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魔力量が半端ないっす  作者: 九条
第1章 miaka~転生~
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ネガティブな独白


祖母が先週、死んだ。トラックに跳ねられ、事故死だったらしい。祖母と私仲は良くなくいや、むしろ険悪だった。最悪だったといってもいい。

祖母はいつも私のことを存在しないように扱った。なのに、私がやらかした時だけウジ虫以下とでもいうような目で見てくる。

そんなに私が嫌い?憎い?お母さんの娘だから?淫乱でアバズレなお母さんの娘だから?

私のお父さんは天下のサトウ製薬の御曹司だ。つまり次期社長。そんな、やんごとなき御身分のお父さんとただの一般市民なお母さんが結ばれた理由は簡単。大学のキャンパスで見かけたお母さんに一目惚れ。人攫い並みの素早さでスピード結婚をし、周囲を驚かせた。特に驚き、激怒したのが祖母だ。

お母さんは私を産んだ時に死んでしまったが、未だに両親の結婚ひいてはその二人の愛の結晶である私が心底憎いらしい。そんなこと知ったこっちゃねーし、正直どうでもいいんだけど。

でも、私は御曹司である父、佐藤貴史の娘で佐藤美朱。そんなことを、いくら耄碌したババア相手にでも言うわけにはいかない。家では。

家を出てしまえば私は自由だった。金持ち学校に行けばそうでもなかったんだろうが、何せ私は〇〇財閥のご令嬢の娘でもありませんし?お母さんが死んでからはより一層、下賤の娘扱いされたしね。いつの時代だよw

お父さんがいない時にわざわざ言ってくるし。どんだけ肝っ玉小さいんだよ。まあ、チクったりはしないであげたけど。面倒臭いし。

話がズレた。そんなこんなで本人の希望もあり、私は小中学校と公立の学校に行った。

学校では私がサトウ製薬の御曹司の娘と知ってる人はいない。校長先生と幼馴染み兼護衛係の斗黄ぐらいだ。ちなみに、斗黄は私の家のことを最初から知っていても、態度を変えない、というか最初からこう、媚びもしなければ嘲りもせずに自然体で接してくれる貴重な親友だ。

一度、なんで私に普通に接してくれるの?と聞いたら、


「お前は俺のことをそんなことで態度を変える馬鹿どもと同じだと言いたいのか?」


と、笑ってない笑顔で返された。怖かったです、斗黄さん。

斗黄なりの照れ隠しで本当は優しい奴なんだと思う。‥‥‥たぶん。なんか自信なくなってきた。腹黒い笑みを浮かべること、多かったし。ああいう時って、本当に恐ろしい目に合うんだよね。主に敵と私と白里が。

白里も私の貴重な親友で、中1の頃に出会った。今では私の家事情も知っている。(そうだった。白里も知っているから3人?か)それでも美朱は美朱でしょ。と言ってくれたのはいまでも覚えている。本当に嬉しかった。恥ずかしくて言えないけど、感謝もしてる。もちろん、斗黄にも。


そんな私率いる3人組は、私の家(主に祖母中心)へのストレスも相俟って暴れに暴れた。ここらの不良から『三鬼』と呼ばれ、恐れられるほどには。

赤鬼の私、黄鬼の斗黄、白鬼の白里、らしい。この妙に気恥ずかしい通り名は名前と外観からついたらしい。

赤鬼の私は確かに赤髪に近い茶髪をしている。でもこれ地毛だし。しょうがないじゃん。でも祖母はこれも気に入らなかったんだろうなぁ。まぁ、あの人は私の全てにいちゃもんつけるだろうから、どんな完璧超人になっても無駄だろうけど。 それはともかく、黄鬼の斗黄は黄、というよりも金髪だ。これは地毛ではなく染めてある。斗黄はイケメンなのでーーーしかも、スタイルが良く、頭も良く回る。ーーー似合わないこともない、むしろ似合ってるのだが、斗黄の参謀的なイメージに合わない。私の護衛係を務めるくらいだからもちろん、腕っぷしも強いんだが。

一度聞いてみたら、ものすごい勢いで逆ギレされた。


「〜〜〜っ!誰のせいでこの色に染めてると思ってるんだよっ!(‥‥お前が名前と一緒で綺麗だねって言ったからだろうが。くそ‥‥)」


意味が分からない。何で逆ギレされたんだ? 私のせいだと?

まぁいいや。それで白鬼の白里は綺麗な白髪だ。色を抜いたらしい。理由は『二人とも名前と同じ髪だし〜、ノリ?』らしい。ヤツはちょびっと頭のネジが抜けてるんだ。なのに白里は美人だ。肌も透けるように白いので、白髪が羨ましいほどよく似合っている。ずるい。なんで私以外は二人とも美男美女なんだ?性格に難がなけゃダメのだろうか?

こうやって、変な通り名を付けられても中学時代はすっごく楽しかった。

不良とケンカして(相手がカツアゲとかしてたからであり、断じて私達から吹っ掛けたわけじゃない)、助けた連中に姐さんとか呼ばれ慕われて(助けた連中の中に不良もいた)。

決して平和な日常じゃなかったけど、祖母だってクソみたいな目で私のことを見てたけど、そんなことが気にならないほど皆といるときが楽しかった。


でも、もう少しで高校に行くっていう時にお父さんが倒れたんだ。

もうこの頃には、ほとんどのことを祖父はお父さんに引き継ぎしていたので、サトウ製薬は大いに慌てた。まさか、祖父じゃなくお父さんが倒れるとは思わなかったんだろう。

お父さんは脳の病気だったらしく、間もなく死んだ。これには、私もショックだった。お母さんのことは私が物心つく前に死んだから悲しくはなかったが、お父さんは違う。唯一、家族の中で優しかった。


だけど私は傷心を癒す暇もなく転校させられた。今は祖父が臨時で社長をやっているが、そのうち私が次期社長になる可能性が高い。いくら母親が気に入らなくても跡取りになりそうな娘を公立に行かせるのはアウトだったらしい。

ならば、今からでもということなのだろう。

もちろん、斗黄と白里も離ればなれになった。白里は元々公立で出会った友達だし、斗黄よりも優秀な護衛係とやらがいるらしい。

でも私は斗黄が護衛係として優秀じゃなくても、斗黄がよかった。私別に護衛係いなくても平気なくらいには、腕に覚えがある。それに、優秀だろうがなんだろうが、斗黄や白里のように気を許せないんじゃ意味がない。

だけどそれが、祖母達には分からないんだろう。ありがたいだろう、とでもいうような態度で言ってきたから。このことがありがたいなんて思うと思ってるなんて、頭沸いてるんじゃなかろうか。

本当はそう言いたかったけどグッと我慢して、(表面上は)しおらしく頷いた。親友には迷惑かけたくなかったから。


で、私はお金持ち私立に通うことになった。想像していたようなネチっこいことは起こらなかったが、かわりに心を許せる友人も出来なかった。

決してコミュ障なわけではない(←ここ重要)



そうして私が転校してから約1年経ったとき、祖母が死んだ。

正直、喜びは込み上げても悲しみは沸き起こらない。実の祖母とはいえ、長年の仕打ち、情など出るはずもない。多分、私達は祖母、孫という関係だったことはないと思う。

一応、形だけ葬式に出て心が全くこもってない哀悼を捧げると、さっさと家に帰った。否、帰ろうとした。


そうだ、私も家への帰り道で車に跳ねられられたんだ。



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