とも付け加えて。





3年後、郵便局に勤めて


そこに、めぐがタイムスリップして


郵便局のお風呂場でのぼせるんだけど(笑)



それは、今はNaomiも知らない。


めぐは覚えてるんだろうか(笑)。





「だけど、あの、サウナ入って

雪の原にダーイブしたりするでしょ」と

ななは、テレビの旅行番組の映像を思い出して(笑)。





「それは、もっと寒いとこ」と、れーみぃ。




「それに男だよ、そういう事するのは」と、リサ。




「あ、そういえばそうか。女の子はやらないね。

おばさんはいたみたいだけど」と、なな。




「おばさんっていくつくらいかなぁ」と、Naomiは真面目顔(笑)




大人っぽいから、それを気にしてるとこもある。





「日本だと、30くらいかな」と、なな。



「わかんないよねー。あと12年かぁ」と、めぐ。




そんなに先の事、って(笑)。




18年しか生きてないから。

12年先って言っても。




想像もできない。



12年前はお嬢ちゃんだった(笑)。




「その間に、結婚したり子供産んだり」と、リサ。




「やだー、めんどくさいなぁそう考えると」れーみぃはやっぱり、お嬢様(笑)。




恋人もまだいないもの。





「いつか、結婚したいとか思うのかな」と、めぐは恋愛、はしたいと思っても。





「あれ、シスターって神様と結婚するんじゃないの?」と、なな。




あ、そっかあ。と、みんな笑う。



一日体験だもん(笑)。



お風呂場に笑い声。





もうじき消灯だよ(笑)。




めぐの髪は少し長めだから

濡れてしまうと、ちょっと

まとわりついてしまって。



「切っておけばよかった」と、めぐは

少し、うっとうしいと

右手で髪を上げて、温泉へ。




「そのポーズ、色っぽいよ」と、れーみぃが

からかう(笑)



「やだなぁ、もう、男の子みたい」と、めぐ。




「男の子と入ってるの?」と、Naomiは

冗談、低い声で(笑)




んなわけけないけど(笑)



「でも、ほら、あの、ホームステイしてた

イギリスの人といったんじゃない?」とは

リサ。



「ルーフィ。」と、めぐ。




「ルーフィさん、爽やかなかた」と、なな。




「うん、お兄ちゃんタイプかな」と、めぐ。




「わたしから見ても」と、ななは

めぐたちの前では、自称をなな、とは言わない。




日本的な感じで。




「なんとなく、お父さんみたいに落ち着いてて」と、ななは言うけれど。




ルーフィが過去から来た旅人だとは

説明もできない(笑)めぐ。




それに、めぐ自身のこの世界も


めぐは覚えていないが

17年前で一旦、巻き戻されて。



元々の世界は、魔物やら悪魔やらが

住み着いていた世界だったり、なのだけど。




そういう多重世界なのだけど



まあ、例えば3Dのビデオみたいなもので

それぞれの画像を遠くから見ると



同じに見えるけど


各々は互いにわからないけど、同じ空間で

時間も一緒に進んでる、そんな感じ。




「ちょっと、加藤さんに感じ似てる」って

ななは、なんとなくひとりごと。



「カトー?ああ、スタートレックの?

グリーンホーネット?」と、れーみぃは

お嬢様らしく、いろんな映画を知っている。


名作からSFまで(笑)。


教養と言うか、趣味人っぽい。



「スタートレックのカトーは、日本語盤だけだって、加藤さんが言ってたっけ」と、ななは

思い出す。




その加藤は、遠い日本で頑張っているのだけれど。




本人の望む所と関係なく、産業革命に

巻き込まれてしまって。




「加藤さんは、穏やかで。

傷ついたりしない、そういう感じなの」と、ななは

加藤の事を、思い出みたいに言う。




「それで、なぜ修道院に来たの?」と、Naomi。



「加藤さんは、わたしを好きになってくれないの」と、ななは、話していて思った。




自分は、幼いんじゃないだろうか(笑)と。



日本にいると、周りがみんな幼いので

気づかなかった。




こっちのひとは、みんな大人だ。





穏やかで。





「好みはいろいろあるから、仕方ないね」と、Naomi。





「好きになってほしいって気持ちはわかるけどさ」と、れーみぃは

柔らかく言った。



ふくよかなボディは、ちょっとアジアンで

ななに近いけど



どちらかと言うと、キューピッドみたいに


かわいらしい。




「加藤さん、あたしの事を

かわいらしい、って言ってくれたの。

それが嬉しくて」と、ななは思い出に浸る。



笑顔になって。




そういえば、加藤さんもいつも笑顔だったっけ。


誰にも媚びないし、へつらう事もしない。

それで、にこにこしてるので



大金持ちなんだって、言われたり

妬まれたり。




課長なんかは、馬鹿にされてると

憤慨していたりして(笑)。





それは、その人の妄想なんだけど。








実際、日本やアメリカでは

加藤の、エネルギー革命のせいで


前途を悲観する人々はいなくなった。



自分に割り当てられたエネルギー源は、

日々暮らしていけるだけのエネルギーを作る。




それなので、無理して争う必要もなくなった。




元々争いが好きな人も、争いの元がなくなるので



次第に穏やかになっていった。




人に何かを言われようと、自分が

別に傷ついたり怒る事もない。




言った人が正しい訳でもない(笑)。




怒るのは、それで争いたい自分を

自覚していないからである。





めぐの国は、共和国だから

社会保障がきちんとしていて



経済活動で成功した会社などは

利益を社会に還元していた。




もちろん、国の構造があるから

そこで利益を得られた訳、で


当然の事である。




それで社会保障を行っていたから


人々は、あくせく働く事もなかった。



もともと、金儲けをしたい企業は

外国からわざわざめぐの国に来る事もない。



儲かったら国に還元するから、である。




それで、日本のように

儲けは外国に持ち逃げで

日本には法人税を払うだけ、みたいな

国に悪い人々が外国から来たが(笑)




もう、そんな事もない。



エネルギーが無尽蔵に得られるとなると

経済活動をしなくてもいい。



それは、人間が

野生生物のように採集だけで生きていける、と


言う事。

採集で暮らしてゆけるのは、太古の

昔からそうであったように


今でも、南の島に暮らしている人達などは

そうだけれど



目が覚めるまで寝て、起きたら食べ物を探して

食べて。



眠くなったら寝る。



そういう暮らしである。




都市に暮らしていても、加藤たちの

エネルギ革命で、誰もがエネルギー源を持っているから



必要とする人達、とそれを交換する事で利益、

つまり、物に交換できる。



今、貨幣のあったところが

エネルギーになっただけ、である(笑)が



枯れる事のないエネルギー源だし、

世界中で価値は同じ。




なので、相場などと言う不公平もない。





それで、人達は平和になった。



それでも、病気になれば医療は必要だし



死は訪れる。




都市生活で抑圧された親からの

攻撃で、心を痛める子供もいなくなった。



何しろ、都市そのものが不要になったのである。




それでも、人々は何かを工夫したり

遊んだりした。




加藤も、実は研究で遊んでいる(笑)



それは、加藤の楽しみなのだ。




「あ、シャンプー忘れた」と、ななは

困った。



「一晩くらいいいじゃない」と、Naomi。



歳は下だけど、なんとなく大人っぽい彼女は

郵便局のバイトで鍛えている事もある。



手紙を届けるなんて、単純だけど

受け取る人々にとっては大切だ。



なんたって、一品生産の文章だもの。




そういう世界を好むNaomiは、実は

外観はファッションモデルのような人だけど


派手な世界は嫌いで、おじいちゃんの片見の

オートバイを大切にしている子だった。




後戻りのできない郵便配達の仕事。


道順の通りに配達しないと、時間通りに

終わらない。


そういう厳密な時間の過ごしかたに慣れていると

些細な事は、大切な事が終わってから

すればいい、とか


するべき事と、そうでない事を

明快に分けられる、理論的な行動ができる。






「やだー、洗いたい」と、ななは

日本にいる時のつもりで(笑)



いつでも、わがまま言っても

なんとかなる、って

甘えた暮らしに慣れてる(笑)


けど、ここは日本じゃない。




「石鹸で洗えば?」と、めぐ。



めぐも、あいにくシャンプー、なんて

持って来なかった(笑)。



そもそも、この国は乾燥気候だから

亜熱帯の日本と違って

そんなに汗もかかない。



身体自体が、環境に適合してしまっているのだった。






まだ、来たばかりのななは

適合できてもいない(笑)。




「石鹸で洗ったら、髪が荒れちゃうよ」と

ななは、わがまま(笑)。






「そんな事ないよ、薄めればいいの」と、リサ。



なんで、そんな些細な事で

不満を述べるんだか、訳がわからないけど




物がいつもふんだんにあるんだろうな、日本は(笑)




と、そんなふうに思ったり。






なな自身も、自分が環境に

騙されてしまっている事には気づかない。




シャンプー、なんてものが無くても

人間は生きて行けるのに



それがいつもある事を有り難い、と

思えなくなってしまっていて



ないと不満に思うようになってしまっているのは



そういうものを売る人達の策に

嵌まっている、と言う事にも


気づかない。





美、ですらこんな感じで


衣食住、生活すべてを




物売りの宣伝に載せられてしまっている。




でも、それは


ななのせいではないから



神様が、修道院に行く事を

奨めた意味は、それに気づく事だった。










「日本は、面白い事を始めたな」出雲神は


アメリカンの神様に言う。



「ま、マテリアリズムはこのところの流行だったけどね。それで幸せになれたかと言うとなぁ(笑)」





「物がなくなりゃわかるだろう」と、出雲神は

手厳しい。




万物に神が宿る、でも

人工物には宿らないから


この国は、神様の見守るところが減ってきて


そこに、悪意が蔓延るとでも

言いたいのだろうか。




実際、自然物はみな神様が宿っていて

人間の知るところである、フラクタルや

1/fゆらき特性、などで

美しい数学的均整が取れている。



そうしたものが側にあると、人間の

心は美しく保てるので



悪意が宿る隙間は無くなる。





人工物にはそれがないので


神の癒しがないのだ。




それで、人工環境だと

悪意が宿りやすい。




つまり、科学的に言うと

八百萬の神様、と言うのは

1/f特性のような物性で

人間の心を、快く保ち


悪意が起こらないようにする、と

言う事なのであろう。



ななは、人工の環境に適応してしまっているので


シャンプーで髪を洗うと言う不自然、つまり

神様のいない環境に慣れてしまったから



不自然な快楽が得られない不満、則ち

過剰な快への禁断症状的な不快が

悪意、我が儘を起こしてしまう事になる。






「あれは、避けようがないな」と、出雲神。


「だね。でも、エネルギー革命で変わる」と、アメリカンの神様。





少し、神様たちは時間を早めて観測した。



反物質融合によるエネルギー革命で、人々は

労働をしなくても済むようになったから

物の流通が減った。


日本やアメリカのように、特に


物が過剰に流通していた国では、そのせいで

物の価値が上がった。



ただ、国際取引は貨幣でなく

エネルギー取引になったので


輸出入の物品は、高値安定になった。



それで、物を長くメンテナンスして使う、と言う

20世紀の北欧のような文明が

極東でも興った。



工業製品も、丈夫なものが大切にされる。




それは、物に愛着を生むから

果たして、人工物にも思い入れを持つ事で

そこに、愛を見出だす事になる。


オキシとしん回路が働く訳だ。






ゆったりとした時間の流れで、快く

生活する。



人間本来の生活を取り戻す訳だ。



社会が刺々しさを失うと、少女たちも

防御の為に攻撃的に振る舞う必然もなくなる。




ノルアドレナリン回路が閉じ、元々

生物が持っていた愛らしさを取り戻すと



男たちも、守るべき社会に立ち返る。



愛すべきものの為に、共通の社会を

守る、そういう本来の


男らしい生き方に回帰できる。



地球全体が、利害などなく


愛すべきものを守れるように、ようやくなった。




主義も信仰も、実は

狭い地球上で枠を作って排他するだけのもので


そこには、利害が存在していた。




貨幣の存在である。



その貨幣そのものの無意味さは、言うまでもない。




人間が勝手に作った価値観である。




エネルギーのような、物理的絶対価値には

対抗できようもなかった。






攻撃性が原義であった、人間の発情も

抑制される。



元々、危機の前に


死んだとしても種子を残そうとする

生き物の本能である。



安定して生きてゆければ、発情も抑制される。



果実をつける樹木は、栄養豊富だと

果実を付けず



剪定をしたりして傷つけると、果実を

良く残すのは

良く知られる農業技術であるが



人間も、それと同じである。





戦時下で出産が増えたりした


第一次大戦時のドイツの統計などを見ても

有意な知見である。





猿の群れのボスが交代すると

発情が興るのと同じメカニズムである。



危険が遠ざかれば、人口も抑制されるのだ。




1980年代、エチオピアの

セミエン高地に住んでいた

ハヌマンラングール。

彼らは、人間の親類であるが



オス1、メス複数の


ハーレムのような群れで



若いオスが、ハーレムを乗っ取ると

メスが発情するという、発情期がない

人間に近い生態である事を(笑)



日本の、京都大学霊長研が報告した。




人間がもし、遺伝的な継承をしていれば

そんな性質があるのだろう。




この群れは、ボスが変わると

ハーレムのメスは、前に生まれた子供の育児放棄をするのである。




人間と同じだ(笑)。




保身、あるいは新しい興味

のために

育児は邪魔、と言う事だろうが


それは道理だ。



自分以外を世話するのは面倒に決まっている(笑)。



しかし、ハーレムでなく

群れにオスが複数いると、育児放棄は

起こらない。



人間で言えば、おじいちゃん、おじさんが

いる家族では

育児放棄や、いじめが起こらないのと同じだ。


(ななは、核家族で

めぐたちは、大家族で育っている)



つまり、人間界の

家族、等という生態も

本来は、おそらく租税や

社会の必然から生まれたので



それが疎ましいものになっていると

言う訳だ。



1/fゆらぎ理論のように、幾何的明快さのある

自然の法則(重いものは大きく振動するので、周波数が低いと振動は大きい)に従った


生態になると、人間に快い社会になる。





それを、加藤は

エネルギーの自由化で行った訳、だ。








でも、北欧のめぐの国は

先進国だから、そんなものがなくても

共和的に、社会が安定している。




利益のために、おじいちゃん、おばあちゃんと

離れて会社の近くに住む、なんて事も不要だ。

そういう時、若い未熟な夫婦の子供が

親の未熟による心傷を受ける、なんて事も


起こらない。





おじいちゃん、おばあちゃんは

親より優等だから


親がイジメたりできないのである(笑)。






そういう理由で、めぐたちは

のびのびと育つ事ができる。



環境を子供は撰べないから

ななが悪い訳でもない。

「あ、シャンプー忘れた」と、ななは

困った。



「一晩くらいいいじゃない」と、Naomi。



歳は下だけど、なんとなく大人っぽい彼女は

郵便局のバイトで鍛えている事もある。



手紙を届けるなんて、単純だけど

受け取る人々にとっては大切だ。



なんたって、一品生産の文章だもの。




そういう世界を好むNaomiは、実は

外観はファッションモデルのような人だけど


派手な世界は嫌いで、おじいちゃんの片見の

オートバイを大切にしている子だった。




後戻りのできない郵便配達の仕事。


道順の通りに配達しないと、時間通りに

終わらない。


そういう厳密な時間の過ごしかたに慣れていると

些細な事は、大切な事が終わってから

すればいい、とか


するべき事と、そうでない事を

明快に分けられる、理論的な行動ができる。






「やだー、洗いたい」と、ななは

日本にいる時のつもりで(笑)



いつでも、わがまま言っても

なんとかなる、って

甘えた暮らしに慣れてる(笑)


けど、ここは日本じゃない。




「石鹸で洗えば?」と、めぐ。



めぐも、あいにくシャンプー、なんて

持って来なかった(笑)。



そもそも、この国は乾燥気候だから

亜熱帯の日本と違って

そんなに汗もかかない。



身体自体が、環境に適合してしまっているのだった。






まだ、来たばかりのななは

適合できてもいない(笑)。




「石鹸で洗ったら、髪が荒れちゃうよ」と

ななは、わがまま(笑)。






「そんな事ないよ、薄めればいいの」と、リサ。



なんで、そんな些細な事で

不満を述べるんだか、訳がわからないけど




物がいつもふんだんにあるんだろうな、日本は(笑)




と、そんなふうに思ったり。






なな自身も、自分が環境に

騙されてしまっている事には気づかない。




シャンプー、なんてものが無くても

人間は生きて行けるのに



それがいつもある事を有り難い、と

思えなくなってしまっていて



ないと不満に思うようになってしまっているのは



そういうものを売る人達の策に

嵌まっている、と言う事にも


気づかない。





美、ですらこんな感じで


衣食住、生活すべてを




物売りの宣伝に載せられてしまっている。




でも、それは


ななのせいではないから



神様が、修道院に行く事を

奨めた意味は、それに気づく事だった。










「日本は、面白い事を始めたな」出雲神は


アメリカンの神様に言う。



「ま、マテリアリズムはこのところの流行だったけどね。それで幸せになれたかと言うとなぁ(笑)」





「物がなくなりゃわかるだろう」と、出雲神は

手厳しい。




万物に神が宿る、でも

人工物には宿らないから


この国は、神様の見守るところが減ってきて


そこに、悪意が蔓延るとでも

言いたいのだろうか。




実際、自然物はみな神様が宿っていて

人間の知るところである、フラクタルや

1/fゆらき特性、などで

美しい数学的均整が取れている。



そうしたものが側にあると、人間の

心は美しく保てるので



悪意が宿る隙間は無くなる。





人工物にはそれがないので


神の癒しがないのだ。




それで、人工環境だと

悪意が宿りやすい。




つまり、科学的に言うと

八百萬の神様、と言うのは

1/f特性のような物性で

人間の心を、快く保ち


悪意が起こらないようにする、と

言う事なのであろう。



ななは、人工の環境に適応してしまっているので


シャンプーで髪を洗うと言う不自然、つまり

神様のいない環境に慣れてしまったから



不自然な快楽が得られない不満、則ち

過剰な快への禁断症状的な不快が

悪意、我が儘を起こしてしまう事になる。






「あれは、避けようがないな」と、出雲神。


「だね。でも、エネルギー革命で変わる」と、アメリカンの神様。





少し、神様たちは時間を早めて観測した。



反物質融合によるエネルギー革命で、人々は

労働をしなくても済むようになったから

物の流通が減った。


日本やアメリカのように、特に


物が過剰に流通していた国では、そのせいで

物の価値が上がった。



ただ、国際取引は貨幣でなく

エネルギー取引になったので


輸出入の物品は、高値安定になった。



それで、物を長くメンテナンスして使う、と言う

20世紀の北欧のような文明が

極東でも興った。



工業製品も、丈夫なものが大切にされる。




それは、物に愛着を生むから

果たして、人工物にも思い入れを持つ事で

そこに、愛を見出だす事になる。


オキシとしん回路が働く訳だ。






ゆったりとした時間の流れで、快く

生活する。



人間本来の生活を取り戻す訳だ。



社会が刺々しさを失うと、少女たちも

防御の為に攻撃的に振る舞う必然もなくなる。




ノルアドレナリン回路が閉じ、元々

生物が持っていた愛らしさを取り戻すと



男たちも、守るべき社会に立ち返る。



愛すべきものの為に、共通の社会を

守る、そういう本来の


男らしい生き方に回帰できる。



地球全体が、利害などなく


愛すべきものを守れるように、ようやくなった。




主義も信仰も、実は

狭い地球上で枠を作って排他するだけのもので


そこには、利害が存在していた。




貨幣の存在である。



その貨幣そのものの無意味さは、言うまでもない。




人間が勝手に作った価値観である。




エネルギーのような、物理的絶対価値には

対抗できようもなかった。






攻撃性が原義であった、人間の発情も

抑制される。



元々、危機の前に


死んだとしても種子を残そうとする

生き物の本能である。



安定して生きてゆければ、発情も抑制される。



果実をつける樹木は、栄養豊富だと

果実を付けず



剪定をしたりして傷つけると、果実を

良く残すのは

良く知られる農業技術であるが



人間も、それと同じである。





戦時下で出産が増えたりした


第一次大戦時のドイツの統計などを見ても

有意な知見である。





猿の群れのボスが交代すると

発情が興るのと同じメカニズムである。



危険が遠ざかれば、人口も抑制されるのだ。




1980年代、エチオピアの

セミエン高地に住んでいた

ハヌマンラングール。

彼らは、人間の親類であるが



オス1、メス複数の


ハーレムのような群れで



若いオスが、ハーレムを乗っ取ると

メスが発情するという、発情期がない

人間に近い生態である事を(笑)



日本の、京都大学霊長研が報告した。




人間がもし、遺伝的な継承をしていれば

そんな性質があるのだろう。




この群れは、ボスが変わると

ハーレムのメスは、前に生まれた子供の育児放棄をするのである。




人間と同じだ(笑)。




保身、あるいは新しい興味

のために

育児は邪魔、と言う事だろうが


それは道理だ。



自分以外を世話するのは面倒に決まっている(笑)。



しかし、ハーレムでなく

群れにオスが複数いると、育児放棄は

起こらない。



人間で言えば、おじいちゃん、おじさんが

いる家族では

育児放棄や、いじめが起こらないのと同じだ。


(ななは、核家族で

めぐたちは、大家族で育っている)



つまり、人間界の

家族、等という生態も

本来は、おそらく租税や

社会の必然から生まれたので



それが疎ましいものになっていると

言う訳だ。



1/fゆらぎ理論のように、幾何的明快さのある

自然の法則(重いものは大きく振動するので、周波数が低いと振動は大きい)に従った


生態になると、人間に快い社会になる。





それを、加藤は

エネルギーの自由化で行った訳、だ。








でも、北欧のめぐの国は

先進国だから、そんなものがなくても

共和的に、社会が安定している。




利益のために、おじいちゃん、おばあちゃんと

離れて会社の近くに住む、なんて事も不要だ。

そういう時、若い未熟な夫婦の子供が

親の未熟による心傷を受ける、なんて事も


起こらない。





おじいちゃん、おばあちゃんは

親より優等だから


親がイジメたりできないのである(笑)。






そういう理由で、めぐたちは

のびのびと育つ事ができる。



そういう事を、加藤は不憫に思っていたので


環境から変えてやろう。



そう思って、エネルギー革命を起こした。



のだけれども、その事はまだ、ななには

わからない。



そういうものだ。





神様は、天上から「人間は素晴らしいものだのお」と、微笑みながら見守っている。







地上の、めぐの国の修道院では、まだ

お風呂に入っている(笑)。





「石鹸をね、3%くらいに薄めて洗えばいいのよ」と、リサはさすがに理系である。



界面活性剤は、そのくらいが一番洗浄能力が高くて


それ以上にするから、残った石鹸分が

荒れの原因になる。




台所洗剤の容器に書いてある事だが

泡が立たないと汚れが落ちないと


CMの映像に騙されているのである(笑)。





シャンプーも同じだが。




でも、ななは理系じゃないので「それじゃ落ちないんじゃない?」と、それまでの経験から

汚れではなく、髪の脂が落ちすぎている事がキモチ良い、と、誤認している(笑)。





こうなると話にもならない(笑)。

信仰と同じである。




神様を風刺漫画に書いたから、バカにしたと

怒る、なんてのと同じで(笑)




思い込みの根拠を知らないから

否定されたようなキモチになって

意固地になるだけ、だ(笑)。




根拠を知ればいいのだが。







リサも、面倒なので

それ以上関わるのは止めた(笑)。





そんなふうに、育児は面倒だ(笑)


理屈で説明できない相手の世話をするのだから。





出産は更に面倒で、人間の場合は

頭が発達したせいで、早産になってしまった

関係で

長い育児期間も必要だし、頭がつかえて

なかなか出産できなかったりする。




そんな関係で、母親と言うのは

兎角子供を分身のように支配したがるものだ。



そういう理由で、人口が減るのも道理である。




なな自身も、どうしてそんなに

意固地になるのかわからなかった。


なんとなく、逆らいたくって

叱ってもらいたくて。



そんな、幼い気持ちなんだけど

それを、年下のリサに求めるのは

ちょっと変、だけど

日本には多かった。




それなので、すこーし

加藤に敬遠されたところもある。



仕事がうまくいかないと、臨席の

加藤に八つ当たりしたりして。




実はそれも、加藤なら

甘えさせてくれると言う気持ちもあって。



そんなふうに、甘えを表面に出す


ちょっと幼い、ななだったりしたが



このまま母親になるのは、やっぱり問題だけど(笑)。





子供がそのまま、それを真似てしまうので(笑)。




それで、日本では甘えた人々も多かった。


子供ばかりでもなく、国のお金を

自分のお金のように使ってしまう政治家とか

会社がお金を払ってるから、下請を

いじめたりとか。



みんな、してはいけない事なのに

甘えている。



そういう幼い国だったので、成熟した

文化とは縁遠いところもあったが


それも、ななのせいではない。




それなので、加藤が

社会を変えない限り、婚姻などして

関わりあいになりたくないと思ったのも

道理である。


婚姻関係を軸に、金品を要求するような

親類縁者と言うのは、居るし


まあ、それも実は

渡来人の文化である。






そういうものも、加藤は

破壊してしまった。




地縁血縁に頼らなくとも、みな

裕福になったので

格別、面倒な事をして

お金にあくせくする事もない。





「さ、消灯だよ、もうすく」リサは

さすがに鉄道職員の孫(笑)


時間に厳格だ。


手早く身支度をして、お風呂場から部屋へ。



「怒ったのかな」と、ななは気にするけど




「そういう人じゃないよ、リサは。怒ったら

きちんと言うよ」と、Naomiも

さっさと着替えて。



めぐも「うん。さっぱりしてるし」。




れーみぃも「男の子みたいだもん」(笑)





ななは、日本から来たから

機嫌を損ねられると、イジメられるかとか

そんなふうに、思う(笑)



でも、ここはそういう国じゃないし


修道院だ。




規律はあるけど、神様に守られた場所。





ななだけが、身支度が遅いのは


鏡見たり、髪をとかしたり。




日本にいると、電車の中とかでも

してるけど(笑)。




なんか、子供っぽい(笑)。




「先行くよー」と、めぐも言うけど

消灯になったら真っ暗だもん(笑)。




仕方ない。





待って、って言う間もなく




電気が消える(笑)。




消えてみてわかる、明かりの有り難さ。




真っ暗なお風呂場って、なんとなく怖いし



ひとりで心細い。





待っててもらえないのは、どうして?って

ななは、思ったけど



でも、我が儘ばかり

言ってれば

道理だ。




「だいじょうぶ?」と、明かりを持って

来てくれたのは、シスター・クラーレ。




ななは、有り難さに泣きそうになった(笑)。



「はい、だいじょうぶです」とは言ったものの

真っ暗な中で、下着を着るのが

やっとだった。



「まあ、一晩の体験だから、厳密にしてるけど。

普段は、そうでもないのよ」と、クラーレは


楽しそうに、笑う。




そばにいると、和めてしまうけど



「どうして遅れたの?」と、聞かれたななは


シャンプーが無くて、まごまごしているうちに

時間が経ってしまった、と言うと




クラーレは「そんなものよ、最初は。

シャンプーなんて無くても死なないわ」と

また、豪快に笑った。





「キャンプに来てるって思えば」とも。




慣れればだいじょうぶなのかな、なんて

気がつくと、修道服を来ていない

クラーレは、どこにでもいる

普通のひとに見えて。




その事に、ななは


ちょっと驚いてたけど




「さ、服着ないと風邪ひくよ、寒いんだから」と、クラーレが言うので

身支度をしてると




「だいじょうぶ?」と、めぐたちが

明かりを持って戻ってきた。



燭台だと、それらしいけど


LEDの懐中電灯だった(笑)。




ななも「ありがとう、だいじょうぶ」と、

明かりを取りに行ったので、置いてきぼりに

したんじゃないって事に気づいて。





でも、ひとりくらい残ってくれてたら

心細くなかったのに、なんて

贅沢な事をつい、思ってしまうのは



サービスされるのに慣れてしまっている

日本から来たから、だったりもする(笑)。




「髪濡れたまま、ドライヤー掛けたいな」と

ななは言ったけど、電気も切れてるし


真っ暗だし(笑)。



懐中電灯の明かりで、なんとか自分のお部屋に辿り着けた。




シスター・クラーレも「ドライヤーはないわねぇ。普段も使わないし」と、笑顔で言われると

答えようもない、なな。



リサは「自分の家ならなんとかなるけどね」と


言うので、ななは




「だから、洗わなければいいの、って

言われると思ったけど、そうじゃないのね」と


笑顔を、月明かりで返す。




リサは「ううん、おじいちゃんがね、

機関車乗りなんだけど。


過ぎた事はいいから、前を見ろ、って。


危い事が起こるかもしれない。


後悔するのは、機関車が止まってからだ、って。


そういうの」と。




「実感こもってるね」と、Naomiも感動する。



郵便配達もそうよ、って、付け足し。



「配達間違えたかな、なんて

考えてると、事故起こすかもしれないし」と。

働いてる人々の言葉は、重みがあると

ななも感動した。




日本で、つまらない事で争う人々は

なんか、矮小に思えた。




機関車に乗って、乗客を守ったり

郵便を、きちんと安全に届ける事とか



人々に、表だって感謝される事もないけれど

そういう人々が居て、知らずに世話になっているんだ、って

思うと、我が儘言えないって


そんな風に感じる。



いつも、誰かの世話になってたんだって。




些細な行き違いで、争ったり

しないようにしようと

そんなふうに、ふと、思う



今夜のななだった。




「さ、寝ないと。朝起きられないよ。」と、

リサは鉄道職員の孫(笑)。



家に、誰か鉄道職員が居ると

自然に早寝になったりする。



朝も早いし、夜遅くなる。



そういう家族を気づかう習慣になってしまうけど


それも環境だ。



たまたま、そうなっただけ。



なので、ななが

たまたま、変な環境にいたせいで

贅沢、我が儘が身についたとしても



それも、ななのせいでもない。





でも。「髪が冷えちゃって、風邪引きそう」


なんて、誰かに助けてもらおうと甘えるのは



ななのせいである(笑)。



「タオルで拭いとくしなないわね」と、シスター・クラーレ。




じゃ、ほんとに寝ないと、と

ドアの向こうへ。





静かな夜に、足音だけが消えていく。





「あたしたちも寝ようか」と、Naomi。



そだね、と、れーみぃも。




まだ9時だけど、とは言いながら。




電気を付けて夜起きていると言うのは

エネルギーがない時代にはとても贅沢。



キャンプだったら、灯油のランプとか

見えるエネルギー源だから、減っていく、

もったいない、なんて実感しやすいけれど



電気は、見えないから

使っているのが、実感しにくい。



なので、ドライヤー貸して、なんて

気軽に言うけれど



そのエネルギーも結構なものだ。








そういう暮らしが、これまで。




加藤がエネルギー革命を起こしたので



これからは、電気はほとんど

自給自足できる。




それなので、豊かな

電気の使い方も出来るようになった。




とは言っても、そのエネルギー取引で

収入を得るならば、あまり

使いすぎると、買わないとならないので



エネルギー収支を満たすには、やっぱり

なにか仕事をする事になってしまう。




報酬として、エネルギー換算で

仕事量をKwhで得ると


それが、自分の割り当て口座に

満たされる仕組みだ。




手段は自由なので、工作が得意な人は


自分で風力発電やソーラーパネルを作って



口座の電力を使わない、なんて事も出来た。






それは自由である。




めぐは「ごめんね、置いてきぼりにして。ひとり残ればよかった」と、ななに言う。


でもまあ、いくらかイライラしてたけど(笑)。



わがままな事、と


めぐたちからは見えるけど



日本は、そんな振る舞いをする人が増えている。


「ごめんね、わがまま言って」と、ななも言う。





「さ、本当に寝ないと」と、めぐ。




「そだね」と、れーみぃ。




割と広いお部屋なんだけど、5人だと

ちょっと狭く感じる。



二段のベッドが両はじに。


突き当たりが窓で。



ほんとは6人で使うお部屋らしい。



「なんで5人なんだろ」と、リサ。





「ひとりはユーレイとか」 と、Naomiは

笑いながら。




「やめてよ、そういうの」と、めぐ(笑)。




ななは、遠い日本から来てるけど

なぜか、帰りたい気があまりしなかった。



帰っても、なにかいい事がある訳でもないし。




仕事は辞めてしまったし、何か宛てがある

訳でもなかった。



日本の修道院に行くつもりだったけど

この国の方が、居心地がいいような

気もしていた。





そして、めぐたちと一緒に居ると

なな自身、加藤に好かれなかった理由が

わかるような気がしていた。






わたしって、勝手。





それは、日本にいたら

わからない事だった。




日本の人って、この国の人から

見ると、みんな勝手だもの。





それに、最初は腹を立てていた

少女だった、ななは

いつの間にか、同じように

勝手な大人になっていた。


その事が、腹立たしい


なな自身だった。









神様は、おそらの上で



「ほうほう、ななも

わかってきたのかの」と、にこにこ。





時間を早まわしして、日本の行く末を

観察した。




加藤のエネルギーから、しばらくして

不要になった原子力発電所が、しかし

解体するにしても費用が掛かると言う事で

世界中で邪魔者になっていた。



大量の無駄な熱を排出するので。



それで、世界中で気候の変動が起きていたりした。



何せ、1950年代の古い技術である。



熱効率が20%、つまり80%は

海や空気に捨てているのだから(笑)


しかも24時間営業である。




元々、核反応を起こさなければ

出ない熱である。




止めるのも一苦労である。




反物質を対向させれば、物質は消滅するし

いわゆるヒッグス環境を壊すと、素粒子は

光となって飛散する。



原子力爆弾の爆発の時、光が見えるのは

そのせいだ。




加藤の作った常温超電動合金を見て


核廃棄物質を、消滅できるのではないか?との


問い合わせが多くあったけれど


加藤は、協力をするつもりはなかった。




原子力発電所は、作動中でも


Γ線を出し続けているし



廃棄してからもそう、なので




それらが、周囲に影響を与えている事は事実だった。





それで、発電所周辺に

渡来人達が多く住んだり



発電所で働いていたりして




健康や精神を侵されている、そういう事を

加藤は知っていた。




なので、簡単に核物質が消滅できれば

これからも核物質を使い続ける国が増える。



日本で恵まれない渡来人達が

不幸な生活を続けるのを防げない。



加藤は、そう考えて


研究の協力をしなかったのだった。





神様の薬の事は、加藤の知るところではない。


加藤自身は、競い合う事は

良い事だと思っている。



しかし、日本で渡来人達のするのは

競争ではなく差別だった。



明らかに劣っている者達が、徒党を組んで

優れた者達の利益を搾取していたので


それが、良くないと思っただけだった。




事実、加藤が生きてきて


ここ20年程で日本の社会は

明らかに劣等な者が増えていた。




それは、研究所でも例外ではなく



加藤たち、外部研究者のアイデアを

使って



主任研究員たちが持論として発表するなどと言う事も多かった。



全ては、研究者としての能力が劣化した者が


一流大学に必死で受験し

その後は、科学を感じ取る力の無さを

彼ら自身が実感し



外部研究者を使って科学者のふりをする、そういう

構造が成立していた。




その理由は、研究を認める国家にも

そういう学閥があるから、一流大学を

出たあと

抜け殻になった人達が

燃え尽きたまま、官僚になっているから、だった。




傷をなめあうように共存する

彼らが


例えば、客観性の無さから


古い原子力発電所を

継続使用して


爆発事故を起こしたりしたのも


全て、科学的知見より


経済を優先した結果、言い換えれば

危険認知の低さに起因する者で



何より、管理された環境に育った

甘えた人間の考えだった。



甘えてもなんとかなってきた人々の

考えそうな事である(笑)。




がり勉だけして、家族が

甘えを許してきた人間たちの

経験学習である。




加藤のように、自然環境の中で育って来た世代の

人間なら、自然が猛威を振るう事を

経験的に感じ取る。




コンクリートと言えど、経年で脆くなる。



鉄骨も錆びる。




電源が無ければ冷却の出来ない原子力発電所で


外部からの電源供給が出来ない構造、など

科学以前の知見で理解できる危険、だった。


ベッドに入ってからも、ななは

スマホでなにやら、操作している。


「お友達とメール?」と、めぐは

となりのベッドから。




ななは、ちょっと顔を歪めて「ううん、前の職場の仲間から。愚痴ばっかりだけど、LINEを答えないと文句言われるし」と。




「そんなの止めればいいのに」と、めぐ。




「止めたら、どこかからイジメられるかもしれない、ネットで連絡されて。住んでるところ

知ってるし」と、なな。




それで、修道院に入りたいと言った、と。





「そんなの、違法じゃない」と、めぐ。



「そうだけど、日本は最近そうなの。法律なんて誰も守らないし」と、ななは

その職場の事を話す。



ななはともかく、加藤は

見た目にも立派な科学者なので



職場の課長とかが、劣等感を感じたのか

加藤に、因縁をつけたりしていた。


漢字の書き順が違うとか、日本語の綴りが、とか。



でも、加藤は怒るでもなく超然として微笑んでいて




「書き順も綴りもこれでOKですね」と



国語辞典を示したりしたので





会社の人間が、LINEとかで連絡して


客を装い、嫌がらせ電話を掛けたりとか(笑)



笑ってしまう低俗さ、だったのだが。







「でも、もう終わったんだから、思い出せない方がいいわ」と、リサも言う。




変な人達と付き合うと、変になるわ、と



Naomiも言う。







「もう、家に戻らないのだったら

気にしなくてもいいじゃない」と、リサ。





「そうだけど、従兄弟の子供とか

学校でイジメられるかもしれないし」と、なな。





実際、日本人社会に渡来人が入ってきてから

そういう問題が出ていた。





それも、神様たちの薬で

ゆくゆく無くなっていくだろうけれども。




陣取りと同じで、異国の地、日本を

侵略しようとしているだけだ。



いずれ、加藤のエネルギー革命で

祖国に戻っていくだろう人々である。



日本人社会で仕事が得られないので

その子供の親たちが貧困に喘ぎ

子供が荒むだけ、だったので



祖国で収入が得られるなら

祖国に戻るだろう、そう

日本の国家も考えていた。








ただ、人間に優劣はなくて


過ごした時間の蓄積で、記憶の内容が決まるから



過ごした領域で、得意分野が決まるだけ、だった。




コンピュータと比較すると当然に思えるが


方程式を沢山作ってあれば、数値が計算しやすいコンピュータになるし



物体の形が沢山あれば、それを使って

新しい形が書きやすい。




楽器の音が沢山あれば、音楽は作りやすい。





そんな感じで、人の優劣と言うのは

実は時間の問題で




不得手な事でも、時間を掛ければ

誰でも出来るようになるものである。



コンピュータなら、データ転送で出来るが




人間は、あまりそういう事ができないし




地位にこだわる人々にとっては

自分の地位を下げたくないので

自分の得意な事を人に教えたがらなかったりする(笑)。



それで、劣位にある者が

徒党を組んで、優位な者の利益を搾取する構造を

作りたがるのが、ここしばらくの

日本、だった。





そういう差別主義は、もともと日本の文化には

存在していないので



渡来人たちが持ち込んだもの、だったりする。




理論的に、人間に優劣はない、と知っていれば

加藤のように、別に媚びる事なく

楽しく毎日が暮らせるのだが


変な劣等感を持っている人から見ると


加藤に優劣を付けたがったりする(笑)。





それ自身愚かな事なのだが

(そんな事をしている間に仕事をすべきだ)

優劣が決まらないと苛立つ、と言う変な

人々も多い。




つまり、劣等感が強い病的な人々である。




隣国、韓国でも儒教、と言う信仰を

こういう人々は、搾取の構造に変えてしまったりする(笑)。



もともとは、祖先を敬い、自然を愛すべきと言う教典を



目上の人物に服従せよ、と変えてしまったりするので(笑)。





そこから逃れた人々が、日本に来ると

異端者同士で共謀して、日本から

利益を搾取しようとしたりして。



何の事はない、政治家の殆どがそうだったりする。



訳のわからない事を言って、金品を要求したりするのだから

テロリストと大差ない(笑)。



むしろ、正当化しているだけ悪質だ、と


加藤は思ったりするので




その金品、と言うものを

無価値なものにした(笑)と言う訳だ。





それと、神様の薬が効いて



でも、記憶や環境汚染が変わるまでには

50年くらいは掛かるだろうと

加藤も思っていた。




「ななちゃんみたいになぁ」環境汚染のせいで

自分の思考が、売春婦もどきになっている事に気づかないで、見てくれだけに

こだわっている幼い人々は

修道院にでも入らないとわからないだろうから


それも、いい事だろうと

加藤は思った。



愛すべき人々がいない事が、日本が荒む原因なのだ。





何の事はないけれど、イジメもこれと

同じで


悪意を持つ者同士が、徒党を組んで


善意の者を攻撃すると言うものだ。




なながLINEなどで、皆の意思を気にするのも

そのせいだけれど




そういう感覚を、加藤は嫌いだったし

そんな女の子を好きにはなれなかった。



でも、それは、女の子のせいではない。

その環境汚染が悪いのだから



環境汚染を壊そう。




そう言う加藤の革命は成功した。




富などと言うような蓄財は、エネルギーには出来ないから



日々の暮らしに事欠く事はないけれど


永遠に貧しくなる事はない。



何よりエネルギーは世界中で価値が同一である。



平等にすべての人々に富を与えるのだ。





例えばテロリストが金品を略奪しようとしても

金品の換金が出来ない(笑)。



金品などと言うものは、エネルギーに換算出来ないので



ゴミと一緒だ(笑)。



眺めて楽しむのは自由なので、本来ある

装飾品の価値に立ち返ったと言える。






そうした意味で、安全面から



金銭を放棄して、エネルギー収支に切り替える

人々や国家も増えたから



テロリストもいなくなった。




金儲けができないので、テロも不要になるのだ。





そして、そんな頃



神様の薬が効いてくる。





心の中の神経に、生き物が本来持っている

生命を守護する性質を蘇らせる、オキシトシン活性を増やす、と言うものだった。




例えば、悪意や敵意は

対象がなければ起こらないものだ。


加藤のように、例えば礼儀を知らない人々から攻撃をされた、時でも



そういう人々は、心を病んでいる。

と、医学的に理解していれば

敵意は起こらないのだ(笑)。



病人に哀れみを持って接するだけ、である。




何となく神父のようでもあるが

信仰ではなく、理論である(笑)。






ななに、それが理解できるとも思わないので

修道院で学ぶのもいいか、と(笑)。




人間は、経験的に覚えた事を

遺伝的に遺す。



なので、動物として生きて来た経験が

誰の中にもあるから



社会の仕組みから逸脱して暴れるのは



肉食動物的な記憶である。



人間は、霊長類の末裔だが

先祖は雑食、つまり



草食動物の性質も持っている。




群れ、つまり

社会の仕組みから逸脱するのが快感、なのは

前述、ハヌマンラングールの例から見ても

妥当で




子供たちや、愚かな年取った子供たち(笑)が


徒党を組んで、イジメをしたり差別するのは

自分が死にたくなくて、攻撃だけをしたいと言う

勝手な理屈であるので、故に魅力的なのだろうと

加藤は思う。



肉を食べて美味しい、と思うのも

実は、攻撃の経験から得たものだ。


それを美味しいと思わなければ

攻撃を好む事もない。



化学的には、食べ物に含まれる

蛋白質の変質したもの、が美味だと

人間は感じているだけの事、だが





それは、ひとそれぞれ。




イジメが好きな人、テロリスト、危険ドラッグが好きな人々。




みんな、その快感で生きているのだが

すべて逸脱で



社会の仕組みから外れる事が楽しい、と言う

異常な心理であり


社会の中に、大切な、守るべきものがないから

逸脱できるのである。




もし、テロリスト集団の中に



都市に愛すべき人々がいるなら

その人々を危険に冒してまでテロリスト

にはならないだろうし



危険ドラッグとて同様である。



イジメもそうで、卑怯な行動を

歎き悲しむ人々がいればできないし

なにより、正義感があればできないものである。







と、加藤を経験からそう思う。





加藤自身、サラリーマンだった頃

係長になった。




転覆させた国営企業だったが


官僚に取り入って、課長に天下って来たのが

渡来人2世の男で、松本、と言う男だった。



松本は早速、部下イジメを始めた。




それが指導だと言って。




加藤は、気が進まなかったので



イジメには荷担しなかった。




そうすると、加藤が

イジメられたが



加藤は、例によって

イジメなど無視していれば気にならないと

言うタイプ(笑)。




松本は、怒り狂ったが


加藤には、なぜ怒るのかわからなかった(笑)。




正義感から、イジメは間違いだと

確信していたので、松本の行動を


全て、中央官庁に報告した(笑)。





松本の怒りは、増幅したが

加藤は、何で怒っているのかわからない(笑)。





悪い事をしなければいいのだ。









悪い事をしたいと松本が

思っているのか定かでないが

天下りで暇だし、威張るのが好きな人物である。(笑)






当然、松本は

仕事は全く出来なかった。



加藤は、課長代理職を兼務していたので

実務は全て加藤、松本は威張るだけ(笑)と言う

よくある構図である。




中央官庁は、そんな不正を

認めるはずもない。



松本への監査が進む。



加藤は、その最中で



松本と、取引先の汚職を発見して


見積書の異常な数字を、監督官庁ではなく


会計検査院に通報した。



パソコン1台が300万円とか、労働時間が

一日30時間とか、奇妙な数値。




内部は汚職が進んでいるので、松本が

懲戒にならなかったと判断したのだ。





だが、国家判断になると

加藤のいる会社自体が転覆する事になるが




加藤はそれでもいい、と思った。







そんな記憶が加藤にある。




正義感故の事で




なので、ななのような女の子は

存在が信じられなかった。




加藤の周囲にいる女の子は

むしろ、悪いイジメがあったら



団結して弱い人々を守るのが

女の子、だった。




それが、日本人なら当たり前の感覚で




徒党を組んでイジメに関わる、なんてのは

やっぱり下劣なものなので


そんな女の子を好きにはなれなかった。




神様は、時間を進めて

未来を見たくなった。



そんな事は、神様には簡単だ(笑)。



人間の概念、時間は

光で計測した距離の間を移動する間隔であるから


光より早いもので対象を観測すればいいのだ。



ふつうは逆で、光で観測するので

天文で、よく12光年とか言う。





そういう単位で、未来を神様は見てみる。





近未来、加藤のエネルギー革命で


人々は、都市生活をする必要が無くなったから




皆、郊外へと住まいを移して

のんびりと暮らすようになった。




エネルギー収支は、住民票のあるところで

自動で換算されるから



その日々使えるエネルギーより、少なく使うか

自家発電する。



それを、エネルギーを必要とするところへ送って


得たエネルギー収支で暮らしが出来る。





物質も得る事は出来るが

企業も、あくせく稼ぐ必要がないし


何より、エネルギーが物理単位だから


相場に左右されない。




良いものを作る事で、企業は選択された。




郊外で住む人々にとって、必要な物資は

やはり採集や農耕が主、となって


食べ物を自分で作る事になったりするけれど

家で暮らす事で、他にする事もない。




人間は自然に帰れたのである。



物資を、通販などで買う事は出来るが

エネルギー収支の範囲内だから、そんなに

高価なものは買えない。




それでも、自分に割り当てられた

発電量は、永遠に続くのである。




国家も、もちろん割り当てられた

エネルギーで行政を行っていたりする。





国民皆無職(笑)で良くなったが

農業、工業はそれなりに続く。




貨幣流通が無くなるので、蓄財は出来ないから

大企業は、必然的に社員のエネルギー源で

協同組合、のような存在になった。



皆が経営者である。



上下もないし、左右もない。




















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