虐待
山奥にある学校の校舎らしい小さな建物、校門には掠れた文字で此処ら辺の地名と小学校の文字が書かれていた。
その校舎の中から怒鳴り声が響く。
「何でこんな問題を解く事が出来ないんだ!
教えた事をしっかり覚えていれば答えられるだろうが!」
「ゴメンナサイ……」
「センセ、センセ、モウスコシユックリハナシテ」
「ニホンゴ、ムズカシイデス」
「喧しい!
だったら理解できるよう、もっと勉強しろー!」
「ダッテ……」
「オカアサーン、カエリタイヨ」
「エーン、カエラセテ」
「喧しい!」
喧しいの声が響いた後、ガンガンガンガンと何か硬い物を叩く音が校舎の中から響いて来た。
一頻り何かが叩かれるガンガンガンという音が響いた後、また男の怒鳴り声が響く。
「全然勉強しようとしないお前らに罰を与える!
今日の給食は無しだ!」
校舎から折れ掛かった木刀を持った男が出て来る。
男は昔、小学校の教師をしていた頃、子供たちに体罰を行って半殺しにしてしまい教員免許を剥奪された。
だが教員免許を剥奪されたにも拘らず子供に暴力を振るいたいという思いが募り、山奥の廃校になった小学校で不法入国者や不法滞在者の子供を誘拐して来ては檻に閉じ込め、授業を行っているという名目で虐待を行っていたのだった。