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たぶん、ななは
想い出なので美化してしまっていると
自分でも思っている
(笑)。
そういう想い出がひとつあれば
ずっと、それで幸せに生きていけるから
ななは、加藤に出会えた事に感謝した。
「現実に結婚しちゃったら、美しい
想い出じゃなくなってしまうんだけど」(笑)と
自分でも、ななはそう思う。
片想いに終わった恋だから。
ずっと、楽しめる。
そんなふうに思ったななは、その気持ちを
大切にしまっておきたいと思って
お話に書いてしまうか、などと思ったりもした。
時間はいっぱいあるので、でも
文章が上手でないので、どう書いても
気持ちが満たせないような、そんな気も(笑)。
ななが、心の幸せを取り戻したように
お金に縛られない生活は、人々に
平和と愛を思い出させた。
そういう人達が増えたから、楽しい、美しい
お話を書く作家も増えて
文化は成熟した。
お金などなくても、人々は幸せに
なれるのだった。
ななは、ゆったりとした時間の中で
過ぎた恋を思って、ペンを走らせたりした。
気持ちを込めるのに、やっぱり
手書きの文字がいいように思えたから。
気持ちが穏やかになったところで
文芸や、絵画、音楽を楽しむ人々は
増えていた。
神様の薬のおかげもある。
人々は、動物から進化したから
元々は争うのが好きだ。
きっかけがあれば、弱い立場の者を
攻撃したりする。
野犬の一匹が、群れの中で悲鳴を上げると
他から攻撃されてしまう、と言う
面白い習性があるのは
動物行動学者、ローレンツ
が1970年に報告した通りで
犬は、その声が引き金になって
弱い者を淘汰するように記憶されている。
人間でも、そんなところは
低次元に残っていて
威張りたい人は、グループのリーダーに
なりたがって
例えば町内会、みたいなところで
意味なく威張ったりしたし
会社に行けば、派遣をイジメたりした
それは、こんな犬レベルの記憶である(笑)。
ななのいた、コールセンターでも
そうだったけど
でも、加藤は違っていて
不条理な事を、論理的に誤りだ、と
言って
穏やかに否定したから
頭の悪い、犬レベルのイジメ社員は(笑)
論破されてしまう。
別に、加藤が気張っている事もなく
平然と「それは変ですね」と言うので
なおのこと、イジメる側は攻撃した
つもりだったが、加藤は
元々相手にもしていなかったので
穏やかに微笑むだけである。
ななは、そんな加藤が
気になった。
ななたちは、社員たちに虐げられていたから
加藤のように、ひとりで正しい事を
する人が羨ましかったのかもしれない。
それは、貨幣の価値が不安定なせい、
つまり、日本と言う国が
国民の生活より、お金儲けを重視したせいだった。
貨幣を銀行が貸し、企業が事業をして
利子を銀行が受け取る。
日本の国は、その銀行の経営を
保障していたけど
それを止めたので、企業は
簡単に倒産する時代が訪れた
なので、倫理も道理もなく
その時だけ、得する為に生きる(笑)
そういう時代が続いていたのは
貨幣価値を変動させたせいなので(笑)
例えば、日本の首相の孫が
アメリカの証券会社に勤めて
経営破綻(笑)なんて
そんな事も起こる。
政治家でも、それは止められない。
その孫は、地方議員の娘の
女子アナを嫁に貰ったが
しかし、心の平穏は訪れなかった。
正月に、ラブホ街で
自動車運転過失致死事故を起こす。
それで、アナウンサーの仕事も失い
孫は、がんに罹患し
アナウンサーの父親の地方議員は、選挙に
落選した。
そんなふうに、不安定な貨幣は
不幸を呼ぶのである。
加藤は、貨幣を殺した(笑)。
それはいい事だから
アメリカを中心に、貨幣を使わない社会が
普及していった。
それまでの、化石燃料に頼る世界から
自然エネルギー源へと代わり
人工光合成で、有機物も造れるし
二酸化炭素も吸収できる。
生物として過不足ない暮らしが
永遠に続く事が人類に約束されると
食物も無尽蔵に得られる事で
寿命が延びても健康が保たれ
危機が起こらない事で
自らの遺伝子を後世に残す意味での
発情期も特別意識する事も無くなった。
常に発情しているような、それまでの
人間とは大きく変わり
ななたちのような日本人は、本当の
愛を見出だす事になる。
愛は、触れ合うだけでなくても
愛なのである。
日本人は元々、心の愛を大切にしていて
生物的な交配を恥ずかしいと考えていた
種別であり
それに戻っただけである。
そうすると、島国でない国、欧州などは
貨幣がなくなった事で
国境がある必然がなくなった。
と言うか、自由に往来しても何も困らなくなったので(笑)
そうなると、国籍も
単に、租税の根拠になるだけだ。
その税も、今はエネルギーで支払われる。
物理量なので、相場は存在できず
従って、日本の首相の孫のように
相場で儲けようとしてガンに侵される(笑)と言った
不幸も怒らない。
1Wがだいたい4ジュール/秒であるから
だれても同じエネルギー源なら、同じだけの
価値を持つ事ができる。
日本のような島国に、大陸からの移民がいる理由もなくなったので
イジメが好きなような、大陸から迫害された人々は
大陸に戻って行った。
もともと、渡来人が
日本人をイジメるのは
戦争の時に、日本人に化けた渡来人が
祖国民族に復讐するために、日本の天皇を脅して
大陸侵略に見せ掛けて
中国や韓国、朝鮮の民族をイジメた。
迫害した祖国民への移民の復讐である。
それなので、日本に
祖国民を連行して
日本国内で、祖国民をイジメた。
それが真実である。
日本人が大陸の民をイジメた訳ではなく
古来、日本に渡来した
大陸民族が
日本人のふりをして
祖国へ復讐したのである。
そういう、大陸民族的な発想は
常に、徒党を組んで
弱い者をイジメると言うもので
日本に居る、イジメを行う人々は
皆、大陸民族である。
それは、大陸に住み
国境が定かでない不安定な環境からの
記憶フィードバック。
元々島国で、侵略の記憶がない
日本人にはない感覚なのだ。
加藤の、貨幣流通経済破壊も
実は、日本人的な発想で
だから、平等に誰にも与えると言う発想。
自分たちだけ得をすればいい、などと言う
貧乏臭い発想はない(笑)。
そういう、大陸民族的
差別の発想は
科学にはないのだ。
貨幣を使う事が禁止された訳でも
無かったけど
クレジットカードみたいに取引が出来て
取引が安全だとなると
使わない人は、たぶん
身元を隠匿したい人とか、だったから
貨幣の流通が減る。
そういう事で、市場に貨幣が流通しなくなると
貨幣としての価値がなくなる。
お金儲けして溜め込む事もできなければ
資本家が自己主張する事もない。
そもそも、資本主義が成立しない(笑)。
たとえば、ななたちが
誰かに贈り物をしたい、と思っても
お店で買う、にしても
貴重な自分の生涯収入から支払うので
慎重になるし
どちらかと言うと、自分で作ったアクセサリーとか
手作りのマフラーとか、そういう
素朴で心を込める贈り物が多くなったり。
物を作る事の大変さを、皆が体験すると
物の有り難みが解るので
たとえば自作の服を着ていると、振る舞いが
丁寧になるから
上品になる。
産業革命以前のような動作が、ふつうになって
来ると
何故か、乱暴で粗雑な言葉も出ない。
面白いもので、動作と表現は
親近感があるのだ。
ななたち日本から、大陸の人達が
居なくなってから
日本は、時代を逆行したように
のんびりとした時間を楽しむような
社会になっていった。
人工光合成が出来、二酸化炭素の吸収が
可能になると
危険な原子力を使う理由が無くなって
大規模発電所も、永久エネルギーを
使うようになった。
そんな事になっているとは
並列時空間に行ってしまった
この革命の張本人(笑)加藤。
10年遅れた時間に戻って
忘れものを取り戻すように
幸せな生活を続けていた。
その世界でも、彼は研究者ではあったけれど
魔法に関わる事も無かったから
(魔法使いは自由なので、並列時空間にも
行き来は出来たが
さりとてルーフィが、加藤のところへ行く
理由もなかった)
ごく普通に貨幣もあるし、損得もある。
そういう生活は、どちらかと言うと
ななたちの居る世界よりは、不幸なのだろうか?
加藤は、時々派遣で
研究所の仕事をすると
そこの研究部の事務員のおばさんとかが
高飛車だったりする事を散見しても
「哀れな」と、思ってしまう。
立場にしがみついて、派遣を見下す欲望があると
言う事は
そういう違法な事でしか自己を主張できないから、だ(笑)。
主張したがると言う事は、実績がないからである(笑)
仕事ができれば、黙っていても人から
称賛されるから
主張なんて面倒でしたくなくなる。
損得がなくても、不幸は起こるのかな?(笑)
幸せって、でも
いろいろだし。
不幸じゃなければ、まあ幸せなんだけど(笑)
いろんな宗教の教典でも、幸せって
定義が曖昧。
不幸は、具体的に
痛みがあったりするから解るけど、と
誰でも思う。
でも、加藤の発明の世の中の
差別が少なくなった事は
いい事だった。
資本主義だと、資本家が
資本回収のために
違法な人権侵害をしたり、とか
そういう事があるし
お金儲けに腐心して
精神を侵されたり。
そういう不幸もなくなる。
人の作りだした貨幣と言う道具が
人を不幸にする。
それは、変な事だと
誰しも思う。
それなので、この
エネルギー革命(笑)は
わりと、浸透した。
遠い、ヨーロッパの端っこの
めぐの国にも
それは訪れた。
でも、もともと共和国だし
高校生のめぐには
あんまり関係ないかも(笑)
「それ、なに?」みたいな感じ(笑)。
もちろん、天使クリスタさんや
にゃごは
そのIDカードは貰えないけど
でも、お金がいらないのは
天使さんは食べなくてもいいので(笑)。
それはあっても、なくてもいいものだったり。
天使クリスタさんは。めぐに
なぜか良く似ているので
図書館のバイトの代役(笑)で
めぐの代わりに出勤したりしていたけど
エネルギー革命のあとは
ID番号がないと、天使さんだと
わかってしまうので(笑)
お小遣いは、貨幣で
貰うようにしていたり。
図書館は、もちろん市の組織だから
アルバイトで貰った報酬のいくらかを
最初から
税金、として
差し引く仕掛けになっていたりする。
所得税、と言う仕掛けである(笑)。
戸籍がない事がわかると
都合悪いので(笑)
「神様、なんとかしてください」(笑)
「じゃから、天国に戻ってこい」
「それはできません」
「あの猫のためにか」
「それもありますが、めぐちゃんを護るのは
わたしの仕事です」
「うーむ」
神様も「苦しい時ばかり神頼みをしおって。」(笑)と、ばかりに
クリスタさんの戸籍を作った(笑)
ついでに、にゃごのも作ろうかと思ったが(笑)
さすがにそれは控えた。
神様はなんでもできるのだ。
クリスタさんは、めぐが
旅している間、図書館のアルバイトを
代わってくれていたので
めぐは、失業(笑)しないで済んだ。
でもまあ、共和国のここにも
アジアの端っこのエネルギー流通がやってきて。
「バイトしなくても、いい?って言われてもねー」
めぐは、やっぱり本が好きだから
図書館に行きたいし
働きたい。
その報酬が、何かの形で
支払われた方がいい、とは感じる(笑)。
実際、役に立った仕事量はKcalで換算出来るので(笑)
4.2J=1W、と言う具合に換算できる。
1W=J/sであるから、時間単位に従って
めぐのIDに、働いたぶん、エネルギーが加算される。
それが、貨幣の代わりになるので
工業製品だったら、必要なエネルギー量や
サービスに使われる仕事量で
価値が決定する。
別に、それを意識しなくても
IDカードでショッピングが出来るけれど
価値が科学的に厳密なだけ、経済は安定する。
ヨーロッパの端っこまで、それが訪れて来た。
けれども、めぐたちの生活はあまり変わりない。
貨幣を持ち歩く必要がないだけだったりする。
家督に縛られる事が無くなっても、
めぐにとって、おばあちゃんは大切な
家族だし
それは、心の問題だった。
クリスタさんとにゃご、の
関係に少し似て
家族だから、と束縛する要素は
何も無くなったけれど
気持ちだけで成立する。