酒好きワンコたちの宴
五穂がウサギと婚約しよった。
まあ、それはいいが
どうやって後を継がせようかのう。
「瑠璃の花を一升瓶で。」
わしは中居に頼んだ。
「はい、冷酒でよろしいですか?」
中居が聞いた。
「うむ、かまわぬ。」
わしは言った。
今、犬神一族の族長会議を
瑠璃葉流亭で開いている。
「九重斗は絶対嫁にすると息巻いているぞ。」
九の一族の族長九太が言った。
こやつはまだわかいのう。
「五穂ちゃんがそのウサギが好きならそれでいいんじゃない。」
三の一族の族長三栄が言った。
「そうだね、僕は和カクテル水の清竜を大ジョッキで。」
四の一族の族長四鶴が言った。
「私は、銀の鈴を一杯注文お願いいたします。」
壱一様が言った。
「五多の跡継ぎは五穂さんしかいないのにまだ抵抗してるん?」
七の一族の族長七騎が言った。
「そうじゃ、壱一様にも説得していただいたのじゃが。」
わしは言った。
「五多のあと継ぐとはげると思ったんじゃない?」
二の一族の族長二葉言った。
「そうだねぇ、あー、オレ、和カクテルのオレンジの誘惑と月夜の雫と緑の貴婦人をお願いします。」
八の一族の族長八月が言った。
「つやつやピカピカ素敵です。」
六の一族の族長六雪は微笑んだ。
「オレは和カクテルの光が丘の弓女と時空間の誇りと花の舞妓と戦士の休日を二杯ずつ。」
九太が行った。
「瑠璃の葉茶ハイをくださいな。」
六雪が言った。
「光が丘の弓女を三杯ねん。」
七騎が言った。
「緑の貴婦人と戦士の休日を二杯ずつほしい。」
二葉が言った。
大体酒が行き渡ったようだ。
「いっそウサギごと認めてあとついでもらえば?」
二葉が言った。
「ウサギはダメだ、九重斗が嫁にするんだから。」
九太が言った。
瑠璃の花を一緒に飲んでいる。
肴はお造りとか焼き物とかだ。
「五穂はんは九重斗はん退けたんだし、ダメ違うか?」
七騎が言った。
わしもそう思う。
「数字名持ち同士の結婚の方が数字名持ちの子が生まれるかもね。」
二葉が言った。
和風一口ステーキを食べてる。
「それより、五穂ちゃん、どうに五多さんのあと継がせるかだよ。」
三栄が言った。
ふむ、そうだな。
わしらは色々検討した。
五穂を懐柔するために美男を送るだの。
(ウサギがおるだろう、婚約者の)
家を新築するだの。
(りっぱな実家があるわ。)
お菓子の詰め合わせを贈るなど。
(お歳暮か?お中元か?)
検討したが出てこない。
「大体、五穂ちゃん何が好きなの?」
六雪が聞いた。
「・・・・なんじゃろうな。」
わしは知らん。
なんか杯が持ちづらいな。
「お酒ですよ。」
清酒、銀の鈴をのみながら壱一様が言った。
そういえば好きじゃったの。
「じゃあ、酒席でうんといわせればいいよね。」
二葉が言った。
おい、獣体じゃぞ。
あたりを見回すと酒を飲まない。
三栄以外耳が出たり尻尾がでたり完璧犬型になってたりしてる。
「…わしも犬型じゃ…。」
わしは自分の手に肉球があるのを見て呟いた。
長会議はいつもこんな感じで幕を閉じる。
つまりみんな本性だしまくりで。
「みんなを送り届けるのかぁ…いっそ五穂ちゃんに宅配してもらたいな。」
三栄がぼやいてるのが聞こえた。
すまん、いつも迷惑をかけて…。
三栄には本当に付け届けしないとじゃな。
ワンコクッキー詰め合わせでいいかのう。