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<38>

 新たに生まれた、メインクエスト全終了の条件についてだが―――

 

 [勇者と結ばれ、大魔王を誕生させよう!]

 [アレンとナルシアの仲を取り持ち、覇王を誕生させよう!]

 

 ―――後者はともかく、前者は通常なら不可能だ。

 

 魔王であるオレは男だ。相手となる勇者も男だ。同性同士で子を成す事は有り得ない。



 ―――だが、魔族は両性具有である。



 一口に両性具有と言っても……その実態は様々だ。

 

 真なる意味での男の娘である……小魔法使い“キリト”のような男女の特徴を両方同時に持つタイプ。


 性別不詳である幽玄の檻“ベルクラッド”や怪生物“ゲ・レ・ゲーレ”のような必要に応じて機能を自由に造れるタイプ。

 

 そして、魔族の王であるオレのような……心の在りようによって、男女の性別が入れ替わるタイプである。

 

 つまりだ、男性である勇者アレンに対して、オレの中に眠る乙女心(アニム)を爆発させれば、オレの姿は女性に変化してしまい……晴れて不可能は可能となるわけだが―――

 

 ―――冗談じゃねええぇぇッ!!!?


 勇者に殺される覚悟は、遠の昔に完了済みだが……勇者に抱かれる覚悟なんて出来てねーよ!? 想定すらしてねーよッ!?

 

 オレは変態じゃないぞ?! いやまあ確かに気の持ちようで性別が変わる変態(メタモルフォーゼ)的能力を持っているが……それは魔王の肉体の特徴であって変質者(アブノーマル)って意味では断じて無いッ!

 

 いやいやいや、まて。落ち着こう……素数を数える必要はない。メリーにワインの一杯でも持ってきてもらえば……って、メリーはいねーよ! ココは魔王城じゃねーし!

 

 あーそういや魔王城だよ、魔王城!

 

 後でベルグラッドを呼んで、アノ惨状は一体どういう事なのか問いたださないと!

 

 アレじゃ趣味の悪い遊園地だ……脳筋魔族でも権威ってのは重要だ。見た目で侮られるような事が有ってはならない。ましてや、魔王城だぞ?


 魔王軍の本拠地であり。

 魔王であるオレの住処であり。

 

 ―――栄えある勇者との最終決戦場だぞ?

 

 色物に走ってどうするよ? 勇者が嘆くぞ? オレも嘆くぞ? ……って話だ。

 

 「―――すまないが、一度お互いに自己紹介をしないか?」

 

 だいたいだな? そもそもの問題はクエs……っと、軽く混乱してたら、マリアンヌも目覚め。ひと安心して落ち着いたアレンが、オレに話しかけてきたので答えるとしよう。


 手加減はしても、自重する気は無いので、オレの力も含め。出来るだけ正直に話した方が良いかな?

 

 「そうだな……。

  だが、そちらの自己紹介は不要だ。

  

  故に……こちらから名乗ろう。

  

  オレは“サタン”

  

  職能(クラス)を述べるなら―――


  魔道士(キャスター)

  魔道師(ウィザード)

  魔術士(マジシャン)

  魔術師(ソーサラー)

  妖術師(コンジャラー)

  祈祷師(ウォーロック)

  魔導士(メイジ)

  魔導師(メイガス)

  施術師(ヒーラー)

  召喚士(サモナー)


  学者(スカラー)

  賢者(セージ)


  魔法戦士(ソーサルファイター)

  魔導剣士(ルーンフェンサー)

  付与術士(エンチャンター)

  錬金術師(アルケミスト)

  精霊術士(シャーマン)

  精霊術師(エレメンタラー)

  

  ―――おっと、精霊系は違った。

  

  まあ、それら精霊系以外の全てを内包する……真なる意味での“魔法使い(マジックユーザー)”とでも名乗っておこうか……」



 冗長だが、魔王と言う単語を使わずにオレの能力を示す場合、こうなるのは仕方がない。


 しかしまあ、我が事ながら反則だな。


 先に述べた事に加えて、身体能力も十分にあるんだから、魔王ってのは……“勇者”以外では手に負えない。まさしくバケモノだと心から頷ける。

 

 「色々と尋ねたいところだが……先ずは助けて貰った礼を言う。

 

  ―――ありがとう。


  おかげで命拾い出来て……仲間も失わずに済んだ」

 

 胆力があるのか、理解してないのか、どちらか分からないが、面食らった様子はあれど、冷静に礼を言って来るあたり……さすがは勇者だと心の中で褒めておこう。

 

 「なあに、人類の……希望である勇者を助けるのは当たり前の事だ。礼はいらんよ。

 

  ―――ところで、これからどうするつもりだね?

  

  オススメは、北北西に向かい……[竜哭の谷]を抜けた先にある地妖精(ドワーフ)の隠れ里に向かうことだ。

  

  ―――上手く行けば、女神の祝福を受けれるだろう」

 

 「「「「な!?」」」」

 

 勇者の役に立ちそうな残存勢力の所在地は全て把握している。


 こうやって直接話す機会などなく、内容が内容だったため……配下に任せる事もできずに誘導や補足を諦めていたが……これは千載一遇のチャンスだ。

 

 追加された派生クエストは取り敢えず脇において、ここは勇者のサポートを全力で行うべきだろう。

 

 オレの精神衛生上も……その方が良い。

 

 「ああそうだ、いくつかの品々を渡しておこう」


 取寄(アポート)を使い魔王城の宝物庫に死蔵していた品を手元に転移させ、そのまま勇者一行に渡す。



 「これは、なんて美しく神々しい杖なの……」

 「ちょっとまて!? この弓はまさか妖精の至宝と謳われた……」

 「軽い? なのに感じられる力強さは……ありえない」

  

 ブライトンには、精霊弓を渡す。

 マリアンヌには、聖者“ハイン”の杖を渡す。

 エミリアには、魔王の王衣(ガーブ・オブ・ロード)の予備を渡す。

 

 そして、アレンには……。

 

 「これは何だ? 真銀(ミスリル)とも違うようだが……」

 

 「日緋色金(オリハルコン)神鉄(アダマンニウム)の合金である[真鉄玉鋼]だ。

  

  ―――隠れ里で高次地妖精(ドヴェルグ)にあったら見せてみると良い」


武器と防具のどちらを造るかは、使い手であるアレンの意思に任せよう。本当なら、クエスト特典でゲットした[聖剣“グラドゥーシス”]を渡すべきなのだが……例によって例の如く、神殺しの魔剣の材料に使ってしまった。


 そこでワンランク落ちるが……十分伝説級の素材を用意してみた。


 もっとも、劣ると言っても鍛冶師の技量によっては聖剣に並ぶ逸品を打てる可能性もあるので、そこら辺は、そちらで色々と頑張ってもらおう。


 ―――同行してる間なら、助言や手伝いをするつもりだが、何時、強制的に玉座に戻されるか分からんからな……。


 十二魔将との和解の工作や説得をベルグラッドとメリーアンに任せ、進展があれば報告するように言ってあるが……正直、期待していない。


 むしろ、状況を利用するためにも、オレと魔将の不和が長引いた方が好ましい……が、だからと言って、万が一本気で離反され、魔王の資格を失ったら本末転倒である。


 だから折を見て、近いうちに一度戻るべきだと考えているが、今はその短い自由時間を有効活用するために全力を出すべきだ。


 ―――だから、自重は一切しない。

 

 さて、ブライトンは魔術師だが、騎士としての訓練も受けているため弓も一応使える。


 正直、宝の持ち腐れに成りかねないが、死蔵するよりマシだろう。

 

 獣神姫に持たせた方が弓に宿った弓の精霊的には嬉しいかもしれないが……そこは我慢していただこう。

 

 ステゴロマニアなマリアンヌだが、聖属性に適正があるので聖者の杖を渡しても無駄にはならないだろう。

 

 ……うっかり、杖で殴っても、ポキンと折れたりするほどヤワな造りはしていないので安心だ。

 

 エミリアに渡した服は、オレとお揃いだが、意匠が異なるためペアルック状態には成らないので安心して欲しい。


 魔王とペアルックなんて冗談にしても悪質すぎるからな……。

 

 だがしかし……二対の天地双剣“ジェネシス”と言う、両手効きの彼女に格好の品もあったのだが……こちらもまた、神殺しの魔剣“ヴァースライブ”の材料に使ってしまったから仕方がない。

 

 その代替品として渡したのが、霊糸で編まれた王衣(ガーブ)である。

 

 装着者に合わせて伸縮自在なのでサイズ差も無視して良い。

 

 デザインも、黒を貴重とした質素だが艶やかなシロモノなので女性が着ても違和感は無いはずだ。

 

 なにせ、オレが女性化した時も想定してデザインされてるからな!

 

 

 ……くぉ 嫌な話題を思い出しちまった!?


 魔王の中の人の人格は、人間の男性です。

 特殊性癖に理解は有りますが……自身の性癖は普通です。


 ただし、魔王の肉体の影響で少し認識が歪んで来てる部分もあります。

 

 その事に自覚はありません。


 自覚した時どうなるかは……不明です。

 

 

 

  

 どうでも良いことですが、魔王の中の人の中の人である、ワタシは特殊性癖の塊です。

 マトリューシ姦などの超級を除く、大抵の性癖 (虹限定)は許容範囲の廃人です。


 魔王の中の人のが否定したハーレム (笑)も、ワタシ的にはご褒美だと明言しておきます。


 メリーアン可愛いよメリーアン。でも、出番少ないよ? あるぇ?

 

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