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1話目 俺の学校生活

プロローグの時には言っていませんでしたが、縦書きで見るのをオススメします

 人間は誰しも得意不得意がある。それも人それぞれ、食べ物の好き嫌いと同じように。

 運動が得意な者、苦手な者。料理が得意な者、苦手な者。勉強が得意な者、そして

「愛理ちゃん愛してるぅ」

 俺の前の席で気持ち悪い寝言を呟いて授業中に居眠りしているような勉強が苦手なやつ。ちなみにこいつの趣味はエロゲ。

「であるからにして」

 そんな彼にお構いなく俺、篠原尚輝も一緒に受けている授業はどんどん進んでいく。

 起こしてやらないこともないのだがめんどくさい。彼も幸せな夢を見ているのに起こされたくはないだろう。

「私たち人間は魔族が生み出し、使役する悪魔に対抗するために彼らの魔法技術を盗みました。そしてその魔法技術を独自に発展させて今の魔法体系があるのです」

 魔法史の先生が魔族について話していく。

 この魔法史の先生が言うことをまとめると、魔族と人間は戦争中。戦争といっても送られてくる悪魔と戦うだけ。直接魔族と戦うことはない。

「おっと、もう時間ですか。それではまた次回にこの続きをしましょう」

 チャイムが鳴って、授業終了。先生はそのまま教室から出ていった。

 俺は次の授業は何か確認し、そしてため息が出た。

「そろそろ起きたらどうだ。隆次」

「はっ!?ここは何処?私は誰?」

「起きた瞬間に記憶喪失ネタをやるのはいいが、早く実技棟に行くぞ。いや、それよりもまずヨダレを拭け」

 さっきまで俺の前の席でヨダレを垂らして寝ていた男、谷隆次にポケットティッシュをやる。

「サンキュー。それよりも次は魔法実技か?」

「残念なことにそうだ。じゃないとヨダレ垂らして気持ち悪い寝言を言う変態をわざわざ起こさねぇよ」

「褒めてくれてどうも」

「別に褒めてないんだけどな」

 今の俺の言葉を褒め言葉として受け取るあたり、このツンツン頭のメガネがどうしようもないほどの変態だということはお分かりいただけたことだろう。

 俺らがそうこうしていると二人の女子生徒、菜月と杏が近づいて来た。

「なぁ、悪いけど早く実技棟に行ってくんない。オレ、学級委員だから教室閉めなきゃなんねぇんだ」

 我がクラスの学級委員長、相場菜月はボーイッシュ口調で俺達が実技棟に早く行くよう、そしてすまなそうに言う。身体の成熟は良いらしく頭を下げた時に豊かな胸が揺れるのを隆次は凝視する。

「そうよ。アンタたちが早く行かないといつまで経っても菜月が教室を閉めれないじゃない。それと隆次。菜月の胸を見るのはやめなさい」

 菜月とは相反する長髪の女子生徒、金沢杏は隆次俺達に早く実技棟に行けと言うのと同時に隆次に菜月の胸を見るなと言う。

「自分に身体の凹凸がないからって嫉妬してはだめだぞ。杏」

「一度黙りなさい(ドゴッ)」

「ぐはっ」

 隆次が杏に殴られて倒れる。いつものことなので特に気にしない。

 確かに隆次の言うとおり、杏の体型は菜月ほどではないし、一般的な高校生よりも少し劣っている。だけど

「俺はそういうの気にしないし、可愛いと思うんだけどな」

 思っていたことをつい口にしてしまった。

 俺の言葉を聞いた杏は「そそそ、そんなのあたりまえよ」と言ってそっぽ向いてしまった。何故だ?何か怒らせる要因があったのか?

「そろそろ行こうぜ。いい加減にしないと授業に遅れるぞ。オレ、鍵閉めなきゃなんねぇし」

 このままじゃあ、菜月がいつまで経っても戸締まりができそうにない。手伝うか。

「だったら、手伝うよ」「サンキュー。助かるぜ。窓を閉めてくれ」

「わかった」

 俺は言われた通り、窓を閉め、鍵を閉める。杏とさっきまで倒れていた隆次も教室の戸締まりを手伝う。

「よし、鍵閉めオッケー」

 最後に菜月が教室の扉の鍵を閉める。

「んじゃ、行くとしますか。やる気ないけど」

 俺ら幼なじみの4人組は実技棟に向かった。


−実技棟−


「それでは今から模擬戦を始める」

 体のごつい、教官服を着たオッサン・・・もとい教師が今日の魔法実技の授業内容を話す。

 というかいつも思うんだがあのオッ・・・教師は何者なんだろうか。俺がさっきあの教師のことをオッサンって思った瞬間に睨み付けてきたぞ。恐いったらありゃしない。

「今からお前達にくじを引いてもらう。そのくじにはペアができるようにしてある。お前達はくじでペアになった者と模擬戦をしろ」

 ん〜。模擬戦か。まあ、魔法を使えってことじゃないからやる気はそれなりに出そうかな。

 俺達生徒は教師に言われたとおり、くじを引いていく。さて、俺のくじの番号は15番か。相手は誰だ?

「なんだ、零貯蔵庫(ゼロタンク)が相手かよ。こりゃ楽勝だな」

 俺の模擬戦の相手となる生徒は相手が俺だと知った途端に侮る。

 零貯蔵庫(ゼロタンク)

それが入学して1ヶ月間でついた俺のあだ名だ。魔力を大量に持っているくせに魔法を1つもろくに扱えないという意味だそうだ。

 俺の不得意なもの、それは魔法だ。俺がどんなに魔法を使おうともそれができない。だからあまりこの実技の授業って好きじゃない。でも

「お前がいくら弱いからって数秒で倒れてくれるなよ。俺がつまらないからな。でもお前は魔法を使えなかったんだっけぇ。だったら俺が瞬殺してしまってもしょうがないよなぁ」

ここまでなめられたら、黙ってられないよな。

「各自、ペアでコートに入れ」

 俺と相手の選手は模擬戦専用のフィールド内に入る。そしてそのフィールドにシールドが張られる。これでもう逃げられなくなったわけだ。

「各自、準備はいいな。では、始め!」

 教師・・・・いや、これからは教官と呼ぶことにしよう。なんか、こっちのほうがしっくり来る。

 まあ、それはさておきとして教官の合図で生徒達はそれぞれ武器を展開する。

それぞれの手首に着けられているブレスレット、魔方陣が描かれたエンブレムが光り、各々の武器が出てくる。

このブレスレット、一般的には魔武器と呼ばれるものである。通常の魔武器は扱う武器の設定を決めておかなければならない。例えば剣なら剣、銃なら銃って感じにな。

でも、この学校で支給された魔武器[ジョワユーズ]は違う。そいつの資質や才能に合わせた武器が勝手に出てくる仕組みになっている。つまり、そいつに最も適したそいつだけの武器が出てくるってわけだ。 魔武器の説明はここまでとして、もちろん俺と俺の模擬戦の相手も武器を持つ。

 相手の武器は杖。兵杖などではなく、魔法使いが使うような杖だ。

おそらく相手の資質は純粋な魔法戦なのだろう。

 一方、俺の武器は木刀。何の能力もないただの木刀。それ以上でもそれ以下でもない。

「おいおい、ただの木刀かよ。これじゃあ本当に瞬殺しちまうぜ」

 俺の相手は明らかに俺を侮っている発言をすると杖を動かす。おそらくは魔法の式を構築しているのだろう。そして野球ボールほどの大きさの魔力の球を作ると俺にそれを撃ってくる。

魔力の球が俺がいた場所に着弾すると土煙が舞い上がる。

「はははははは。もう終わりかよ。手加減しなくてもよかったんだぜ。あっ、あれで全力だったのか」

 こいつ、さっきから俺のこと舐め過ぎだろ。つーか、油断もしすぎだろ。いくら俺が魔法を使えないからって。少しこいつに油断大敵というものを教えてやろう。手加減もしなくてもいいって言ったしな。

 俺は土煙から出て、相手の方へと走っていく。相手は俺がまだ倒れていないことに気付くと慌てて魔法式を構築して魔力の球を作り出そうとする。しかし、俺が懐に入るまでには間に合わない。

「ぐはっ」

俺は懐に入った瞬間、逆胴で打つと、相手の横腹に見事に当たり、そのまま吹っ飛んでいった。

 少しやりすぎた気がしないでもないが、とにもかくにも俺の得意なもの、剣術で勝つことができた。


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