ウサギはワンコを心配する。
五穂さん。
あの小さい身体のどこに
あの多量のお酒が入るんだろう?
心配だよ。
『大夢、犬神さんが心配?』
愛竜ななが言った。
「うん、なんかつらそうだ。」
僕は言った。
僕はバンダナまいてマスクを
して五郎の世話をしに
公休に出てきた五穂さんをみて
言った。
「わるかったね、よいどれワンコで、え?隠滅作戦がこざかしいって?」
五穂さんが愛竜の五郎さんに言った。
「わかったとりゃいんでしょう、ほら。」
五穂さんの頭に可愛い黒芝の耳がピコピコしていた。
マスクもとるとお酒の臭いが漂ってきた。
「五穂さん、飲み過ぎです、肝臓が心配ですよ。」
僕は言った。
「わかってるんだけどね...って光田に言われる筋合いはないよ。」
五穂さんが言った。
途中まで僕と気がつかなかったらしい。
なんか突っかかられるんだよね。
...あ、五穂さんのお腹がなった。
「朝御飯食べました?」
僕は聞いた。
「食べてない。」
五穂さんの耳が下がった。
「じゃあ一緒に来てください。」
僕は五穂さんの小さい柔らかい手を握った。
「光田ーなにするのさー。」
五穂さんの耳が立った。
「朝御飯、食べにいきましょう。」
僕はもう食べたけどね。
公休だしいいよね。
「どこにつれていくのさ。」
五穂さんはお腹が空いてたらしくぶつぶついいながらもついてきた。
「僕の家です。」
僕は会社の側のアパートで一人暮らしをしている。
「光田の家って綺麗だね。」
五穂さんがあたりを見回して言った。
「普通ですよ。」
僕は朝食を運びながら言った。
残り物ばっかりだな、
だし巻き卵でも焼くか。
「美味しいー、光田いいお嫁さんになるよ。」
味噌汁を飲んだ五穂さんが言った。
幸せそうだ。
僕は自炊生活だ。
料理は趣味だし、
洗濯も掃除もまあ、親に仕込まれてる。
「そうですか、普通、お嫁さんが羨ましいって言いませんか?」
僕は言った。
「嫁いないじゃん。」
五穂さんが言った。
「嫁どころか彼女もいませんよ。」
僕はすねた。
「あー、ごめん、光田ならすぐに...彼氏ができるなこりゃ。」
五穂さんが言った。
「...じゃあ、五穂さんが彼女になってください。」
僕は勝負に出た。
「えー?嫌だよ、ライバルを彼氏なんて。」
だし巻き卵を食べながら五穂さんが言った。
「美味しいゴハンがつきますよ。」
僕は言った。
「ゴハンかぁ。」
なんかうっとりしてる。
「私より井上さんの方がいいんじゃない?」
五穂さんが面白いことを言った。
「僕は彼女がほしいんです。」
僕が言った。
「ふーん。」
なんかのれんに腕押し見たいな反応だな。
ああ、でも、なんて可愛いんだ。
僕より小柄な身体。
生き生きした茶色の目。
可愛い耳。
「五穂さん、僕は大夢です、大夢って呼んでください。」
僕は言った。
「ええ?まあ、いいけどさ、大夢。」
五穂さんが呼んだ。
「はい、五穂さん。」
なんて可愛い声なんだ。
「ゴハンもう少し食べたいな。」
五穂さんが言った。
井上さんはともかく。
ガルフィードさんは
要注意だな。
「この卵焼き梅酒に合いそうだな。」
五穂さんが言った。
「酒の肴には出しません。」
飲み過ぎだよ。
「私は酒だけが楽しみなの。」
五穂さんが言った。
「もっと楽しい事教えますよ。」
可愛いだろうね。
「酒でいいって。」
五穂さんが言った。
可愛い五穂さん。
僕の腕の中で楽しい事しませんか?
僕はウサギだから子沢山の家系なんです。
兄弟も沢山居ます。
親はいつもラブラブだし。
後悔させませんよ。