神様に会いました
「‥‥まだ起きないの〜っ?あー、イライラしてきた。強制起床まで、さーん、にー、いーち、‥‥」
誰だ。こんなに短気なヤツは。斗黄か?
それにしても眠い。
「あと五分だ‥‥」
「‥‥ぜーろっ、タイムアーップ、しゅーりょ〜っ」
ザバーーンッッ
「ゴフッ、し、死ぬ‥‥」」
「起きたー?」
何処からともなく現れた大量水をぶっかけられ、私はようやく目をさました。
それにしても‥‥
「何処だ?ここ」
「んー?天界だよ?」
誰かが親切にも教えてくれた。へぇー、天界かぁー。帰りのタクシー代足りるかな。っって、天界!?
「今、アンタ天界つった!?なんで私そんなとこいんの?てか、そんなとこに平然といるアンタは何者!?」
「あれ?覚えてない?君、死んだじゃん、事故って。そんでー僕は神様でっす。」
‥‥そうだった、私死んだんだ。で、この人が神様ねぇ。地球滅亡の日も近いな。
「まだ、滅びないよっ」
まだ、かい。てか、心読むなよ
でも本当にこの人神様か?なんか、ほやほやしてるし。見た目は中学生だぞ。美少年だけど。
「あーっ、信じてないね?じゃあ、証拠を見してあげよう。」
証拠?
「うん、証拠。例えば君は、佐藤美朱、高校2年生の17歳。交友関係は狭く、遠山斗黄と村山白里のみ。家事情がややこしく、中学時代は荒れていた。今は友人達とも離され、私立校に転校し、孤立状態。死ぬちょっと前に祖母が死に、葬式の帰り道に事故られて死亡。コレでどう?」 私は無言で拍手した。ここまで詳しいと、神様か私のことを生まれた時からストーカーしている人ぐらいしか分からないに違いない。もちろん私には、人生をかけてストーカーをしている人に知り合いはいないから神様だろう。
「そんな納得の仕方?まあいいけど。じゃあ、僕が神様なのは分かったね?」
うん
「ならいいけど。ん、もうこんな時間。本題にうつらなきゃ。」
???本題?
「そ、本題。本来なら亡くなった人の魂は天界の日本支部転生科ってところで、転生の手続きをするんだけどさ。君の魂が面白かったから僕が直々に転生させてみようかなーって。」
ふーん。でも私のどこが面白いわけ?
「君のその性格も十分面白いんだけどねぇ。でも僕が最初に目をつけたのは君の魔力量だよ。」
魔力量?
「ああ、そっか。君のいた世界には魔法がなかったもんねぇ。君だけじゃなく、人には魔力が多かれ少なかれあるんだ。もちろん君のいた世界にもね。で、君は普通の人から見たら化け物と思うぐらい魔力量が多かったんだ。ほら君、髪が赤いだろ?魔力が多すぎると髪の毛が遺伝じゃなく赤くなることが多いんだ。」
そっか。でも何で態々神様自身が私のことをお出迎えしたの?
「だから君の魔力量が多すぎるっていったでしょ?魔力量っていうのは転生しても受け継がれるから、君の性格があんまりにアレだとイロイロしなきゃなんないから。君がまあまあまともで助かったよ。」
アハハと笑う神様。
イロイロってなんだよ!?怖っっ!!
「イロイロはイロイロだよ。で〜、君の転生先だけどねぇ‥‥‥‥あっ、ここかぁ。」
勝手に納得してる神様。なんだよ、教えなってば。
「うーんとねぇ、君がこれから生まれる世界はね、魔法があるよ。よかったね魔法があって。何しろ君、魔力がすごくあるのに魔法のない世界だったでしょ?でもそれって世界から見たら関係ないしねぇ。」
はい?だから何?
「ああ、それはね、世界から見たら君は魔力量が桁外れイコール普通の人より有利、になるんだよ。だから世界としてはできるだけ他の人と平等にしなきゃいけないわけ。ほら君、前世で結構不幸だったでしょ。魔法ないんじゃ意味ないのにね〜。」
ケラケラ笑ってる神様。
はあ!?笑い事じゃないし!!え、っていうことは前世での不幸なことってほとんど、使えもしない魔力のせいなの!?
「 ん〜、全部ってわけじゃないよ?ただ、普通の人よりはってだけ。でもそっかぁ、君のいた世界魔法なかったんだもんねぇ。マイナスしかなかったのか。だったら転生するにあたって、1つ要望を叶えてあげるよ。」
要望?
「そう、要望。何でもいいよ〜。」
私は‥‥斗黄や白里たちのことを覚えていたい。大切な親友だったから。
「ふーん、了解〜。じゃあ、転生させるね〜」
もう?
「うん。僕もあんま暇じゃないし。あ、でも君は気に入ったからまた来てね〜。」
また来てね〜、じゃないよ。それって私が死ぬってことじゃ‥‥‥‥‥‥
「バイバイ〜」
‥‥‥‥‥うわっ
暗闇が急に迫ってきて、私は意識を失った。