高級酒は飲んでみたいけど...。
ああ、光田に誘われた上に。
実家帰るの苦痛だよ。
「五穂、あんた酒臭いよ。」
家に入ったとたんお祖母ちゃんに言われた。
「昨日飲んでたから。」
私は言った。
「そうかい?…道場で長様が待ってるけど大丈夫かい?」
あー、犬神一族の長様…?
「五の一族の五多様じゃなくて?」
つまり統括の一の一族の当主で犬神一族の長様。
「壱一様だね。」
なんでそんな人がきてるのさ。
「消臭スプレーだよ。」
冷静にショシュレーズかけられたよ。
「五穂殿、ご健勝そうで何よりだね。」
壱一様はなんか笑った。
酒臭いんばれた絶対。
「長さまもお変わり無さそうです。」
私は言った。
「ああ、ところで五穂殿、五多殿が言っていたけど...五の一族をつぐきがないそうだね。」
壱一様が言った。
また、その話か。
ついに壱一様まで引っ張り出したよ。
五多様のアホ。
「まったくございません。」
他に五華も五国もいるじゃん。
まあ、竜騎士してた分、私の方が戦闘能力あるけど。
ああ、私、宅配便部門に異動する前。
ラシュルド王国で竜騎士してたんです。
王宮の竜の右目隊で、ガルフォードさんは
その時からの同僚です。
「君がなるのが一番適当と判断をくだした。」
壱一様が言った。
ええ、嫌だよ。
めんどくさい。
「五華か五国が適当と思われます。」
私は言った。
「五華殿と五国殿は失礼ながら経験不足だよ。」
壱一様が言った。
あの二人は修行中なんですよ。
その内絶対に強くなる...とおもう。
「あの二人は普通に守護戦士目指してますから、どっちかが一級取ったら時点でと言うことで良いのではありませんか?」
私は言った。
「...五多殿はまだ、大丈夫だろうけど、お歳はお歳だ、早く引退させてあげたい。」
壱一様が言った。
五多のじいちゃんはまだ大丈夫だと
思うけどね。
「私もまだ経験不足ですし。」
と言うことにしておこう。
「......そう言えば、九重斗殿との縁談も断ったそうだね。」
壱一様が言った。
「私にはもったいない方ですので。」
九重斗さんって言うのか。
写真しか見てないし。
「まあ、好きな人でも...彼氏いるのかい?」
壱一様が言った。
う~ん、好きな人かー、
井上さんだけど。
すまん、光田許して?
「ウサギの獣人の彼氏がいてラブラブなんです。」
井上さんに迷惑かけたくないもん。
「ふーん、闇討ちに気を付けてね。」
壱一様が言った。
闇討ちするんだ。
「当主会合、瑠璃葉流亭でするよ、ほとんど。」
高級料亭で会合かあ。
どんな酒が出るんだろう。
「瑠璃の花っていう日本酒が最高だよ。」
壱一様が言った。
いいなぁ...でも当主になったらますますストレスがなぁ。
「無理です。」
酒~!
高級酒~!
「まあ、君しか適任は居ないんだから、早めに決断してね。」
壱一様が微笑んだ。
あー、無理無理無理です。
絶対に当主就任は回避だよ。
それから光田に断って
偽装恋人を頼まないと...。
あいつも竜騎士(宅配便部門だけど)
なんだから闇討ち大丈夫だよね。