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同じ頃、めぐは

修道院から借りてきたテナーサックスを

吹いて見ようと思って。



自分の部屋で吹くと、反響して

すごく大きな音になるので(笑)



驚いて。



ベランダに出て、吹いて見ても



あんまり綺麗な音にならない。




それはそうで、リードを

同じ音程で吹く事が出来ないと



音楽にならない。



「魔法で吹いてしまおうか」と


思ったりしてみて。





そうすると、ウインド・シンセ吹いてるみたいに


機械っぽい音楽になってしまって

面白くなかったり。





下手でも、自分の音の方が楽しいのだ。






「魔法も万能じゃないんだなーー」と



めぐは、楽器を下ろして空を見上げた。






魔法をなくしてしまったルーフィさんも


なにか、思うところがあったのかしら?








遠い、イギリスの並列世界で

魔法使いじゃなくなったルーフィは

のんびり。




「でも、居候って訳にもいかないから」





「当たり前よ。」




魔法使いだったら、お腹も減らないのだけど(笑)




ご飯も食べるし、ビールも上手い(笑)



と、なれば労働である。





とりあえず、配達の仕事を

飛行機でやろう、なんて

アイデアで。




簡単な飛行機を作った。



パイプフレームに、合繊を貼って翼にして。



オートバイのエンジンを付けた。





「飛ぶの?それ?」Megは、笑っている。





「飛ぶさ」ルーフィは

楽しそうだ。



魔法でなんでも出来た頃には、感じた事のない作り上げる喜びを感じている。



それ以上に、ひとの生きる環境も変わった。



コンピュータネットワークが入って来たのも

1990年代であり



人々は、いつでも好きな情報を得る事に

慣れる。



脳と言う生体演算機は、その環境に慣れるから


好きな状態でないと、苛立つ事が多い。




禁断症状のようなものである。





そういう脳になってしまうと、ほとんどの場合

快い状態にはなりえないから




つまりは、ひとから見て愛おしい状態には

なりにくい。




そういう意味で、愛される人々がいなければ


愛する事もできにくい。




きわめて単純な状態である。






常に、コンピュータネットワーク経由で

好きな情報を得ていないとならない人々は



例えば、オートバイが好きで

オートバイ会社に勤める事はあまりないし




オートバイ会社に居ても、コンピュータネットワーク参照の片手間に



オートバイを作ろうとしたりする。




思想もコンピュータに影響されるから


感受性より数値、機能を重視して

オートバイを選択したり、設計したりする。





それはオートバイに限らない。




自動車でも、食品でも、エンターテイメントでも、果ては恋愛でも婚姻でも。




実際に、1990年代には


高収入、高学歴、高身長と言う


男性を選ぶ基準が機能や数値で見事に選択する

風潮が存在するが(笑)




つまり、感性は否定されているのである。



それは愛ではない。




なので、心のこもったオートバイに乗る事が

それ以前の、人間らしい時代に触れる事で

あったりもするから



古いオートバイ、RZ250は

今でも、世界中で愛されている。









れーみぃが、なんとなく

親しめそうだと思ったRZ250は



高性能でありながら、巧みな設計で

乗りやすいオートバイになっているので


それ故誰からも愛された。



サスペンションの設計ひとつ見ても、安心して

加速ができる設計になっているからこその

高性能を、誰でもが引き出せる

親しめるオートバイ。



それが、乗り手への愛を込めた

作り手の設計である事は

言うまでもない。



RZとRZVは、使われる速度設定が違うだけ

なので


高速で走れば面白いのはRZV。


でも、普通に道路ならRZ。



そういう事なのだけれど

平らに舗装された道が増えた

1978年だからRZも作れた、そんな言い方も

できる。



1970年代には、山奥に行けば

舗装されていない道も多かったから。




それはつまり、国家行政の恩恵に預かっていると言う事だし



オートバイですら、環境適応している事になる。






れーみぃは、パトロールの警官になるために

オートバイの免許を取ったのだけれども




それも、どちらかと言えば

若さ故の行動力が余って、の事のようだった。




でも、それをオートバイで発散できれば


それは健康的だ。





先行するNaomiのRZV、4本のマフラーから

吐き出される青い煙は



意外に静かにたなびいている。



それを見ながら、でも250ccだから

回転を結構上げている、後追いのRZ。




しっかりと腰の落ち着いた加速で

前輪は真っすぐに進んでいる。



いかにも軽量なオートバイらしい加速だけれども




安定性の高い、素晴らしいものだ。




カーブが近づく。


アクセルを緩めて、バイクを傾けるだけで

RZ250は、素直に曲がる。



アクセルを開けば、曲がりながら

後輪だけで走っているような感覚で

いくらでも加速できそうな安心感。



れーみぃは、すっかりRZ250が気に入った。



もっと速くはしれそうな気がする、そういう

オートバイだ。




オートバイの運転だけに集中していると

受験の事や、進路の事など考えなくていいから

気分転換にいいな、そんな風に



カーブを曲がりながら、思う。


広い道に出て、小さな丘に向かって走る。

楽しく走っていると、若い男の子たちは

最新のオートバイで飛ばして行き


「すごいスピード」


鋭くえッヂの効いたデザインなんだけど



れーみぃから見ると、悪魔の顔みたいに見えて。




「ああいうのは、強がりね」と、Naomiも思う。




若い男の子は、エネルギーが余ってるから

運動したがるのだけれど



違うオートバイで競争しても、ただの遊び。

乗ってるバイクの性能が違う事が解るだけだ。




追い越して行くバイクの中には、YZFーR6もあった。



以前、Naomiのおじいちゃんも持っていたけれど


4ストロークのエンジンが好きになれず、

手放してしまった。




14000rpm、と言う高い回転になると

弾みでエンジンが余計に回ってしまうので



道路で乗っていると、停まらない時があって

危ない、と


おじいちゃんは言っていた。


(筆者も持ってましたが、同感です(笑)





速く、簡単に乗れるけれども

載せられている感じで



高いところにシートがあるから

遠隔操作しているようか感じで

走っている実感に乏しく、楽しくなくて


やっぱり、古いけど2ストロークのRZがいいと

言っていたおじいちゃんを、Naomiは

思い出す。





「若い男の子みたいに、競争するなら

早い方がいいんだろうけど」と、Naomiは独り言をいいながら



RZVをカーブさせた。



ブレーキを踏んでも、姿勢はあまり変わらないから


レーサーのように、カーブの内側に

腰をずらして走った方が楽だ。


加速すると、ちょうど

自分の体重が、バイクの後輪に掛かるように

斜め前に乗り出す。



そうすると、丁度良く走れる。



後輪の接地点を捩るように遠心力が掛かるので

加速すると、後輪がカーブを描いてくれる。





エンジンの下に水平に置かれている、RZVのサスペンションユニットは

この時、重心の遥か下にあるから

加速しようとするとき、重心を回転させようとする。




RZ250と逆で、オートバイの前輪を

地面に向ける力になるから


アクセルを開けた瞬間に、前輪にかかる力が増えてしまうので


頑固で重いハンドル感覚になる。






そんな事を考えなくても、バイクは走る(笑)。




ただ、加速するとカーブを直線的に

立ち上がろうとする傾向が強いだけだ。



対するRZ250は優雅ですらある。



適当なエンジンパワーなので、動きも穏やか。

楽しめる範囲で、道路を走れる。



カーブを過ぎて、アクセルを開くと

直線的にアウトカーブへ向かう傾向のある

RZVは、だからアンダーステアと言われて

乗れるライダーは限られた。



200km/hを超えて、コーナーを走れる

オートバイを作る事は、1984年当時は

その程度のものが普通だったから



RZVの原形であるレーサー、YZR500でも

同じ傾向であり、チャンピオンライダー

ケニー・ロバーツ(お父さん)でも

後輪を滑らせて向きを変えていたぐらいで


だから、同じ技術がなければ


RZV500Rをまともに走らせる事は

難しかった。



コーナーの外側に出ていこうとする前輪に

力を加える為に、後輪を逃がす。


TR1なら簡単な事だけれども、RZVで難しいのは一重にバイクの特性、と言うか

フレームが頑丈すぎて曲がらないため、である(笑)。




2010年代のレーサーなら、横方向への

フレーム強度は、適当に捩れるように作られて


自然にしなって曲がれるように出来ているので

250psのレーサーでも、軽快にカーブ出来るのである。



なので、Naomiの目前をYZFーR6が

すごいスピードで走っていても

それは、Naomiの技術が低い訳でもない。




オートバイが進化して、高速で走るように

作られているだけだ。



YZFーR6は、260km/hを可能にするバイクだが



その速度で走っている実感がない(笑筆者実感)




タイヤとフレームの進化で、それを可能にしたのだが



乗っていてあまり面白みのないオートバイである。





安全に高速をだせるレーシングマシンは、そういうものだろう。



競争に勝つためのバイクと、楽しむバイクは

違うのだ。



道路でオートバイの競争をするのは

愚かな事だけれども


Naomiも、若い。


追い越されて次のコーナーに消えてゆく

YZFーR6を追い越したく思った(笑)。


パワーは互角、技術はおそらくNaomiの方が上だろう。


Naomiは「ついてこないでね」と、れーみぃに

手で合図してRZVのギアを2速まで落とし


直線になってから重いスロットルを

全開にした。



ちょっとした段差でも、前輪は空を泳ぎたがるが



ほんの一瞬で、3速で回転は8000。

そのあたりで4速。


速度、180。



カーブに備えて軽くブレーキをかけ

スロットルを開けて回転を合わし、シフトダウン。



ショットガンが発射されるような、2サイクルエンジンの音を響かせて


ギアは2速に落とされる。




コーナーを回っているR6のテールが見える。




減速でフロントフォークを縮ませて

RZV500Rは、前のめりになる。


バイクの右手に身体をずらしながら、

斜め前に。


前ブレーキを離しながら、ゆっくりと

アクセルを開き、身体を左に捩りながらバイクを

左に傾ける。



後ブレーキを離しながらアクセルを大きく開くと


後輪は、外に流れる。

流れ具合をお尻で感じながら(笑)

身体の位置を調整しつつ、一定の横力を

アクセルで与えながらカーブする。


前のタイヤが外に流れようとする傾向は

相変わらずだが


それを、後輪のスライドで相殺する。




1984年のWGPで見られたような、YZR500や

TZ500のスライド走行。



それは、実のところアンダーステアの

対策であったから


スムーズな2輪ドリフトに見えるが



こんな理由である(筆者のRZVも、こんな感じだけれども

ラジアルタイヤを履かせてからは、グリップ走行で十分速く走れるようになった。)



単純に、前輪のグリップが不足していたのだろう。





カーブを、流れるように膨らみながら

抜けてゆくRZV。




タイヤが滑っているので、回転が

ゆったり上がるような、不思議な音を立てるエンジン。


乗っていると、スキーで滑っているような

奇妙な感覚だ。



斜めに傾いたまま滑るのは、独特の感じだ。




車体を起こして、直線的にカーブを

立ち上がると



勢いがついて、R6を抜き去った。




抜き去られたYZFーR6のライダーを

RZV500Rの2ストロークエンジンは

排気煙で包む。



とてもいい香りのオイル。



スモークのスクリーンに、オイルミストが付着するのは


でも、なんとなく。



4ストロークエンジンは、2ストロークの

半分の爆発回数しかないから


同じパワーを出す為に、回転はほとんど2倍

必要だ。



しかし、その為にエンジンは摩擦抵抗に

堪えなくてはならないし

エンジンを通る空気は2倍の速度が必要である。




そんな事は不可能なので、100cc多いと言っても


同じパワーを得る時、高い回転と

摩擦、流体の抵抗に堪えながら

ライダーはエンジンを扱う。



10000rpmを超えて、パワーを搾り出す

4シリンダエンジンは、叫ぶような激しい音と

振動を発する。



それに堪えて回転をキープするだけでも疲れる(笑筆者実感)。



おまけに、回転を上げてしまうと勢いがついてしまって

減速するのに時間が掛かる。



つまり、道路のように

アクシデントが起こりやすいところでは

それが命取りになったりする。



MotoGPマシンでもそれは同様で

コーナーを滑らかには回るが、2サイクルのWGPマシンのように

急激なコーナーリングは見られない。



それは、エンジンの特性によるものである。






この時のYZFーR6ライダーも、RZVに追走しようと

アクセルを大きく開けて加速を試みたが


10000rpmを超えた回転の勢いは、一定で回りたがる傾向で



RZVの弾けるような回転の上昇には

ついで行けない。



加速を始めたと思うと、コーナー。

減速を試みると、勢いのついたエンジンは

遅れて減速を始める、と


狭い道路で乗るには、全く疲れる(笑実感である。)




オーバースピードでカーブに進入しても

さほど困る事はない。



フレームが柔らかくしなるので、上手く

コーナーをいなしてくれるが



一度タイヤがスライドを始めると

制御は難しい。



捩れたフレームの動きを予測するのが。

(笑実感である。それなので峠での事故が多い。)




言ってみれば、フレームの能力を

超えてはいけない乗り物なのである。






この時のYZFーR6ライダーも、それで

追走を諦め、減速した。



ところに、れーみぃの乗る

RZ250が追い越して行く(笑)。




4ストロークエンジンは、スプリントに

向かない代物なのは


グランプリレーシングの歴史が証明した

通りである。


丘を登りきったところで

道は右にカーブしていて


左手に展望台がある、パーキングは細かい砂利が敷いてある。



スローダウンしたNaomiは、ついてきたRZ250のれーみぃを見つけて



左にウィンカーを出して、パーキングに誘った。





「バイクって面白いでしょ」と、Naomiが言うと



れーみぃは「うん!」と、ひとことだけ言い


RZ250のエンジンを止めた。




RZVのエンジンも止めると、静かな山に


遠く、YZFーR6のエンジン音が聞こえた。




近づくそのサウンドは、のんびりとしている。




「こっち来るね」



「怒ってるかなぁ」





そう、口々に言っていると




赤白の華やかなR6は、静かに減速して

パーキングの、少し離れたあたりに

バイクを止めた。




レザーのレーシングスーツと、ブーツと

ヘルメット。



良く見ると、割とレーサーっぽい服装。




ヘルメットを取った青年は、ブロンドの

爽やかな表情だった。




「速いね」それだけを言って

にこにこと微笑んだ。




バイクを下りて、こっちへ来る。





「僕はレイモン、駆け出しのレーサーさ」と言って、にこにこ。




Naomiは笑って「レーサーって、道路で飛ばさないんでしょ?」





「そう。怖くてね。道路は滑るし、対向車はあるし。一度、サーキットにおいでよ。」と、レイモンは近くにあるサーキットの名前を告げた。




「そこに、僕のレーシングチームがいつもいるから。」と言ってレイモンは、笑っていたら





小鳥の囀りに混じって、重々しい4ストロークのバイクの音が聞こえる。




ギアの音を含んだ、重量感のある音。




その、重々しい排気音の主は

青い回転灯を光らせながら

現れた。


Kawasaki Police1000。


「すごいスピードだったねぇ」

短髪で日焼けした青年は、白バイから下りた。

「ハイウェイパトロール!」れーみぃは

笑顔になった。





短髪の警官は笑い「おや、お嬢さん?こないだ詰所に来てなかった?」



れーみぃはどっきり「は、はいっ!あたし、ハイウェイパトロールになりたいんです!」



警官は、レイモンより少し年上だろうか。

「やめた方がいいよー、危ないし。白バイは」と、白い歯を見せた。


爽やかな彼は、オートバイ乗りらしい

スポーティーな感じだ。



「あ、それはそうと。結構飛ばしてたお嬢さん?すごかったねぇ。白バイで追いつかなかったもの。でも、危ないよー。飛ばすならサーキットでね」(筆者が言われた言葉です。茨城県警に、常磐道で(笑)。




白バイのスピードメーターは、振り切って停止していた(笑)。




それでも、追尾できなかったから

証拠不十分で、無罪(笑、これも筆者の経験です。パトカーのセンターコンソールにあるメーターは振り切って停止していました。)





爽やかな警官は、白バイに跨がると

綺麗にUターンして峠を下って行った。




重々しい排気音は、やがてカーブの向こうに消えて。



「かーっこいい!」と、れーみぃは

憧れを瞳に映す。



「そだね」Naomiも、笑顔。



「飛ばすならサーキットにね」レイモンは


にこにこ。



「考えとく」Naomiはちょっと、謎めいて

微笑む。



そういう顔をすると、スーパーモデルっぽい

スタイルによく似合うけど


笑顔になると、18才なりの雰囲気で

アンバランスなところが、なんとなく

今のNaomiらしい。



レイモンは、長い脚をひらり、と

R6の後ろから回して

シートに乗った。


車体が高いR6でも、余るくらいの脚の長さで


「あれじゃないと乗れないのね」と、れーみぃは笑った。


小柄なれーみぃじゃあ、とっても足が届かないほど



R6のシートは高いのだけれども(815mmだ。筆者でも両方の踵は着かないけれど、1970年代の750ccはみんな、そんなものだった)。


ライダーが高いところに乗っていると、

バイクを傾けるのは楽だ。



でも、その分乗っている実感は少なくなるし

タイアが滑った時に立て直しにくい。



そんなところもレース用のR6で、ひたすら

早く走るだけのために作られたバイク、で


RZのような、楽しむバイクとはちょっと違う。






レイモンは、ひゅう、と

エンジンを掛けて

峠の向こうへ下って行った。





「ちょっと、かっこよかったね」れーみぃが言うと



Naomiは「うん。じゃ、あれは

れーみぃにあげよう」と、笑顔になって。




「要らないよぉ」と、れーみぃも笑って




RZ250の軽いキックを踏んで、エンジンを掛けた。







もう、夕日が傾く。





軽いRZ250のエンジン音と、

なぜか少し重いRZV500Rのエンジン音が並んで。



れーみぃは「なんで、この2台は日本から輸入したの?」と、細かい事に気づく。





注意書きのステッカーが日本語なのだ。






「ああ、RZVはね、ヨーロッパ仕様はフレームがスチールなの。それで。RZ250はよくわかんないけど」と、Naomiは笑った。




どっちもヨーロッパ仕様ならRD、と言う名前で

少し、サスペンションも硬く出来ていて

Naomiたちのような女の子が乗るなら、日本仕様の柔らかいサスペンションの方が面白いと

おじいちゃんは思ったのかもしれない。






「さ、下ろうか。れーみぃはそのバイク、乗ってっていいわよ。」と、Naomi。




「ほーんとぉ?ありがと」と、れーみぃはまんまるの笑顔で喜んだ。





坂道を、ゆっくりと下っていった

Naomiとれーみぃ。



のんびりと走っていると、2ストロークは

時々点火せずに4ストロークや6ストロークになるので(笑)



のどかで、それはそれでまた楽しい。



ぽんぽんぽん、と

のどかな

排気音を聞きながら坂道を下っていると


聞き覚えのある排気音、4ストロークの

軽い排気音が


峠の向こうから戻って来た。



YZFーR6、レイモンだ。



「なんで?」と、れーみぃが思っている合間もなく


R6のレイモンは、ふざけて「いーひぃ」と



れーみぃのお尻を撫でる振りをして、追い越して行った。



「おのれ!変態フランス人!」と、Naomiは

また、シフトダウンしてR6を追い掛けて行って(笑)




今度は、下り坂なので

R6も速い。



元々、RZVは下り坂が苦手なのだ。




れーみぃは、あっけ(笑)「あの二人、相性良さそう」 なんて言いながら

のんびりとRZ250のアクセルを開けたり、

戻したり。



その度にエンジンが、のどかに

ぽんぽん、ぱらん、ぱらん、と



言葉のように排気音を奏でるのが

楽しくて。




そうやって、れーみぃは



エンジンの音を楽しんだ。






修 道院で別れた、めぐとリサは

明日、学校でね、と

家路に就いた。



高校生じゃない、ななは

とりあえずする事もないし、お金もない(笑)

けれど、思い出す。「IDカードでお金の代わりに」




魔法のエネルギー源(笑)のおかげで


日本や、遠いアメリカとかでは

国民の誰でもが、枯れる事のないエネルギー源を持つ事が出来たので


例えばそれを取引する事で、お金の代わりに

する事が出来た事を



つい昨日、買い出しで知った。



「これで、飛行機に乗れるかな?」



とりあえず当てもなく修道院から歩いて

丘を下って行くと、路面電車の

見覚えのある通りへ出たので

街角を見渡して、飛行機の切符を売ってそうな

場所を探す。





あっちかな?




当てもなくぶらぶら歩いて、辿り着いた場所は


路面電車の切符を売っている、市営の観光案内所のようなところだった。




そこで、ななは聞いてみて驚く。





「日本行きの飛行機はどこから出ています?」




切符売りのお姉さんは、優しげに

穴の開いた透明な樹脂の窓の向こうで



「日本行きは、この街からは出てないし

日本に行く人もあまり居ないから、

イギリスに行った方が早いわね」






「えーーーーー!??」と、日本語で言ってしまったら




お姉さんは、変な言葉に笑い



「日本や、アメリカは経済が停滞してるらしいわね。ニュース見なかった?変なエネルギーが出来たせいで国も仕事をしなくなったから

飛行機も滅多に飛ばなくなったの。」




ななは、ちょっと困ってしまった。


神様に連れてきてもらったこの国。

でも、この国に来た理由は元々


恋しい人に相応しい人間になるためだったのに

その人は、運命のいたすらで

並列時空間の、10年前に飛んでしまって


10年前に、別の女の子に心を奪われてしあっていたなんて(笑)





「なんのためにここに来たんだろ(笑)」


もう笑うしかない。


それに、日本に帰ろうにも

お金はないし、その日本は

経済停滞で飛行機も飛んでない。





「それは、ひょっとする加藤さんの発明のせい?」




とは思ったけれど、当人は10年前に逃避してしまって(笑)。




いま、こっちの世界にいる10年後の加藤に

「言ってもしかたないか。」




ななは、途方に暮れるしかなかった。




「とりあえず、修道院に戻って

しばらく厄介になろうかな」気楽な、ななである(笑)。






もときた道を、とぼとぼと

歩き始めた。




石畳を登って。



こんな時は空を飛ぼう、なんて気力も起きない(笑)。







日本で起こっていた事は、だいたい

日本の神様の予測通りで


枯れない自然エネルギーを手に入れたら

むやみに働きたいと思う人は少ない。




なので、外国の投資家は

日本の企業に投資しようと思わなくなったから日本の株式市場は冷え込んだ。

でも、日本の企業も

そんなに困らなくなった。


なにしろ、企業活動などしなくても


誰もが、枯れないエネルギーを持っているのだ。



会社を辞めて、好きな事をする人が増えたから



趣味の物を売る会社などは忙しくなったけど

なにしろ、働く人がいない(笑)。



勢い、企業は減って行き


個人で楽しみに商いをする人ばかりになった。



資本主義も衰退していく。



通貨などなくても、生きていけるのだ。




そういう理由で、日本の政府ですら

国の統治に興味を持たなくなった。


なにしろ、税収入がなくなるのだし

政府の人たちも枯れないエネルギーを

手に入れ始めたのだ(笑)。




無理に、政治のふりをして

お金儲けをしなくても良くなった(笑)。





下り坂をオートバイで飛ばすのは、登りより

難しい。


加速を続けないと、上手く曲がれないからで

下り坂で加速しながら曲がるのは

前のめりになってしまう姿勢からも、難しい事が解る。



RZ250くらいだと、もともと前輪が大きいので

それほど苦労なく曲がって行けるけれど。




楽しむバイクと、速く走るためのバイクは

違う、と言う事なのかもしれないけれど







のどかな北欧の山奥にも、極東の島国の

発明が遠く及んで来るのは、もう少し先

になるだろうけれど




とりあえず、今は平和だ。






オートバイもガソリンで動く。


そのガソリンは、地下資源を掘って

運んで、精製して。


経済原則で動いているから、その経済が

地球のどこかで変わってしまうと



やはり、どこかしら歪みが起こる。





坂道を、ゆっくりと下っていった

Naomiとれーみぃ。



のんびりと走っていると、2ストロークは

時々点火せずに4ストロークや6ストロークになるので(笑)



のどかで、それはそれでまた楽しい。



ぽんぽんぽん、と

のどかな

排気音を聞きながら坂道を下っていると


聞き覚えのある排気音、4ストロークの

軽い排気音が


峠の向こうから戻って来た。



YZFーR6、レイモンだ。



「なんで?」と、れーみぃが思っている合間もなく


R6のレイモンは、ふざけて「いーひぃ」と



れーみぃのお尻を撫でる振りをして、追い越して行った。



「おのれ!変態フランス人!」と、Naomiは

また、シフトダウンしてR6を追い掛けて行って(笑)




今度は、下り坂なので

R6も速い。



元々、RZVは下り坂が苦手なのだ。




れーみぃは、あっけ(笑)「あの二人、相性良さそう」 なんて言いながら

のんびりとRZ250のアクセルを開けたり、

戻したり。



その度にエンジンが、のどかに

ぽんぽん、ぱらん、ぱらん、と



言葉のように排気音を奏でるのが

楽しくて。




そうやって、れーみぃは



エンジンの音を楽しんだ。





Naomiは、レイモンを追い掛けた訳が

自分でも分からなかった。


れーみぃへの痴漢(笑)か


さっき、自分を誘っておいて

ほかの女の子へ手を出したから(笑)か。



理屈は、ともかく追い掛けたかったのだろう(笑)



オートバイで競争するのは楽しい。



スポーツだから。






でも、ここは道路だから。





さっき、峠で出会ったKawasaki Police1000の白バイが



木陰のカフェで、シトラスのスパークリングを

飲んでいた。




そこに、スピードを上げたR6と

それを追ったRZV。




フランクは、それに気づくと白バイに跨がってマイクを握り「飛ばすなー、捕まるぞ(笑)」



その声に気づいて、Naomiは急ブレーキ。



こうすると、捕まらない事も多い。


(笑筆者経験。無事故無違反17年です)






でも、レイモンは10000rpmを超えていた

R6のエンジンが煩くて、気づかなかった(笑

筆者経験。本当にうるさいです。壊れそうな音を立てるので)




そのまま、下り坂を行った。







スローダウンしたRZVのNaomiの後に、スパークリングを飲み終えたフランクが続き



一応、青いランプを光らせて。





その後に、ゆっくり下っていったれーみぃのRZ250が続く。




「あー、お嬢さん?この先にね取り締まりがあるから。スピードガンの」と、フランクはマイクで言う。



路肩にRZVを止めたNaomiは、ありがとう、と

言った。




れーみぃはついてきて、路肩に停めて「でも、罰金で儲からないよ?」と言うと

フランクは笑って「俺の給料は変わらないもの」




と言うと、Naomiもおかしくて笑った。




青い空に、そろそろ夕暮れ色が写る日曜日。



レイモンは捕まったのかな(笑)





れーみぃは、RZ250に乗ったまま

家に帰った。



大きな庭に、ぽろんぽろん、と

軽快な排気音を立てて。




「ただいまあ」と、のんびりと

声を出すと、白いお家の

重厚なマホガニィのドアが開いて



ママが出て来て「そのオートバイ、どうしたの?」




れーみぃはにこにこと「借りたの。お友達に」



ママものんびりと「そぉ、でもオートバイは

危ないわ」





「乗って見たかっただけよ。アタシね、

ハイウェイパトロールになりたいの」





ママは、少し真面目な顔になって「お巡りさんなら、大学を出てからでも.....」



そう言って、気が変わるのを待つつもりなのだろう、と

れーみぃは思う。




でも、逆らう事もないから「そういう考えもあるわね」と

願書を出した事は、黙って(笑)






お庭、ではなくて


屋根のあるガレージへ

エンジンの音。



12シリンダの重厚なサウンドだ。






「ただいま」



れーみぃのパパは、貿易をしているので

オートバイにも詳しい。




「おお、ヤマハか。いいオートバイだな」と、にこにこ。




「借りて来たの」と、れーみぃはにこにこ。




そうか、とパパはにこにこし




「保険には入っているけれど、ほしかったら

自分のバイクを買った方がいいな」と、パパ。




「ずいぶん気前がいいのね」と、れーみぃは笑う。





パパは、ちょっと謎めいた微笑みで「日本のオートバイは値上がりするぞ」と。





日本の経済が停滞していくのが、貿易をしているれーみぃのパパにはわかる。



それなので、今のうちに日本の製品を買っておけば、

値上がりして儲かる、と言う(笑)。




尤も、この国は共和国だから

売却する時にたっぷり税金を取られるので

あくまでユーモア、である(笑)。






そんなふうに、遠い北欧まで

日本経済の停滞は影響する。



途方に暮れている、ななの前へ



ぽん。



神様が、また現れた(笑)。



「まだ、その山高帽子ですかぁ」ななは

ちょっと怒ってたつもりだったのに



ユーモラスな神様に、微笑んでしまった。




「あ、ああ、これはな」神様は

変装の付けヒゲをつまんで。




「それより、神様?日本はどうなってるの?」と、ななは尋ねる。




あたりは、ひと通りの少なくなった坂道。




「ああ、日本は自然に帰ろうとしてるんじゃ」と、神様。



無理矢理お金儲けをするために、国土を破壊して

日本の、どこへ行ってもコンクリートと

アスファルトだらけの国土にしてしまったのは



ほんの少し前、日本の政治家が

土木業者の頼みでやった事だ。




そのお金を、国民に借金して

返せなくなったので、平成不況が起こった。



それを、加藤が発明したエネルギー源のおかげで



誰も働く気がなくなったので、政治家も

放棄してしまって。


明治時代、いや、室町時代より前の

自然な日本に戻ろうとしている。




「そういう事らしい」と、神様は言った。




「なんだかわかんない」と、ななは言う。




それもそうで、生まれた時から


物がふんだんにあって、なんでも便利に

過ごせていたら


そういう社会が、誰かの頑張りで

支えられていたなんて、知る事もなかった。




道路工事をするひとがいなければ

道路が壊れたらそのままだ。




自動車を作るひとが居なければ


宅配便も運べない。





そういう、働くひとたちは

好きで働いてた訳でもないから


働かなくてよければ、働くひとも

少なくなる。




それで、日本の経済は停滞していったらしい。




「それでも、日本に戻ってみたいかね?」

神様はそういう。


この国に居れば、ふんわりと暮らして行けそうだし


日本に戻っても、あまりいい事はないかもしれない。




「それでも、戻ってみたいです」ななは

なんとなく、そう言ったら





ぽん(笑)





光の速さで、神様とななは

東京に戻って来た。



昼間なのに、静かなのは

人通りが少ないからだ。



「車もほとんど居ませんね」




「ガソリンが入って来ないからじゃろう」




新エネルギーのせいで、ガソリンの需要が減ったし

何より、人々は通勤しなくて済むようになったから



車に乗る事は、もっぱらレジャー。



それだけのために車を買う理由はなかった。




元々、政治家が自動車会社からお金を貰って

自動車産業を保護してきたのだけれども



政治家自体、働かなくても生きて行けるので

政治、なんて面倒なものをする必要も

なくなった

(笑)。



今、政治家をしているのは

本当に国の事を考えている人達、だと

神様は言う。




「いい事じゃな」





東京駅を歩いている人達も、皆

笑顔で表情も明るい。




仕事は好きな事だけをしても

生活の不安もない。




それまでは、がんばって働いて


会社や政治にお金を掠め取られて(笑)



いたようだったから、明るい気持ちに

なれない人達も多かった。




でも、経済が壊れる事で

人々は自由になれたのだった。




「家族連れも多いですね」






「うむ。将来の生活不安が無くなれば

自然にそうなるんじゃ」




それまでは、政治家が

大企業にお金を貰っていたので(笑)




昭和の時代に安定していた、終身雇用、と言うシステムを壊してまで




人々の労働賃金のピンハネを合法にしたから




その場限りの仕事に、安定がなかったから



人々は婚姻を控えたし、子供を産む事も避けた。




少子の原因は政治だったのである(笑)。






それが、なくなれば

自然に、婚姻も進むし




安定した気持ちなら、他人への思いやりも

生まれる。




競い合う必要もない。



争わなくてもエネルギーは無尽蔵にあるのだ。





「いい事ばかりですね」





「まあ、もともと政治家が

外国のお金儲けのためにやった事じゃから」





実際、首相の孫が

外国の証券会社に勤めていた、なんて

有名な話もあった。(笑)。



その孫が、事もあろうに

人々がめでたく振る舞うお正月に

不祥事を起こして

警察沙汰を起こす、なんて事もあったが



天罰だと人々は言った(笑)。



神様は何もしていない。



後ろめたい事をしているから、気持ちが

落ち着かず事故を起こすのだ。



因果である。




そう、実は

いままでの国家は、一部のお金儲けのために

存在していたので(笑本当だ。)



お金儲けが出来なくなった

日本に興味がなくなった世界の金持ちは


日本の通貨、円を売ってドルを買ったのだが

アメリカにも、この加藤の発明が及んでいたので(笑.....



大損をした。





元々、世界の人口の1%が

資産の6割を保持しているのだから

損していいのである。




(笑)




その、損した分が民衆の得になるのである。



それは本当で、通貨価値が上がった分


物が安く買えるから、貯金をしていた民衆は

生活が楽になった。




(笑日本で言えば、1965年あたりなら

インスタントラーメンは20円くらいだった。物の価値は同じなのに、通貨価値が変動しているからである。今は70円くらいだけど

その50円は、お金儲けの好きな人に取られている訳だ。)



加藤の発明には、常温超電導モータもあったから


つまりそれは、永久運動するモータ、と言う事なので


電気エネルギーはほとんど減らないと言う事だ。



これを、固定磁極に使った永久磁石発電機は


例えば、磁界遮断型の空芯コイルで設計すれば

僅かな風力でも回る発電機が作れたりするので



それらを組み合わせれは、ほとんど

日常生活でエネルギーを必要としない生活が

可能だった。



電車や自動車は常温超電導モータであれば

ほとんど電力は補給不要である。






エネルギー依存社会から、エネルギー不要社会への転換が成されたので




産業構造も変わったのは前述の通り。




働かなくても良い社会、とは言え

人間は考える生き物である。



創造的な仕事をしたがる人は増えた。

なにしろ、借金して切羽詰まる仕事などと

言うものが存在しない。





ストレスがないと人間は病気になる、などと

言うのは嘘で



自由に何でもしていい、と言う感覚は

幼児のように好きな事を考えていい、と言う

事だから


それが病気であるハズもない。




金銭や責任、租税などと言うものが

人間を束縛するので

ストレスに感じるだけである。




金銭や責任のいらない社会を、加藤は

恒久エネルギー源の発明で、少なくとも

日本人には齎した訳だ。






その結果、都市社会も

崩壊して行くように、

ななと神様には見えた。






「これから、どうなるの?」




「さあ、とりあえずななちゃんの発電機からはエネルギーが湧いているから

それを必要とする人達に送れば

代わりに何か、貰えるな。」





例えば食品工場に電気を送れば


代わりに食べ物が貰える。




電気を使った分。


電力は、相場がないから

いつも安定した基準である。


損得も起こらない。




その流通を、国家がすれば良いのである。



そうして、日本が

アメリカに見放されたら、隣国に

侵略されたか?



そうはならなかった。



元々、侵略される理由は何も無い。


資源も何もない国を。



侵略されると怖がらせてアメリカの軍備に

協力させると言う、昔日本人が


満州とかでやったのと同じ嘘だったから(笑)。



そもそも、地下資源などに頼らなくとも

恒久エネルギー源があるので


どの国も、争う必要もなく



テロ国家も消滅した。



争う理由は富を得たいからで

誰にも等しく永久の資本があると言う事なら


誰も、危険など冒さない。



そもそも、この世界は

神様たちが薬を蒔いた世界である。






「ななちゃんは、どうする?」神様は

それを気にしたけれど


なな自身も、身の回りが平和になってしまうと

もう少し、のんびりしてみるかな(笑)などと


思って。




好きだった人は、他の人と一緒になってしまったし。




でも、平和な世の中になると

もっといい出会いがあるような、そんな気が

ななにはした。




せき立てられるように恋人を求めたのは

世の中が危険だったから、安心したかった。



それだけだったような気もしてきた(笑)。








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