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9話_現実と偽園(ユートピア)_


少年と少女は途中で足を止めた。

俺は休憩中の少女と少年の傍に立っていた。

そっと手を伸ばす。

俺の仮説を試す、いい機会でもあった。


「よっと」


零れてもおかしくない程のパンと水を半分ほどもらう。

結構な量で、腕がいっぱいいっぱいになる。


「よくこんな量を、この子たちは持てるな」


そのパンと水を受け取った時、違和感があった。

全く重みを感じなかった。

だが受け取って「俺が」触れたとたん重みを感じた。


「...気づかないね...」


俺の受け取った分の水とパンが、まるで無かったもののように無反応だな。

だが、いい。

目的地に着いたときに返せば、きっと思い出すだろう。


「...なんでこの場所はこんなに汚れてるんだ?」


休憩中にここら一帯の情報を調べた。

どうやら、共存促進派閥とやらが、追いやられてここら一帯を拠点としているようだった。

記事には治安が悪く、襲われる事があると書いてあった。


「....この子たちが襲う?」


到底信じられなかった。

この子たちの事ではないのかもしれない。

だが、本当に追い詰められればそれも仕方のないような気がする。

こんなに痩せてるんだ。

死を前にしてしまえば、手段を選ばなくなってしまうのかもしれない。

その環境に少し同情をしてしまう。

俺はそっとその少女と少年の頬を触る。


「....辛いよね...」


口から無意識に出ていた。

柔らかいが、環境が悪いことが分かる程、肌はがさついていた。

持っている水を飲みたそうにしている。

だというのに、首を二人で振っては、二人でキャップを締める。

締めたキャップを名残惜しそうに見つめながら。


「皆...どれくらい喜んでくれるんだろう」


少年が心配そうにつぶやく。

そんな少年を見て、少女は口を開く。


「きっとね..頭をね....いっぱい撫でてくれるよぉ..だってこんなに頑張ったんだから..」


二人でその事を想像しているのか、嬉しそうに体を左右に振っていた。


「そろそろ、行こう」

「う、うん!」


二人は手を合わせる。

少年は少女の手を掴んで立ち上がらせる。


「ありがと!」

「うん..あと少し、頑張ろう!」


そうして、また二人で目的地に向けて小走りを続ける。

それに合わせて俺も立ち上がって、追いかけた。

その時だけは、一緒に頑張っている気持ちになれた。

無意識に動いた体は...いつの間にか、探していた善行を行っていた。


「ふぅ..」


それから三十分ほど歩いただろうか。

思っていた以上に距離を進んでいた。

場所は、より一層、落書きや匂いがきつい場所だった。


「ここが...」


この子たちが目指していた場所。

その途中から、殆ど人を見かけなくなった。

一つの美術館のような建物に入っていく。

俺はそれについていく。

建物の入り口には、関戸美術館と書いてあった。

中が広い建物だった。

そして、


「おぉ...」


多くの人が居た。

皆のどれもが、綺麗な服装とは言えなかったが、ベッド等がおかれていた。

難民や災害という言葉が思い浮かんだ。

皆が二人の子供に視線を向けている。


「みんなぁ!お兄ちゃんがくれたんだ!」


少女が大きな声で叫ぶ。

スラム街と言ったら言い過ぎなのだろうが、このような場で食べ物や水分の存在は貴重なはずだ。

汚れているが、皆がしっかりとした服を着ている。

恐らく、いくらか昔までここは活動をしていたんだと思う。

関戸美術館の割には絵をあまり見かけないが、絵を飾る台(展示台)が残されている。

最低限の人が住む環境になっていた。


「おぉ..お前たち!どこに行ってたんだ!」


一人の男が大きな声をあげた。


「心配したんだぞ!」


凄い勢いで少年と少女の前にまで走ってくる。

その男の人は、異種族でも無い人間だった。

尻尾や鱗、角や羽根は生えていなかった。

俺は少年と少女の後ろで、


「ここでいいかな」


衛生が良さそうな、台の上に食べ物と水を置く。

(きっと、俺から離れれば...)

俺から離れた物が、離れた瞬間から、少女と少年の目に入る。

俺が触れている間だけ、この世界から切り離されるようだ。


「渡辺さん!..いっぱい持ってきたの!」


そう言って、その台の上にある食べ物を指さした。

抱えた食べ物を落として、大慌てをする。

期待に胸を膨らませるような顔で二人は、渡辺を見た。


「お前たちぃ...外に出るなって言っただろ!危ないんだぞ!」


渡辺さんは幼子を見るような優しそうな顔で怒った。


「ひぅ...ごめんなさい」


少女は謝った。

すると、少女の前に少年が立った。


「渡辺さん!..あの、僕たち...皆にって思って...役に立ちたいの」


怯えたような表情で言う。

二人は怒られると思っていた。

俺はその男に、言い方がきついんじゃないかと、ストレスが溜まる。

だが渡辺の表情は、心配一色の顔をしていて感情を押し殺した。

(心配だったんだろうな..)

渡辺は少女と少年の顔を見比べた。

手を少年と少女に伸ばした。


「お前らぁ!偉いなぁ!いい子だぞ」


渡辺は、何故だか嬉しそうに言う。

少年と少女の頭しわくちゃに撫でた。

そんな会話を聞いているのか、周りに渡辺以外の大人の女や男が集まってくる。


「えへへぅ..はぅう」


少女は照れくさそうに声を出した。


「んっ....」


少年は嬉しそうに口元を緩めた。

そんな二人に、


「...だがな....外は危険がいっぱいなんだ!悪い奴だっているかもしれない」


優しく頭を撫で続けながら言った。

すると少年が口を開く。


「うん....でも僕も皆の役に立ちたいんだ!」


渡辺はそれを聞いて、笑った。


「そうかぁ....何も、外に出るななんて言うわけがないだろう?」


渡辺がそう言うと、横にいた渡辺さんより歳をとっていそうな男の人が言う。


「そうだぞ...怒る気なんてないから大丈夫だよ」


「怒ってないの?」


少年は心配そうに聞く。

渡辺さんは腰を低くして、少年と少女と同じ目線で話した。


「こやっさんの言う通り、俺たちはさ、もし外に行くなら...俺たちに伝えていって欲しいだけなんだよ」


そんな事を言っていた渡辺さんと少年と少女の間に、一人の女が割り込んできた。


「んっ...んぅっ!」


その女の頭には真っ白なキツネ耳があった。

白い巫女服のようなも服に赤い模様が入る。

白い肌が顔と肩と出ている。

赤いスカートには白い模様が入っていて、その腰から真っ白な長くはない白い尻尾が出ていた。

靴は白を基調としたスポーツ用の靴を履いていた。

その姿は、どこかカリンに似ていた。

目が奪われる。

その女は表情が変わらないまま、渡辺の手を払いのけて少年と少女の頭を撫でた。


「お、雪命 (ゆきめ)...どうしたんだ?」


渡辺さんは笑顔で話しかけた。

すると、そんな問いかけを遮るように。

少女は、自分の頭を撫でる、雪命ゆきめ さくの手を両手で持つ。


「あ、朔お姉ちゃん!これ私達で持ってきたんだよ!」


雪命ゆきめ さくは、表情は変えぬまま、優しそうな眼をする。


「朔お姉ちゃんは今日も綺麗でかわいいなぁ....」


少女はあこがれの眼差しを向けた。

少女の頭を撫でる手が加速した。

心なしか表情は変わらないのに嬉しそうだった。

すると今度は少年が続くように口を開いた。


「朔お姉ちゃん..僕たち頑張ったんだよ!凄いでしょ!」


少年が言うと、少女が少年の耳元で喋る。


「何?カナちゃん?」


少年の顔が赤く染まる。

(朔お姉ちゃんはね、可愛いって言うと喜ぶんだよ?ほら、言ってみて!)

少年は言われたままに、赤い顔でうなずいた。


「朔お姉ちゃん..今日も可愛いね!」


バチンッ!

次の瞬間、少年が雪命ゆきめ さくによって頬を叩かれていた。


「.....」


少年が涙目で渡辺を見る。

ウルウルの瞳だった。

渡辺は目を反らそうとしながら、少年の頭をまた撫でた。


「雪命の姉ちゃんが言いたいのは、私に言ってる暇があったら本当の好きな子に言ってやれ!って意味だと思うぞ?」


「っ...」


渡辺の言葉を聞いて少年は動揺をする。

あたふたと体を動かしながら、赤くなった頬を、静かに一人の少女に向ける。


「あ....あの!...カナちゃん!」


「ん?カイト君?」


少年は困ったような顔をして口を一生懸命に開く。

鯉のように。


「きょ...今日も....か....可愛い!」


頭から湯気が出そうだった


「え..うん....ありがと!」


嬉しそうに少女は答えた。


「カイト君もだよ!今日も可愛くて」


少年の顔が絶望に染まる。

だが次の瞬間、


「カッコイイね!」


少女が朔の手から手を離して、少年の顔を両手で優しくつかんだ。


「え..あ、ぅぅ!」


少年は嬉しさのあまり、渡辺の顔をキラキラした目で見つめた。


「はは、良かったな?絶対男なら守ってやれよ?」


少年はコクコクと頭を静かに振った。

雪命 朔は満足そうだった。


「それよりも、だ...お前ら持ってきたもん飲んでいいんだぞ?」


そう言って手に取った水を渡辺は渡す。

喉が渇いていることに気づいていたようだ。

よく見ている。


「それと、皆が見てるぞ雪命の姉ちゃん」


そう言われた雪命 朔は、無表情のまま、シュンッ!と姿を消した。

後ろを振り返ると。

壁から目だけを出して、こっちを見ていた。

耳がピコピコと動いている。


「よし!今日はお前ら二人は御馳走だな!それもって、孝之たかゆきさん所行くか!」


「「うん」」


そう言って二人は、渡辺さんと共に歩いていく。

皆が満足そうな顔をしてその場を離れていく。

(あぁ..俺も...)

そんな時、そんな人たちの声が少しだけ聞こえた。


「いやぁ...ここでは、あの子たちも自分の息子のような子だ...心配だけど..それが俺たちの為になりたいからって」


「そうねぇ..ほんと、泣きそうになっちゃった...私達大人に我儘を言ってくれたと思ったら、それが私達の為なんて...亡くなった子の事思い出しちゃったわ」


男は潤む瞳の女性の手を取った。


「あぁ...俺もだよ」


二人は手を繋いで、その手を男は空に掲げた。


「...ここの子供みんな、絶対幸せにするぞ!」


「「「「あぁ!」」」」


そこにいた、大人の皆が拳を強く握り締める。

そして壁に隠れていた、雪命 朔も強く握り締めていた。

(あぁ...この人たちなら大丈夫そうだな)

……そう思った。思ってしまった。

ここに泊まってもいいけど、流石にご飯はもらえないし。

ふと思う...あぁ、ここは“良い場所すぎる”

(...帰るとするか)

(帰ってから...軽く体を洗って...夜ご飯を食べて...今日はもう寝よう...体が限界だな)

静かにスマホを取って、記事を見る。

ここの人が...人を襲う.....俺はとてもそうは思えないな。

誰が言ったかも、書いたかも分からん言葉は、やっぱし信用するもんじゃないな。

そう思いながらも。

気を抜けば、また何かを信用して、俺は騙されるんだろうなぁと思った。


≪だって生物は完璧になれない。

勘違いや間違いを絶対にしないのも、不幸なんだよ。

完璧を逆説にしてみろ..屁理屈をこまねいてみろ..悟った気になって喋ってみろ。

不完全になるんだ...だがな不完全があるから....逆説的に完全があるんだよ

馬鹿みたいだろ?

どんな言葉でも、いい結果になって、前を向けるなら、それでいいんだ。≫


そんな風に思った。

俺は静かにその場から離れて、夜の街を帰って行く。

時刻は20時ちょうど。

元々、20時を予定していたし、これも運命なような気がした。

帰るんだ...俺が居るべき場所に。

なんたって、運命が呼んでるんだから。

今夜は近づいてくる気配も忘れよう。

こんな日は酒が飲みたくなるな....。











そしてその後、カイトとカナと渡辺は...

一つの大きな部屋があった。

その部屋に入っていく三つの影。

部屋の中には子供に囲まれたお爺さんが居た。

その周りにはお爺さんよりは、少し歳が若い男たちが居た。

そんな中で、老けた両腕が鳥の翼のようになっている男が声を出す。


「お、渡辺、どうした?」


「あ、カルチャードさん...実はこの子たちが外から、食べ物と水を持ってきていて..どれも長持ちするものが少ないからどうしようか話そうと思ってて」


カルチャードの羽の隙間から、骨のようなものが覗いていた。

そんなカルチャードは二つの小さな体を見る。


「お前らぁ...外は危ないぞぉ?...だがまぁ頑張ったな!待っとけ」


そう言ってカルチャードは鳥のような足で孝之たかゆきの爺さんのところまで歩いていく。


「孝之の爺さん!渡辺が話があるってよ!、それとガキどもぉ!話があるから俺が遊んでやろう!」


子供が群がっていた孝之の爺さんからカルチャードに集まっていく。


「おてて繋いで!」

「こんな手だから無理だわ!」

「羽触らせて!」

「羽抜くなよぉ?」


カルチャードは笑顔だった。

角が生えた子供や、片腕がない子供。

お腹に不気味な口が付いた子供。

ウサギのような可愛い尻尾の子供。

皆がカルチャードに集まった。

子供が離れた場所には、人間のお爺さんが居た。

この人が孝之さんだ。


「はて、渡辺?だれであったか?」


「ちょっと孝之たかゆきさん!忘れないでくださいよ!」


カルチャードについてきていた渡辺が言う。


「あぁ...お前さんか...」

「あはは..それで要件なんですけど」


まるで無駄話をせずに、渡辺は要件を告げた。


「ここに、日持ちが悪いパン系の食べ物があるんですが..どうします?」


渡辺は孝之の爺さんにパンや水を見せる。


「それはなんじゃ...」


「この子たちが頑張って持ってきたんです..凄いでしょ!」


渡辺は胸を張って言った。


「ほぅぅ...偉いのぉ....それならば...」


孝之の爺さんはカイトとカナの頭を撫でながら言う。


「お前たちが決めなさい...」


「いいんですかい?子供だけで決めて..」


「立派な子じゃないか..もう人の為に動ける子じゃないか」


優しい、焦点のあってない目で子供を見る。

そんな時、カルチャードが子供に囲まれながら話しかけてくる。


「よかったら、この子たちにもそれを少し、もらってもいいか?」


痩せた子供たちに囲まれながら、カルチャードは言った。


「なぁカイト、カナ...これを少し、爺さんや皆の分でもらってもいいか?」


「「うん!いいよ!」」


二人は迷いなく答えた。


「そのために取ってきたんだよ!」


少女は笑顔で言う。


「...いいんだよ...私の分はいらないよ...皆で分けなさい」


孝之は優しく言う。


「ダメだって、なぁ孝之さん、明日は晶太しょうたさんがくる日だよ?元気な姿見せないと」


晶太しょうた..誰であったか」


「はぁ...晶太さんに、それ絶対に言っちゃだめですよ!悲しんじゃうから!絶対に食べてくださいね!」


「...いいんだよ...私の分はいらないよ...皆で分けなさい」


「はぁ..孝之さん?....んぅん...言っても無駄か....なぁカルチャード、金森かなもりさんに言っといてくれ!孝之さんにご飯を食べさせてあげてって!俺は用事があってそろそろ行かなくちゃならん!」


孝之の爺さんは静かに一人で、(私の分はいいんだよ...)と言っていた。

多分、この感じじゃ俺の事ももう、覚えてないだろうな。

渡辺はそう思った。

カルチャードは子供を皆自分の羽根で、休ませながら答えた。


「分かった!言っておく!」


「ありがとう!....よし!、待たせたな、二人とも..カイト...カナ、二人はこの食べ物と水を自分が好きなように使っていいぞ...だがな?これは最低条件だ!自分の分を多くとりなさい....それが条件だ!」


「いいの?でもみんなが...」


少年が申し訳なさそうにする。

少女は首を振ろうとしていた。


「ダメだ...俺たちはな、お前らの俺たちを思う気持ちだけでな、腹は膨れたんだよ..だから気にすんな!」


クシャクシャと二人の頭を撫でた。

俺はそのまま、その場を離れる。

呼ばれていた仕事をしなくては。

残されたカイトとカナの二人の子供は、嬉しそうに水のペットボトルのキャップを開けた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーこれは川辺に帰った者の……夢のような話。

≪これは見なくても良い話≫



その日の夜...川辺の横で星々に照らされた俺は固い木材の上で眠った。

...辛い環境の中でも頑張る、そんな皆の姿があまりにも美しく見えた。

寝ているはずの自分の口から言葉が漏れる。

言葉にできないほど綺麗な星々に、言葉が零れた。


「俺には……理想郷ユートピアに見えたんだ……」


人の温かみが溢れる場所...あそこには明日を裕福に過ごせる程の蓄えは無い。

だから・・・


偽園ユートピアとなるのだろう....」


今の俺なら……この呪いがある限り、富も食も手に入る。

....人の温かみを諦めれば


「だが....諦めてしまえば....理想郷ユートピアでは無くなってしまうのだ」


諦める...それは悲しいことだ。

...だが


【受け入れる】


似ているようで、まったく違うものだ。



【組曲『惑星』木星】

という曲がある。

『作曲はグスターヴ・ホルスト、副題として「快楽の神、ジュピター」を持ち、明るく陽気で祝祭のような歌となる。

曲の冒頭:「最初は高揚感で胸が高鳴るんだ」

曲の中間:「誰もが知る程の世界が広がるみたいな旋律が来る」

曲の後半:「思い出みたいに消えていく」


冒頭では、最後を想像し高揚する....中間で夢中になって......最後には、思い出のように高揚感が結末を迎えていく。

人生は奇しくも、これと同じ繰り返しだ。


冒頭が始まる..


『記憶をなくして..目が覚めた』


『これからどうなるのだろう..』


冒頭が終わり...

中間が始まる..


『なんで無視をするんだ?』


『だれか反応してよ......』


『気づかれないのか......』


中間が終わり...

終盤が始まる..


『見つけた.............』


『見つけてくれたのか...』


終盤が終わる....そして、また冒頭が始まる。

——この循環を壊すものがある。

破壊された結果だけを残すモノの内の一つ。

それは...


——「死」


【組曲『惑星』木星】とは、全てを聞いて、【木星】となるのだ。

もし何かが欠けてしまえば...それは【木星】ではなくなる。

だから「死」っていうのは仕方のないモノだ。

何者かが、俺の口を借りて言葉を紡ぎ始める。


「だから....死が己の人生に咲くまでは....芽吹かなければいけない...受け入れ..終わりを迎えなければいけない」


それが生物の使命だ。


「生が咲き続けるならば...悲しいことがあっても...苦しいことがあっても...諦めないで..」


「悲しいことも、苦しいことも...全部を受け入れて、また終わって....また冒頭に芽吹くの」


これからも足掻いて...生きてください。

生きることは幸せで...生きることは、きっと幸せに向かうものだ。

だから……人の生は、咲き続ける。


【....不透明存在論....】


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